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2013年7月31日

vol.101 大分のホオズキ

みなさーん!(^-^*)/コンニチハ!

7月もあッと言う間に過ぎて、もうすぐお盆!お盆といえば、欠かせない花材がホオズキ!

ホオズキをご存知ない方はいらっしゃらないと思いますが、ホオズキの圃場をご覧になったことのある方は、日本人口1億3,000万人といえども、それほど多くないのではないでしょうかぁ?

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そういうウン探もホオズキの圃場訪問は初めてなのです!

記念すべき第101回は、念願のホオズキの産地取材です。「ホオズキ生産のほぼ全て・・・!」をご紹介してしまいまーすv(≧∇≦)v

 

 

ホオズキはどこで生産されているのか?

それはなんといっても大分県↓です。大田花きの取引の中で、およそ80%のシェアを誇ります。

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ということで、もちろんやってきたのは大分県!

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喉のつかえが取れるかのような爽やかな癒しのグリーンと、スカッと抜けるような青い空に出迎えていただきました~!

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あ、イヤ・・・というか、JA全農おおいたの桑原さん(右の写真の方)に出迎えていただきましたm(_ _)mアリガトゴザマス!

桑原さんにつきましては、後ほどご紹介させていただくとして、早速ホオズキについて。

大分県で生産され、大分県農協の各事業部(支店)を通して出荷されるホオズキは、「JA全農おおいた」が一括して預かり、販売を代行します。

全国の各市場からの注文も一括して全農おおいたで受け、全て全農おおいたの裁量で商品を引き当てていくのです。

この販売方法を全県プールといい、全国でもこのような方法を採っている県や品目は極限られています。それは、ホオズキなどのように限られた季節商材で、ある短期間に大量に流通する品目であること、またシェアの殆どを一つの産地が占めているような品目特性のときに使われる特殊な販売方法なのです。

つまり大分のホオズキは団体戦!組織の力で、日本全国のホオズキ需要を支える、もっと言ってしまえば、お盆という日本の文化を支える大変重要な産地なのです。

今回は、その大分県でトップレベルの生産技術を持つ2軒の生産者さんを訪問しました。

 

mapooitawithface.bmp◆佐藤進一(さとう・しんいち)さん

まず1軒目は、佐伯市の佐藤さん。

佐藤さんのホオズキはまさに天下逸品

色、形、艶、質感、丈、画一性、どれ一つとっても、非の打ち所のない、日本が誇る超一流のホオズキ生産者さんです。

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圃場の前に降り立った瞬間に香るホオズキの臭い。昔、田舎でホオズキの実の果肉を取り出して、周りの皮を笛にして遊んだことを思い出します。まさに嗅覚によって古い記憶が呼び起こされるプルースト現象ですな。

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赤く色付くホオズキたちが8月盆用に今か今かと出荷を待っています。

早速ですが、ホオズキの実はどうしてこんなに一斉に色付くのですか?

 

エスレルを噴霧するんだよ。お盆前に2回ね」

 

エスレルとは植物生長を促す液剤のことです。果物や植物が自ら出す老化ホルモンであるエチレンと同じ作用があり、植物が自ら生成するのがエチレン、その作用を人工的に可能にしたのがエスレルとなります。

この液剤によってホオズキの成熟・老化を促進し、需要に合わせた出荷ができるようになったのです。

基本的には、回目は出荷日の20日前、2回目は10日前にホウズキの実に噴霧します。

エスレルは決して毒ではないので、もちろん触っても大丈夫!人が触っても老化しません♪ 野菜や果物の栽培にも使われているものですから、安心してください。

 

たった30-40年前は、7月の東京盆に赤い実の揃った大量のホオズキを一斉に出荷するのは、至難の業でした。

それを、8月盆の安定出荷も併せて可能にしたエスレルなのです。

 

エスレルを使った黄金バランスは、「8割完熟!」

つまり、下から熟していくので、下から8割はオレンジ、上の2割はグリーンというのが、最も美しい大分流の黄金バランスなのです。その上から徐々にグラデーションがかってグリーンになっていく色模様がとても美しいですね。

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例えばコレ↓

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収穫後、水に浸けずにドライで数日経っていますので、グリーンが黄色くなっていますが、バランスでいけばこのくらいが8:2の美しいバランスになります。

 

生産をしつつも、同時に行うのが良いホオズキのタネの確保。

草丈が取れて、大きく丈夫な性質のもの、且つ玉付きの良いもの、形の良いものを選んで、同じような性質のものを殖やしていくためです。この作業を「選抜」といいます。圃場に並ぶホオズキ選手から、良い選手を「選抜」するからです。

そして、8月盆の出荷が終わるやいなや、すぐに選抜選手のタネを取って、8月中旬には播種して育苗。

9月に定植ですが、これは苗を取るためではなく、地下茎を養成するためなのです。

 

地下茎の養成??(゚_。)?(。_゚)?と思われた方へ。

地下茎とはざっくり申しますと、根のことです。

優等生のタネを取り出して、「根」を育て、その根を4つに分けて、4苗分の地下茎を採ります。 

↓このような地下茎を1つの根から4つ採り、苗を育てていくのです。

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こうするメリットは、

①    丈夫な苗ができる

②    活着が早い

という他には代えがたい良い条件を享受できるのですーーー!スゴイネー!

 

 

そして、日本のホオズキを支える大産地には、生産の秘密が隠されていました!

ここでクイズです。ある生き物の力を借りるのですが、その生き物とは・・・?

 

マルハナバチだよ」

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(写真はイメージです)

 

そう、なんとハチの力を借りるのです。

季咲き&自然着果を待っていると、お盆の出荷には間に合わないので、8月盆用であれば6月下旬から7月初旬にかけてマルハナバチの巣を圃場内に入れて、ハチを解き放つのです!

このような農法は受粉を促す必要のあるいくつかの品目(特に野菜など)で行われていて、マルハナバチのレンタル屋さんが存在するのです。レンタル屋さんは巣に蜂蜜が集まるのでラッキー、借りる生産者さんも受粉率、つまり着果率が上がるのでラッキーということで、お互いのメリットのためにこのような商売が成立するのですね。

 

生産者のみなさんはハウスの外から、ハチに「ガンバレー」とエールを送るのです。

ですからホラ、ご覧ください、このネット。

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ハチが外に逃げないように、2mm程度のとても細かい網目になっています。ホオズキは風通しが大切なので全面ネットで風通しを良くしつつ、ハチには中で一生懸命働いてもらいます。

 

この農法を取り入れることで、実際に大分では製品率も秀品率もグッと上がりました。

マルハナバチを入れるまでは製品率はおよそ85%程度でしたが、3-4年前にこの方法を採用して以来、90-95%に上がったと言います。これは産地さんにとっても劇的な向上です。

例えば一人の生産者さんが1万本定植したとして、そこから8,500本採れた時の収益と、9,500本採れた時のそれとでは、とても大きな差があるのです(そりゃもちろん!)。このご時世、花の生産で毎年売上も利益も上げていくというのは大変なことですから。

 「もう最近は実付きが良すぎちゃってね」

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ほんと、見事な実付きぶり。一体1本に何個の実が付いているのでしょうか。

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ひぃ、ふぅ、みぃ、よぅ・・・

わぉ!なんとに、22個!?黄金律の8:2の法則もきっちり守られています。

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「でも、出荷するときは120cmで切らなくちゃいけないから、22個も付かないよ」

出荷箱の最長は120cmですから。

 

あいやー、こちらは一つの節から3つも4つも実が付いています。

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「でもあまり実が付くと、1つの苗が持つエネルギーが実の数だけ分散してしまうので、実付きが良ければいいってものでもない。下の方の実は先に取り除いておくこともあるんだよ」

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そうですかぁ、佐藤さん、もし取り除いて構わないものがあれば、傘の中の丸い実を見せていただきたいのですが、よろしいでしょうか・・・図々しくてスミマセン!ひとつだけ,please!

「いいよ!ほらね」

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うぎょーーーーッ!Σ(゚□゚(゚□゚*)!!

なんと驚異の双子ちゃん!

それだけ実付きが良く、苗自体がパワーを持っているということだったのですね。

 

それにしても、なんだか佐藤さんに笑顔で話しかけられると、ウン探も照れちゃうなぁ~ヾ(´ε`*)ゝ

佐藤さん、誰かに似ているって言われません?えーと、・・・

 

西郷輝彦ッ!!

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「あー、言われたことあるよ」

 

やはり!(正解◎)♬♪ン好きなんだけぉ~ チャチャチャ★と歌が聞こえてきそうです。

 

ところで、輝彦さん・・・んじゃなくて佐藤さん、地上にこれだけ立派なものができるというのは、やはり地下には相当何かスゴイものが隠されているのではないかと思うのですが、ウン探のためにこのマルチの下に隠れる秘密を見せていただいてもよろしいでしょうか?

 

「いいよ!」(西郷輝彦風のキラリとした微笑み)

 

ジャジャン☆

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うおーーーーッ!∑(ノ▼ο▼)ノ オォオォオオオ!!

 

もう所狭しとばかりに勢い余ってビョンビョン伸びている地下茎たち!(実況中継中!)

まさかマルチの下にこんな光景が隠れていたとは!

う~ん、佐藤さん、結構土が乾いているように思うのですがこれは大丈夫なのですか?

 

「大丈夫、大丈夫。

乾いているように見えるけど、それは表面だけで、中の方は十分湿っているんだ。

これが水分過多になると、今度は病気の心配が出てくるからこれくれいじゃないとだめなんだ。灌水はせいぜい5日に1回くらいだよ」

 

しかも、ばっちり花まで咲いてるし(写真)・・・なんて強い生命力なんだ(^▽^;)

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これ、何かの花に似ていると思いませんか?気付いた方はさすがです。

IMG_0075.jpg←ホオズキの花

そう、ナスの花に似ていると思いませんか?ホオズキはナス科ホオズキ属となります。

 

ナス科ということは?

つまり連作障害が出やすいということでもあります。その分土壌消毒が必要。上質な有機質や堆肥を使ったこだわりの土は必ず毎年土壌診断してもらい、専門家に肥料バランスのアドバイスをしてもらいます。その上で、年によって天気も違うので、培われた勘や経験に基づき微妙な調整をします。

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「万が一病気が出たら、怪しい原因を全て取り除くべく、あらゆる対処を施すんだよ。

その時はコストでなく、いかに原因を取り除くかを重視する。コストをかけても良いものが作れれば、それだけリターンがあるっていう考え方なんだ」

 

なるほど、そのお考えに立脚したこのこだわり生産の甲斐あり、佐藤さんの圃場は特秀2Lという最上級の製品率が9割以上!(ご参考:一般的には7-8割です)

佐藤さん、これだけ素晴らしいホオズキを作る秘訣はなんですか?

 

IMG_0232.jpg「努力です」

 

一同敬礼!( ̄Λ ̄)ゞ

大変失礼いたしました。この暑さの中、最上級の物を作る方に努力が一番と言われて、ウン探はひたすら頭の下がる思いです。

そのご努力が評価され、佐藤さんは2012年、大分県の農業を牽引する功労者として大分県農業賞・企業的農業経営部門・最優秀賞(!)をご受賞されました。

こちらはその時の写真。

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左が佐藤さん、右が佐藤さんと二人三脚でホオズキ生産をされる奥様の節子さん、そして中央が大分県の広瀬知事。

広瀬知事からはまさに「日々のご努力に敬意を表する」と祝辞がありました。

 

ちなみにこちらは昨年のホオズキ、ドライバージョン。

出荷規格120cmで切っていないので、できあがったままの長さです。

まるで佐藤さんの身長を凌駕する勢い!

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↑左側が120cm規格に切ったもの。いかに巨大なホオズキかよくお分かり頂けるかと思います。

このホオズキは、佐藤さんのメンタリティが反映されたといっても過言ではないでしょう。

 

ホウズキ生産25年、佐藤さんにとってホウズキとは?

 以前は木材をやっていたんだけど、それに比べてホオズキは勝負が早い!

半年でリターンがある!これは私の性に合っていると思うよ。

好きなんだけどォ~♪(←輝彦風。佐藤さんは本当に歌が上手いらしい)

"好き"に埋もれず、立派なものを作って、大分のブランドをしっかり作って守っていきたいな。」

 

 

mapooitawithface2.bmp◆堀博泰(ほり・ひろやす)さん

2軒目は豊後高田市の堀さん。

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趣味、ウナギ釣り。

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って、えええーーーーーー!?(; ̄Д ̄)

ゥ、ウナギ釣り??

どこで釣るんですか?

「この川だよ」

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と指差す先は、圃場の目の前を流れるこちらの川。このような草陰に隠れているのだとか。

訪れた前日はちょうど土用丑の日で「3匹釣れた!」とのこと。

すごいですねー。ウナギの価格高騰の昨今、堀さんはウナギまで自給自足です。

本題に戻り、「ホオズキの作り方にはね、2つあるんだ」という堀さん。

おっと早速、ググッとウン探の興味を引き付ける一声。

もうなんだかツボを握られている感じです^^

早速教えてもらっちゃいましょー。

 

1本仕立てネット栽培とがあってね、1本仕立てとは、昔からの方法で上位等級を作るための正攻法。

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もうひとつのネット栽培は短茎栽培用に開発された方法なんだよ。

こうやって、1苗に1マスのネットがはまるようにネットを張って栽培するんだ」

 

1本仕立てとは、佐藤さんのところで見たように、このように1苗に対して1本の支柱を立てて、大きいものをまっすぐに育てます。もちろん、堀さんもこのようにして栽培されています。

出荷時は120cmが最長ですから、栽培の時は160-170cmくらいの高さがあります。

 IMG_0068.jpg←堀さんご夫妻。ホオズキの丈をチェックしてください。

しかし、堀さんは1本仕立てのみならず、短茎も栽培しているのです。その短茎を栽培するための方法がネット栽培です。

短茎は堀さんが横に立つとこんな感じ。

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短茎用の栽培の特徴は、

①    密植栽培(みっしょくさいばい;苗を密に植えて栽培)にすること。

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佐藤さんの場合、苗同士の間隔は23cmでしたが、密植栽培の場合は12cm程度の間隔で、このようにフラワーネットのマス1つに1苗を植えてきます。フラワーネットはホオズキの生長に合わせて、上にずらしていきます。

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ところが密植にするとその分、苗の下の方の日照量が減るため、太陽をもっと浴びようとぴよ~んと上に伸びてしまいます。つまり徒長してしまうわけですね。

 

②    そこで、びよ~んと伸びないように、あえて水を切りぎみにして灌水コントロールを徹底する。

花が咲いても、葉が下がってもガマン、ガマン(;;゜皿゜)グァマン!

実が付いたら形を整えるために、やっとここで灌水量を増やす、といった具合です。

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ホオズキの圃場はエアコンもなく、あっちーのなんのって!!(;´д`;;A)

圃場の中は、一歩入ると汗が滝のように流れ出し止まりません。風通しは良くしておきますが、気温はお天道様まかせ。

 

「でも暑すぎると、高温障害だけではなくて、商品も日焼けしちゃうし、寒すぎると草丈が伸びないし、実飛び(実が付かないこと)しちゃったりね。

 

ホオズキにエスレルをかけるということは、人工的に老化を促しているわけだから、色付いたホオズキは人間のおじいちゃんと同じ。おじいちゃんになると夏の暑さも応えるでしょ。エスレルをかけた後はホオズキも高温障害に弱くなるから気を付けないといけないんだ」

という堀さん。

 

高温障害になって、丈が短いながら実が飛んでいたりするとそれだけで下位等級品になり、卸値は一気に二束三文になってしまいます。着果も良く、丈の長い状態の品質を保ちながら、ギューーーッと丈だけ短くしていくイメージで作れるかどうかが、グッドクオリティか、単に下位等級品かの分かれ道。

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短茎というのは、むしろ短い分、更に技術を要すると言ってもいいかもしれません。

 

このような技術と大分の生産者さんの腕によって、反り返って驚いてしまうほど長くて素晴らしいものの生産が実現したのですが、ここで丈の長い上位等級品ばかりではマーケットのニーズに応えられない!と、生産を試みたのが短茎のホオズキ。量販店さんなどでの販売が伸びてきている今、ホオズキも量販店さん仕様のものをカスタマイズしようと取り組みが始まりました。

市場では短いから安い、長いから高いという評価ではなく、いかに需要にマッチした良いものであるかという点を見ているのです。短くても良いものは良いものとして、その規格を必要としているお客様(バイヤーさん)に卸売していくのです。

 

収穫したらこの集荷所に持ち込んで、「選別作業」を行います。

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このような深さ10cm程度のプールに水を張り↓、鮮度保持剤の入った水で水揚げをします。

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しっかり水が上がったら、長さを揃え、脇芽をきれいに取り除き、

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トップの葉を4-6枚残し他の葉を整理し、1本を美しい形に仕上げます。

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軽くゆすりながら実のねじれなどを修正し、向きを揃えて5本を1束に組みます。

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束の上部と下部の2か所を止めて、出荷用のホオズキ束のできあがりです。

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この選別して束ねる技術にもまた、美しい技術の粋が凝縮されているのですね~!

流れるような作業・・・!ホオズキの実がかすかに触れ合った時に出る低い音が心地良いですね~。

 

IMG_0121.jpg選別のポイントは

①    玉の並び(着果状態をチェック)

②    玉の形

③    玉の大きさ(小さければ、欠果として規格を下げる)

を見ること。この規格は大分県のホオズキとして統一されています。

 

◆JA全農おおいたへインタビュー!

こちらはJA全農おおいたの桑原誠(くわばら・まこと)さん。

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こう見えて、18年前は国体の馬術で優勝した経験の持ち主です!スゴイでしょ・・・でも、ホントここだけの話ですが、全くそんな風に見えぬぁーい!のです・・・ふふ♥

 

で、その国体優勝経験のある桑原さんに大分のホオズキについて伺いました。

「きっかけは平成5年に浅草のホオズキ市に出そうとしたことだったんだ。同時進行で市場出荷を始めてね。

大田花きが賛同して、少量からだったけど協業が始まったんだ。

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"花屋さんが1本1,000円で自信を持って売れるホオズキを提供したい"というのが私たちの原点。

 

大分は花でいえば暖地に当たるから、本来なら冬場の産地だよね。でも夏場にも出荷できる品目を探していたんだ。露地でできるものね。ホオズキはそれにはちょうど良かったんだ。

 

現在では県下の13事業部(支店)と1つのJAが"おおいたブランド"として一枚岩になって、JA全農おおいたから出荷されるんだよ。ホウズキの生産者さんは合計約150軒、面積にて1,250アールで栽培しているんだ。

 

7月盆にはおよそ15万本、8月盆にはおよそ50万本を出荷する」

 

今後の課題は何ですか?

「受発注から納品までの仕組み作り。

現状では販売計画と実際の納品にずれが出てしまう。

当初◎◎本出荷しますよ~といって、販売を市場にお願いしていたものが、実際収穫してみるとそれより多かったり少なかったり。それは生長の速度や栽培状況によって変わってきてしまうから、なかなかゼロにはならないんだけど、それでも少しでも当初の申告数との差異を小さくする仕組みを作りたいと思う」

 

消費者のみなさんとお花屋さんにひとことお願いします。

IMG_0209.jpg「わたしたちのホウズキは、品質も数量も安心して使っていただけるものを提供していますので、是非ご利用ください。

また、赤い実でかわいい形をしていますので、盆花以外にも使っていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします」

  

【ホオズキの取り扱いについて】

お花屋さんでは殺菌剤入りの栄養剤を使ってください。

糖分はあまり入ってなくても大丈夫です。水に生ける時は、当然のことながら、実が水に浸からないように留意しましょう! 

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【大分のホオズキから学ぶ格言】

● 圃場の中の選抜選手からタネを採取すべし!

 良いものの中から更に良いものを選ぶ=選抜に選抜を重ね、強く美しい優等生(苗)が選び抜くべし!

● 技術革新はマルハナバチにお願いせよ!

 マルハナバチによって受粉を促進し、着果率を高めるべし!

● 圃場内の風通しは、ホウズキ生産の命!大分の風で高温に立ち向かえ!

● 徹底した土づくりに立脚せよ。

  連作障害に弱いナス科であるホウズキには、毎年土壌診断は欠かせません!

● 需要にマッチした短茎の作型を確立せよ。

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【ホオズキについて】

別府湾を臨みながら高速道路を駆け抜けていると、なんと窓を閉め切っているのにもかかわらず・・・・

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ふわ~~~~~~~~~~っと

 

 

 

車内に漂ってくる香り!

これはまさしく硫黄の臭い!さすが国内屈指の温泉地だけあります。

 

別府湾のあの先に見えるのは、なんと四国!愛媛県の佐田岬半島です。

IMG_0311.jpg←見えます??うっすらと、中央に見える島のようなもの。

決して日本書紀の黄泉の国ではなく(笑)、愛媛県です。

 

そしてこの山の向こうが湯布院。

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それにしても、なぜホオズキをお盆に使うのでしょうか。ホオズキは漢字「鬼灯」と書くように、夜道を照らす灯りのような色形をしています。お盆にお迎えするご先祖様が、行き帰りの道で迷子にならないよう照らすために、提灯に見立ててホオズキを飾るのです。

 

英名ではChinese lantern plant(中国の提灯植物)。

なるほど、この発想は洋の東西を問わず、共通しているようですね。

 

日本に自生しているホオズキは、古より古典でもよく謳われていました。

ホオズキが出てくる最も古い書物は『古事記』です。ホオズキは「酸漿」と書かれることもありますが、ヤマタノオロチの燃えるような鋭く赤い目に喩えられ、「酸漿」と書いて「アカガチ」と言われていました。

『日本書紀』神代下では、猿田彦大神のことを、

「目は八咫鏡(やたのかがみ)の如くして、赩然(てりかがやけること)赤酸漿(アカガチ)に似(の)れり」

と述べています。いずれも眼光の鋭さを、赤いホオズキに喩えています。

 

一方、女性の容姿を例えるのにホオズキが引用されることもあります。

源氏物語に出てくる「酸漿などいふめるやうにふくらかにて」というフレーズでは、玉鬘(たまかずら)の赤く豊かな頬を、ホオズキに喩えています。

あ、そか、頬(ほお)に喩えられたからホズキって書くのかな?

古事記、日本書紀の時代から、ホオズキは日本人に親しまれた植物だったのですね。

 

 

★おまけ

大分で見つけた摩訶不思議。

その1  「大分」について

なぜ「大分」と書いて「おおいた」と読むのでしょうか。

調べてみると、日本書紀の時代からそこにあった地名「おほきだ」が音便化して、更に当て字たついた・・・という説があるようですが、日本語を学習している外国人さんからしたら、こりゃ読めませんわ。

 

その2 「レオタードの女」 大分市内にて

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こちらの銅像、「レオタードの女」という作品です。

レオタードを着て何かしそうな体型ではないご婦人がレオタードを着ていらっしゃる。なぜでしょう。

 

・・・ふむ、これが芸術というものか。 こんどアタクシが代わりに立ってみよかな。

 

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<写真・文責>:ikuko naito@花研

 

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