◆花にまつわるエピソード◆
市場人が語る
”父の日に知っておきたい、ひまわりの歴史”
夏になると誰もが眺め、手にとって楽しむヒマワリ。
今でこそ、ミニからビッグまで大きさも花色も咲き方もバラエティに富んでいるが、
その背景にはちょっとした歴史があるという。
今回は、市場のベテランのセリ人にうかがったエピソードをご紹介する。
今は昔、ヒマワリは畑に咲く大きい大きい花だった。
その丈は2mも3mもある見上げる存在。
切花になったのきっかけは、1960年代末に育成された短日条件で開花する”太陽”という品種の登場。
年間を通して栽培が可能になったことで、私達は夏が来る少し前からヒマワリを楽しむチャンスを手に入れた。
1980年代後半には、世界で初めて育成された切花用の無花粉F1品種 ”かがやき”が登場。
花粉が受精をすると花はその役割を終えて次のステージに進むため、どうしても花保ちが悪い。
その点、この”無花粉品種”の開発は画期的で、花保ちが格段によくなった。
私達に”ヒマワリを切花として楽しむ時間”が生まれた瞬間である。
そして1990年代半ば(弊社大田花きが開場して間もない頃)、”サンリッチ”シリーズが登場。
手のひらサイズの花が愛らしく、揃ったものができる品種の登場は、安価でよい花の量産につながった。
ヒマワリは、誰でも手に入れることができるポピュラーな切花になった。
その後も、少し色目の違う”サンリッチオレンジ”,”サンリッチレモン”が次々紹介され、私達の目を楽しませた。
”ゴッホのひまわり”,”モネのひまわり”は絵画に描かれたヒマワリを髣髴とさせ、おしゃれなイメージを確立。
”東北八重”は、これまでのヒマワリのイメージを覆す衝撃を。
短日条件で最短45日で開花する”45シリーズ”などは生産効率のさらに向上し、
”サンリッチマンゴー”を始めとするオレンジ系の品種は、花色の魅力で一番の愛されカラーとなった。
すっかり切花として定番となったヒマワリであったが、そこに登場した”変わり咲き品種”は、
ちょっと人と違うものが欲しい心をくすぐった。
そして3年前、花の顔が上向きでよりアレンジライクになった”ビンセントシリーズ”が登場。
花保ちが抜群で、私達は手元でより長く楽しめるようになった。
ヒマワリは、いつの時代も私達の目を楽しませてきた。
その背景には ”人を楽しませること” にこだわった、育種・生産・販売の歴史があったのだ。
さらに、これらの開発は、すべて”日本人の仕事”だというから、なんだか誇らしい気持ちになってしまう。
先人の心がヒマワリと共にあり、脈々と受け継がれているのだ。
近年父の日にヒマワリが定着してきたが、
家族のために毎日がんばっている”お父さん”に、こんなにふさわしい花はないかも知れない。
今年も夏が来るそのちょっと前に、”ヒマワリ”でお父さんに元気を届けよう。
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