販売代行業


8月25日付の日経産業新聞で、三井のアグロビジネスが経済連、農協等の系統機関と農業法人が不得意とする分野である外食産業や食品加工業者への農産物の営業と物流を代行するビジネスを、現在の10億円規模から今世紀中に100億円規模にもっていきたいとの記事があった。
大変興味深く思った次第だが、市場流通は外食産業と加工食品メーカーへの納入について従来のやり方では欠点があるといって過言ではない。従来の卸売市場の顧客とは、あくまでも小売店舗に限られており、そこで等階級やらの厳選が叫ばれてきた経緯があるからだ。外食がかなりのウエイトを占めるようになりここの分野への取組みを生花市場がするためには、商社的機能を持っていかなければならないということであろう。見た目の規格という観点から商品の善し悪しを判断するのではない流通の仕組みづくりである。花について考えると、アイテム数の問題、また花は見る商品故に、結局品揃え機能を最優先に考えなければならない。そうなるとロジスティックスにかなりのコストがかかってくる。運送という点だけで見れば、いわゆるトラック会社が平常行っているロットのまとまった生産者物流でなく、宅配便のような消費者物流にならざるを得ない。衣料品は生産原価からすると売値が高く、また利幅も良いのは、結局少量多品種の商品が主体となっているからである。これをどのように商品管理していくか、小売店舗の現場、卸、そして生産で欠かせないのは情報ネットワーク化と、特に小売店舗での販売管理につきる。またその前段として、大田花きではプロダクトパイプラインと呼んでいる生、配、販の同盟化である。これを以ってきめ細かく商品化していき、日々の生産状況、売れ具合によりアドリブを加えていく、そういうことであろう。物流上はしばらく品揃えの観点から、またコスト的にも花き卸売市場内でピッキングした方が、最も安く済む。しかし消費量が増えると伴に、この新聞記事のような新たな場所を確保する必要が出てくるかもしれない。


1997/08/25 磯村信夫