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2015年10月 1日
vol.111 北空知広域連様★カボチャをめぐる冒険 第2話
9月28日(月)に開催された「第19回 大田花きカボチャ大市」は、北空知広域連様から若手のイケメン3人組が応援に駆けつける中、とても盛り上がった大市になりました。
北空知広域連の大野智(嵐)こと販売課課長・白峰真樹(しらみね・まさき)さん。"北空知の花のことなら、なんでもお任せあれ!"
そして、登場した「今年の人気者」は・・・?
ぬぁんと「アナと雪の女王」さまたち。
スイカだと思っていたら、魔法が解けて、色鮮やかなカボチャに大変身!みなさま、今年もたくさんカボチャを使ってくださいと締めるストーリー。
日本流ハロウィンはいつも人々を楽しませるものなのですね
さて、女優達(中身は男性)の舞台(寸劇)の後もしっかりお仕事です。
←働く金髪の女王エルサ。違和感なし。
アナは妙に市場が似合っていて、これまた違和感なし。普段このままいても、全くおかしくない感じです。
オラフも大田市場までよく来てくださいました。
こんな風にハロウィン1か月前くらいに大田市場では「カボチャ大市」が立ちます。1年の中でも見応えのあるセリの一つ。
そんな舞台に立つまでの「カボチャをめぐる冒険 第2話」の今回は、前回のカボチャ生産の行程に引き続き、北空知広域連の吉澤さんに品種選びとプレミアムと呼ばれるスペシャルなカボチャについてご紹介いたします。
吉澤さんのところでは栽培品種20種以上。一体、どのように品種選びをしているのでしょうか。
【品種選び】
ステージ1 ◆ まずはカタログを見て、外観によるファーストインプレッション。面白そうかどうか。
ステージ2 ◆ 次に、作ってみて形状や色など写真通りに育つ品種かどうか。
同時に、収量は十分かどうか、あるいは北空知の大地で栽培したときに、ハロウィンに合わせて出荷できる品種かどうか、栽培しやすいかどうかという生産効率の問題をクリアしたもの。
ステージ3 ◆ それから、作ったものを大田花きなどの市場に出荷して、マーケットの反応を見る。ニーズと合っているようだったら本格的な生産に入るんだ。
なるほど、この3段階をクリアしたものがマーケットで生き残るんですね。
ステージ1はカボチャを使う側にとって、ステージ2が生産側にとってどうか、ステージ3でテストマーケティングということですね。
例えば、こちらはマットで陶器のような質感が特徴のオータムクラウン。
マットな質感で、何とも言えない上品なホワイトです。
このオータムクラウンは今ステージ3。マーケットの反応を見ているところです。
「こういう風合いはいままでにない品種だから面白いなって思ったし、作ってみても大丈夫そうだった。実際にお花屋さんにもこれいいねと言ってもらえたので、今後増やしていこうかなと思っているところ」
←カボチャを語るとき(だけではありませんが)何ともお優しそうな表情の吉澤さん
ここで今年の隠し玉品種をウン探だけにナイショで見せていただいてしまいました。
「リールオレンジモン。
こういう濃いオレンジって、ありそうでなかったでしょ」
なるほど、このオレンジ、確かになかったかも。かなり濃い。表面は若干艶があります。こちらもステージ3。
数年前から手掛ける"ギャラクシー・オブ・スター"。
上から見ると星形に見えるばかりでなく、ヘタの断面も不思議と星形をしています。
「これはヘタを少し長く採れるところが特徴なんだ。実が小さい分、ワイヤーを使えば、つるして使ったりできる。カボチャも置くばかりでなく、いろんな方法で使えるからいいんだ」
ハロウィンも毎年同じではありません。カボチャも毎年次から次と吉澤農園さんから新しい品種が誕生するのです。
なんだか、握って指先を刺激するボケ防止トレーニングにも使えそうな形↑ですね^ ^;
【プレミアム】
あれれ~!?ぬぁんですか、これは??
吉澤さんの作業場で見つけました。みなさん、表面に絵が描かれたカボチャってご覧になったことありませんか?
こーゆーの↓
人の名前から誰かの顔まで、なんだかカボチャに自由自在に描いてあります!
すんごいたくさんありますけど、これは一体・・・・?
「これらが北空知で取り組んでいるお絵かきパンプキンだよ」
"こんな感じの文字や絵を描いてくださーい!"と注文してから作る、オーダーメイドで唯一無二のプレミアム商品として出荷するので、「プレミアム」と呼んでいます。
でもどうやって描いているのでしょうか?
なんだか線の部分が膨らんでいるようにも見えますケド・・・σ(・・?)
糊で何かをくっつけるとか??
「カボチャを傷つけることによって、絵を書くんだよ」
なぜカボチャに傷をつけると、お絵かきできるのですか?
「そうそう。人がちょっと怪我したときに"かさぶた"ができるイメージかな。
カボチャが傷をふさごうとして、中から果汁が出てきて、それが乾くとこんもりと盛り上がった跡ができる。
これがお絵かきラインだよ。」
実はこのお絵かきライン、マスクメロンの網目模様ができる原理と同様なのです。
マスクメロンは、栽培過程で中の果肉が短い間にグワッと生長するために、表皮が割れる。そのひび割れをふさぐために、内側から果汁が出て傷跡を保護する。それが乾いてできるのがあのアミアミ⇒
カボチャのお絵かきは、外から人工的に傷をつけて、果汁を出し、模様を作っているのです。
傷をふさぐように"かさぶた"ができて、その傷を背負っては大きくなっていく・・・ってなんだか別の話をしているみたいですが、たくましいカボチャの生長にも励まされますね。
カボチャお絵かきが上手なのは、なんといっても吉澤さんの奥様・真由美さん。
どのように描くのでしょうか?
「100円均一ショップで売っているキウイナイフで描くのよ」(笑)
こちらがそのキウチナイフ。しかも"ヒャッキン!"とは、結構お手軽道具で描いてしまうものなのですね。
刃先がかぎ状になっています。丸いキウイの断面をほじる感じが、絵の曲線を描くのに動きが似ていて、適しているのでしょうか。
お絵かき、難しくありませんか?
「難しいわよ~。深く傷つけすぎちゃったりして」
深く掘り過ぎちゃうとどういうことになるのでしょう?
「そこだけ生育が止まってしまうの。かさぶたができるどころか、切り過ぎちゃうわけだから、その部分の生長が止まってしまう。全体としては、部分的にえぐれたようないびつな形になるの。
深さは5-7ミリメートルがちょうどいい。10ミリまで深く行ってしまうとアウトなのよ。」
傷が皮を通り越して、実まで到達してしまうとNG。 その加減は1cm未満がぎりぎりのところのようです。
「かといって浅すぎると、細い線しか浮かび上がらず、かわいくなかったり」
その加減がワザ。
真由美さんが今年失敗したのってありますか?・・・あったら、ナイショでウン探でお披露目しちゃおうかと。
「ないわよ❤ふふ」
あ、そうでしたか^ ^; さすが。絵も上手でお手先が起用な真由美さんは、お絵かきの失敗率は今のところゼロパーセント。
何よりお仕事が丁寧な吉澤夫妻は信頼の商品です。
「それからもう一つ大切なのは、お絵かきのタイミングなの!」
栽培過程でどのタイミングでお絵かきするかってことですか!?
「そうなの。傷つけの作業は、カボチャの実がまだ若いうちに行うのよ。」
へー、大きくなってからではないのですね。タイミングは7月上旬くらい。
まだカボチャがカボチャ色をしていない、こんなに実の青い時に、圃場で膝をついて腰を曲げて、カボチャ畑に顔をうずめて描くのです!!
サイズもまだカボチャサイズになっていません。直径はまだ15-20センチくらいでしょうか。
カボチャは、最初薄い緑から徐々に濃い緑、そこからオレンジに色付いていきます。お絵かきのタイミングは、緑が徐々に濃くなる頃、まだ「あなた瓜(ウリ)ですか?」と問いかけたくなる頃がベスト。(そう、カボチャはウリ科なのです!)
「まだ若い緑が残っている頃までに傷つけを完了するのよ。
早すぎると実が若いから、傷から雑菌が入る可能性が高くなる。さらに雨が続いたりすると傷から腐っていって商品率が低くなってしまうの。
かたや、 遅すぎるとかさぶたが上手にできないし、線が細くなったり、絵が浮かび上がらない可能性があるの。」
なるほど、お絵かきのタイミングというのがプレミアムの価値を左右しているわけですね。
写真をよーーーくご覧ください。実はこのカボチャたち↓いずれも既にお絵かきしてあるんです。
お絵かき仕立ての瞬間です。
描いたばかりの時は、どこに絵を描いたのか、もしくはなにを描いたのかわからないくらい。
それが徐々に傷が乾いて線が浮き出てくるというわけです。
「お絵かき適した品種というのもあるのよ!」という真由美さん。
その一つがこちら。"ベビーベア"という品種です。
【特徴3つ】
- きれいな真ん丸になりやすい(ほんまや。丸くて、しわがなく、ツルンとしています!)
- 軸が太い(軸が太いのは良質である証拠!見た目にもバランスが良い)
- 傷をつけた後に、きれいに絵が浮かびやすい
このとおり↓
お絵かきが浮かびやすいのは、実の糖分が高いことも関係しているようです。
確かに線が太く浮き上がって、絵が映えますね。
このようにカボチャに絵をかいたら面白いかも!?とやり始めたアイディアウーマンはもちろん真由美さん。
それにしても、なぜこのようなアイディアを思いついたのでしょうか、真由美さん??(゚ー゚*?)オヨ?
「カボチャを傷つけたら絵が描けるっていうのは前から知っていてね。
遊びで遠慮がちに時折描いて市場に送っていたんだけど、そしたら2014年から大田花きと一緒にお客様のご要望に応じた絵を描きましょうってことになってね。
お客様のご注文をいただいて、それに沿った文字や絵を描くようになったの。」
早速注文がたくさんあるようですが、畑で腰を曲げて小さなカボチャにナイフで絵を描くのって、スンゴイ大変だと思うんですけど・・・(-"-;A ...
「絵を描くのは、大変なカボチャ生産の中でも、楽しみな作業の一つなのよ~」
このように、メッセージから会社のロゴマークわがままで難しい注文も快く引き受けて描いてくださった吉澤さんの作品はたっくさん!
大田花きのロゴマークは、こんな風に描いてくださったのですね。
大田市場花き部仲卸の「大森花卉」さまのロゴマークを描けば、こちらはなんともアーティスティック★
未だに圃場に残っている「田中カボチャ」(中田カボチャか?)もあったり。ちょっとシュールな光景。
こちらはある報道番組用に描いたもの。一つのカボチャにその番組名が一つ文字ずつ刻んであります。
もちろんその番組名を明かすことはできませーん( ̄b ̄)シーーッ!!
ぜひハロウィン前の秋の夜長に報道番組に注目してみてください。
いや、ちょっと待ってくださいヨ。なんですか?あれは??(←大根役者風)
吉澤さん、そのあたりにあるカボチャ、その絵、何でしょうか??ちょっと変わった絵のようにお見受けするのですが。
どれどれ・・・カボチャの間を縫って行き、指さしたカボチャを担ぎ上げてくれた吉澤さん。
何ですか、その絵は?
「あ、これ?スナフキン。この注文があったんだよ。」
よ、よ、ヨ、よッ、よもやこれは!? w(゚ロ゚;w(゚ロ゚)w;゚ロ゚)w
大田花きの子会社である大田花き花の生活研究所のK所長がオーダーしたと言われるスナフキンカボチャではないか!
なんとまぁ、よくできている!
実は、こちらは大田花き花の生活研究所のK所長が自分でスナフキンを描いて「この通りに!」とお願いした無理難題お絵かき。
こちらがお願いしたときの絵。A4の紙にマジックで描いて提出。
今まで文字や会社のロゴマークはあっても、「絵」の注文を受けたのは、初めてなのだそう。
しかしまあ、これをよく上手に描いてくださったものです。しかも圃場で!
このウンチク探検隊がHPにアップされる頃には、大田市場に届いている頃でしょう・・・
と思っていたら、本当に届きました。スナフキンカボチャ!
おめでとうございます。大田花き花の生活研究所所長Kもご満悦❤
しかもスナフキンの絵以外の傷は一切なく、失礼してひっくり返してお尻を拝見しても、あのフルーツ皿の効果か、変色もでこぼこも一切見受けられません。
軸も太くて、表面もピッカピカ☆
スゴイ!なんという美品でしょうw(゚o゚*)w
吉澤さんご夫婦のカボチャに対する愛情とスピリットが表れていますね。
みなさまも何か希望がありましたら、是非お取引の仲卸さんや近くのお花屋さんにリクエストしてみてください。
ただーし!ご注文は6月までにお願いいたします。
ナンデ?
「お絵かきの作業は、6月頃に行うからです。」
7月になってからではお絵かきは間に合わないことをお忘れなく~♪
このように、新しい品種や大変なお絵かき作業など、生産してくださる方が楽しんで新しいものと次々とご提案くださることで、私たちのハロウィンもさらに楽しいものになっているのかもしれませんね。