進化するスキー場


昨日、今シーズン2回目のスキーに行った。
急斜面ではまだブッシュがあるものの、30度から20度の一般斜面では十分滑走可能になってきた。
スキー場ビジネスは若者相手ゆえ、上越方面では多彩な工夫がなされている。例えば苗場では、気温が氷点下にならなくても氷を削って出すタイプのスノーマシンを準備し、暖冬に備えている。
昨日行ったのは、水上から尾瀬に入る途中にある奥利根国際というスキー場である。リフトは5時半から夜の10時まで動いている。リフトを止めた後整備をし、5時に点検して5時半からまた動かし出す。
ここではないが、有名な神立スキー場は週末になるとほぼオールナイトでリフトを運転している。神立のリフト券は3種類。早朝のものはコーヒーとクロワッサンが付いている。
奥利根はリフトの設備については一般以下のサービスレベルなので、スノーボードを逸早く解禁し、客を呼び込んだ。ほとんどが若者達だから、当然夜中のうちにやってきて、車で仮眠をとるタイプのスキー場である。かつて民宿は栄えたが、上越近辺の民宿はもはやよほどの特色を出さないと生き残っていけない。若者達は、途中のコンビニで食料を仕入れる。スキー場で使うのは、駐車場、トイレ、それとリフトくらいだ。私はスキー場前のペンションに泊まったが、料理が5品出るディナーとスクランブルエッグの朝食で8,700円という価格であった。しかも通常4,000円のリフトの1日券が、そこで買うと2,500円と、どうにかまた泊まってもらおうとしている。地元の人達は各所で猛然と生き残りをかけてアイデアを出し合っているのだ。
帰りの新幹線の中で、どこにお金を使ったか考えてみると、今回はヤマトの宅急便でスキーを送り、送り返したことが最も割の合わない支出だった。こう考えていくと、一般的にはJR、高速道路、コンビニ、宅急便と、それぞれ大資本が結構巧くスキーヤーの金を吸い上げているのに対し、地元に落ちるお金が昔と比べて少なくなったなあと思った。
これから我が業界でも考えるべきことは、地道に一生懸命やることと、需要動向を適切に掴み、売ることあるいは営業することは消費者の問題を解決してあげることだと気付くことだろう。
そうそう言い忘れていたが、奥利根の第2リフトの前にあるロッジの自動販売機が110円になっていた。去年まで150円だったので、コンビニのコーヒーを飲んでいたのに、今年はここの自動販売機のホットコーヒーが売り切れだったのはそのせいだったのだ。足下を見る商売は、例え季節的な商売であっても許されない時代となっていることを痛感した。


1997/01/27 磯村信夫