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2014
最優秀賞 優秀賞 特別賞 新商品奨励賞 表彰式
(株)大田花き花の生活研究所が持つ各種データを元に、産地別品種をノミネートした上で花業界でご活躍されている方々を審査員としてお迎えし、より客観的な選考を行っております。また、(株)大田花き花の生活研究所では、この結果を元に、花の流行分析を行っています。

◆2014年度 FLOWER OF THE YEAR OTA 最優秀賞

カスミソウ アルタイル  品目: カスミソウ
 品種: アルタイル
 産地名: 昭和花き研究会

 (福島県)


■産地様のコメント
 大変名誉ある賞をいただき感謝いたします。私たちはカスミソウの品質向上のため、2002年から各地で開催されたサミットに参加し、その度に仕事の仕組みの見直しをしました。また、昭和村でのカスミソウ栽培から30年を経過した今、今回の受賞は若い人たちの栽培開始への意欲にも励みになります。アルタイルを育成し、新しい栽培技術の開発と普及にも取り組んだ関係者の皆さまにも御礼を申し上げます。

■所感
 1970-80年代には、花束を完成させるにはなくてはならない名脇役として花き業界では一躍時代の寵児となりました。ところがブーム一過の後は、むしろ「古いデザイン」としてカスミソウを使うことを拒む生花店が続出、全国の生産量もピークの半分以下になりました。  しかし、「日本で最後のカスミソウの生産者になる」とカスミソウ生産を最後まで支える覚悟で臨まれた昭和花き研究会様は、「カスミソウは七夕の花」というソフトも同時に売り出し、お客様にカスミソウを改めて見直してもらうことに成功したのです。 輪の大きさや花持ち、花付き、水揚げなど、すべてにおいて大きく進化しました。生まれ変わったカスミソウの存在はもはや“霞みそう”どころか、なくてはならない主役級のアイテムに躍進を遂げたのです。今のカスミソウはもう昔のカスミソウではありません。カスミソウはリバイバルの軌道に乗りました。

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◆優秀賞

シンピジューム サンゴールド  品目:シンビジウム
 品種: サンゴールド
 産地名: 上州の蘭2011

 (群馬県)


■産地様のコメント
 我々上州の蘭2011は立ち上げて3年目となります。今年2月、大雪災害で約7割のハウスが倒壊してしまいました。その際には多くの方からご心配、応援の声をいただき、本当にありがとうございました。そのようなタイミングでこの賞の知らせをもらい、皆様に必要とされていると実感できました。 再建までには多くの時間を必要としますが、今後とも上州の蘭2011、そしてシンビジウムを末永くよろしくお願いいたします。

■所感
 シンビジウムやグラジオラス、スイートピーなどに代表されるような、1本の茎に花が縦方向につくラインフラワーは、昭和40年代50年代に人気のピークを迎えた花でした。その後、欧米流の上から見るブーケが主流になると、フェイスの大きな花の台頭により、横から見る方が価値のあるラインフラワーは使うシーンが限られるアイテムとなっていきました。しかし、ラインフラワーの中でも、この間に品種・品質改良などを重ね、ユーザー目線で大きな進化を遂げた品目は、再び注目を浴び、高い評価を得ています。  上州の蘭2011様は、本年2月の雪害でおよそ7割にあたるハウスが崩壊し、行き場のなくなった多くの株を断腸の思いで廃棄されました。再建目途が立たない中、必死に残骸を片付ける一方で、生き残ったシンビジウムを大田花きに出荷し続けてくださいました。シンビジウムは生長に大変時間のかかる植物ですので、安定供給できるようになるまでまだ数年かかりますが、温かく応援してくださいますようお願いいたします。

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◆特別賞

ジニア クイーンレッドライム  品目: ジニア
 品種: クイーンレッドライム
 産地名: 大野 重雄

 (千葉県)


■産地様のコメント
 このたびはフラワー・オブ・ザ・イヤーOTA特別賞をいただきまして、誠にありがとうございます。このクイーンレッドライムは昨年から作り始めた品種で、暖色系の独特な色合いが気に入り、導入しました。まだ作り始めて間もないので、栽培面においてもまだまだ勉強しなければない点も多々ありますが、この賞を励みの日々努力し、これからも品質の良い花を出荷できるように頑張っていきたいと思います。

■所感
 2013年ころから自然な雰囲気を演出できる草花が人気の兆しを見せています。クイーンレッドライムは、何色ともつかない絶妙なアンティークカラーで、出荷期である秋の需要にマッチしました。ある大手の企業の看板にも、束ねられたクイーンレッドライムが大きくデザインされ、銀座などの地下鉄に掲示されていました。 2011年にケイトウ‘オレンジクイーン’で本優秀賞受賞に引き続き、2度目の受賞となる大野様は、草花系を作らせたら右に出る者はいないと、業界人をうならせます。技術ばかりではなく、常にお客様の声に耳を傾け、ユーザー目線で商品を作るというポリシーから生まれるものです。ぜひ今後は平成の三大篤農かとして、是非今後はフラワー・オブ・ザ・イヤーOTA全ての賞を受賞するというグランドスラムを目指していただきたいと思います。

◆特別賞

バラ コンキュサーレ  品目: バラ
 品種: コンキュサーレ
 産地名: JAひまわり バラ部会

 (愛知県)


■産地様のコメント
 このたびはこのような素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございます。今回の受賞品種コンキュサーレは、JAひまわりバラ部会のオリジナル品種です。ほかにはない特殊な花型と花色、そしてなんにでも合わせやすい品種です。一度、お手に取っていただけたらと思います。  また、この受賞を励みに、部会員一同お客様に喜んでいただけるよう、品質にこだわり生産・出荷してまいりますので、今後ともJAひまわりのバラをよろしくお願いいたします。

■所感
 中小輪が注目される昨今、JAひまわりバラ部会様のオリジナル品種であるコンキュサーレが、自然な草花の風合いを持ったバラとして高い評価を受けました。自然な感じを出しつつも、バラならではの高級感があり、あらゆるシーンで重宝されました。常にお客様の声に耳を傾けているJAひまわりバラ部会様だからこそ、時代のトレンドを適切にキャッチした品種を生み出し、今回の受賞に繋がりました。

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◆新商品奨励賞

バラ アートリークローズ  品目: バラ
 品種: アートリークローズ
 産地名: ファインローズ

 (佐賀県)


■産地様のコメント
 トレンドの変遷も著しい今の時代におきまして、新商品奨励賞という生産者の勇気に報いる賞をいただきましたこと、誠にありがたく思っております。妖艶な花姿、色気漂うアートリークローズに目を奪われた日のことを今も鮮明に覚えています。「このバラを作りたい」久々にそう思わせる花でした。何かを癖のあるバラで、非常に作り手泣かせな面もありますが、一度惚れたバラなので、この賞を励みに今後も皆様にアートリークローズを末長くお届けできれば幸いと存じます。これからのバラ、そしてファインローズにもどうぞご期待ください。

■所感
 アートリークローズの柔らか味を帯びた形と深いローズピンクの色は、私たちの心に深く訴えかけます。理屈ではなく感性で無条件に美しいと思えるバラです。変遷著しい流行の一方で、このようなエレガントなバラは常に求められており、今後このような条件を満たしたエレガンスな花が実需者のニーズの中心となっていくでしょう。 ファインローズ様のアートリークローズは、満開になった後もさらに一段色が深くなり、妖艶な紫色を帯びつつ、まるで別の花であるかのように咲き続けます。1輪で多彩な魅力を楽しめるのも、ファインローズ様の栽培技術があるからこそです。

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◆総評・分析


「古い」が「新しい」に変わるとき 〜新しい世代に認められた「シンカ」〜
フラワー・オブ・ザ・イヤーOTAは2005年から始め、第10回を迎える本年は、上記の通り受賞が決定いたしました。全国、及び輸入品を含むおよそ20万点にも及ぶ候補の中から頂点に選ばれた品種と生産者様です。
このたびの結果では、ひと昔前に流行ったアイテムが、再び人気復活の予兆を見せていることがわかります。消費世代の交代もあり、以前は古いと言われたものが、若い世代によって真価(シンカ)を認められ、今は新しいものとして蘇ってきています。しかし、それらは一見変わっていないように見えても、生産者たちの地道な努力によって大きな進化(シンカ)を遂げたものでもあるのです。
2013年に転換期を迎えた花のトレンドは、一輪豪華主義の花よりも、よりナチュラルな雰囲気を持つ素とした草花系の花や中小輪のもの、自然らしさを表現できるアイテムへの注目が進んでいます。 フラワーデザインでは、シャンペトル(フランス語で「田舎風の」)という、野原の一部分を切り取って無造作に束ねたようなブーケスタイルが徐々に広まっています。それは、トレンドの支持世代の層が変わってきたこと、また、不景気で大輪が重宝されていたことが一服し、生活者の気持ちが中小輪に回帰していることなどが関係しているものと思われます。
カスミソウは2012-13年ころから、20-30代を中心とした若い世代による新しい使い方も提案され、もはやかつてのようなメインの花に対する添え花ではなくなりました。代品の効かない唯一の存在であるカスミソウは、主役の花として生まれ変わり、優しさと自然を象徴する花として愛されるようになりました。また、草花・中小輪系アイテムの人気回帰の傾向は、特別賞のジニアやバラのコンキュサーレにも見て取れます。

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ご協力頂きました皆様に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。