2006年9月11日
vol.21 埼玉県 比企生花組合クジャクソウ部会
(埼玉県 比企郡小川町)
初のクジャクソウ産地、比企生花組合へ行って来ました!
組合生産者の平均年齢が70?80歳という中、『3代目の団塊ジュニア世代で
クジャクソウを愛し、非常に熱心に栽培している人達がいる!』という噂を聞きつけてのウンチク隊出動です!
どんな方たちなんだろう?とワクワク、ドキドキしながら出かけました。
?小川町はクジャクソウの発祥地!??
緑豊かな山々に囲まれた小川盆地、その山あいを流れる清流。 そんな恵まれた自然環境をもつ小川町といえば伝統産業の‘和紙’が有名ですが、 実は孔雀草も特産品の一つなのです!
昭和30年、桜井さんのお父様が親戚宅の花壇で咲いていたカワイイ孔雀草に目を付け、 持ち帰って育て始めたのが切っ掛けだそうです。
つまり、市場出荷を目的として栽培したのは桜井家が初めてなのです!!!
当時は原種に近い野生的な白の品種で、背負って東京まで運んだにも関わらず、雑草としか扱われずに「野草につき売れず」という評価であったといいます。 それでも作り続けてくださった桜井さんのおかげで今の孔雀草があるわけですね。
そんな孔雀草はこのように栽培されていました。
雨に強い孔雀草は、ほとんどが露地で栽培されているのです。
でも周囲を囲む支柱の間には、イカ釣り漁船のように(?)電球がたくさんぶら下がっています。
生育、開花を調整する為、2時間半?3時間の電照処理を行うのだそうです。
夜はお祭りのようできれいなんでしょうねぇ。
←こちらは桜井さんの圃場。
ハウスでも作ってます。
しかもこのハウス、ご夫婦の手作りだとか。
「百姓っていうくらいだから、何でもできなきゃね!」とニコニコとおっしゃる桜井さん。
“百姓”のヒミツは後ほどご紹介するとして、心配なことがひとつ。
今年は低温、日照不足による影響で野菜も花も生育に遅れがみられます。
そこで「孔雀草はいかがですか?」と聞いてみました。
「生育の遅れは取り戻しました。例年並みの出荷になります、大丈夫です!」
その言葉を聞いて安心しました(^。^;)
孔雀草の出荷時期は…
ピークは10月です!秋の花と合わせてみては?
?出荷品種とメンバーのご紹介?
白美人 日本一 イーストブルー
(真ん中の花はピンク色から‘日本一の桃太郎’が名前の由来だとか)
おりひめ 幸成 スバル
ゆきひめ カクテルドレス サムシングブルー
これらは豪華なイメージの八重品種!↑名前もステキです。
洋風アレンジに使えそうです!
これらを作っている生産者の方々は…
比企生花組合クジャクソウ部会長 桜井明弘さん
? ? ?
?ニコニコ笑顔がとってもチャーミングです!
?いただいた名刺には“百姓”という肩書きがしっかりついてます。
?遮光は手動で開閉。これもかなりの力仕事です!
桜井さんのHPはこちら→http://www15.ocn.ne.jp/~sakura87/
東花園 森篤弘さん
? ? ?
?たくましい体つきをしていますが、以前は証券会社、そして学習塾の塾長をされていた
という、ちょっと変わった経歴をお持ちです。
?今は双子ちゃんのパパでもあります。
?森さんの圃場にて。
東花園さんのHPはこちら→http://www5.ocn.ne.jp/~tokaen/
坂本園 坂本実さん
? ?
?三人の中で一番若く、シャイな印象を受けましたが、実際のところは?
でも圃場見学中、急な斜面を降りる際に手を差し伸べてくださった坂本さんの優しさに感激した
私達でした(*^_^*)
ちなみに以前はトラックの運転手さんだったそうです。!
?お隣の畑に電照が影響しないようにと、坂本さん手作りの盾です。
いろんな経歴を持つ三人ですが、三人ともが今の花栽培について『こんなに楽しい仕事はない!
ストレスもない!』と口をそろえておっしゃいます。
とはいえ、やっぱり育てる上でご苦労もありますよねぇ!
雨には強い孔雀草ですが、ウリハムシ(ウリ科植物につく害虫)という天敵がいるのです。
その対策として行われているのが、アルミフィルム!
これを敷くと日光を葉の裏にまで反射させることができます。
そして農薬の回数を減らすことができるので、環境にもやさしい!
さらに、地温が低くなって根の張りがよくなり、成長スピードも早くなる、という意外な効果も得られたようです。
それから、もう一つの天敵がコレ→
なんだか分かりますか?
イノシシが残したVサインです。
彼らに踏み潰されてしまうことがあるのだとか。
意外な敵もいるものです。
?新しい品種開発にも積極的に取り組んでいます!?
現在では共同で育種圃場をもって、病気に強く、フラワーネットを張らなくても栽培できるような頑丈で、新しい品種開発にも取り組んでいるのです。
その育種圃場がこちら→
実は桜井さんのご自宅前で、草がわさわさと覆い茂っているお庭のような感じなのですが、この中から新しい品種が誕生するのです!
そして今、種苗登録申請中の品種がコレ!
その名も“ぷちぷちフェアリー”
孔雀草は通常、1本に2,000個の花を付けるのだそうですが、この新品種は小ぶりでピンクのかわいらしい花をなんと5,000個もつけるのです。
数えた桜井さんもスゴイです!
また、花の中心部分の盛り上がりがないのも特徴。
この可愛さは、洋風アレンジにも使えるのではないでしょうか?
いろいろな品目を作ってみて、孔雀草に行き着いたという、育種も担当している部会長の桜井さんに
「なぜ今、孔雀草に拘って作っているのですか?」と尋ねると、
「やっぱり孔雀草の発祥の地だから。だけど親の代から長く生産されているわりには知名度はまだ低い!だからお花屋さんに、もっと知ってもらいたいんです。」
また、「品種数も少ない、未開拓の部分が多いのでやりがいがあるんですよ!」
と語ってくださいました。
どーしても仏花のイメージがありますけど、八重や新品種は洋花として使えそうです。
利用範囲が広がるといいですよね。
そして、孔雀草の魅力は何ですか?という質問に対しては、
「素朴で、可憐で、えばらない花だから。1本でもボリューム感があって、和でも洋でも合うところ。」
「好きじゃないと作れないですよ!」と答えてくださいました。
?おまけの話?
そして コレも秘密兵器(?)
桜井さんが小学生の息子さんの天体望遠鏡の三脚を拝借して作った定点カメラ。
「どの品種に虫がつき易いのか?虫の目になって、何に虫が反応するのか解明しようと思って…。」と桜井さん。
何に虫が興味を示すのか育種段階で分かったら役立ちますよね!
?お花屋さんからのメッセージ?
・発祥の地というストーリー性があるのは、非常に興味深い!
・この産地の品質はNO.1ですよ。
・水上げ、花保ちは非常によいです。
?3人からお花屋さんへのメッセージ?
・花を手にした人が笑顔になってくれる事を願って、作る方の自分も笑顔でいる事を心がけてます。 発祥の地である小川町で作った孔雀草をもっと知ってほしい!(桜井さんより)
・お花屋さんの評価、要望を もっと聞きたい! 例えば茎を曲げて作ってほしい、という要望にも答えられる起動力が自分たちにはあります!(東花園 森さんより)
・生産者の中では若手だけど、頑張って出荷していきたい! 自分は生産を始めてまだ三年目なので、早く二人の先輩達みたいにウンチクが語れるようになりたい!(坂本園 坂本さんより)
比企生花組合クジャクソウ部会の格言
・クジャクソウ発祥の地 小川町特産の孔雀草を使うべし!
・お花屋さんの間でも定評のある品質の良さ、花保ちの良さを、実際に試してみるべし!
・「花を手にした人が笑顔になれるように!」という願いを込めて、作り手も笑顔で作った花はきっと幸せな気持ちになれるはず!