競争激化で専門店の役割明確化


アメリカのウォールマートは、生鮮品に力を入れたスーパーセンターを増やすという。また、日本でも外郭に出店していたスーパーマーケットが、地価の下がった都市部に出店しはじめている。
このことは、日用品の中で“生鮮食料品”は買い替え期間が短く、集客力に役立っていることを示している。食料品を目玉にしているのは、なにもディスカウンターやスーパーマーケットだけではない。デパートはお惣菜やら食料品に高い評価を得ている。ここに花がどう入り込んでいくかがポイントになる。出来合のブーケを販売していた時代から、ブーケ+対面販売へと移行しようとしている。特に鉢物や苗物は、対面販売とまで行かなくても、アドバイザーがその売り場にいることが欠かせなくなってきた。アドバイザーのいる店、少なくともお花屋さん並の知識や技量のある大規模小売店が今世紀末までかなり増えていくことが想定される。となると、小売店はどうすればよいのか?店売りをあきらめるのか?物日の需要が増大しているのに、店売りを諦めることはない。セリ場に出回る花々を見ていれば、そのことが良く解る。特殊な者もあれば、定番商品もある。消費者が望む、それぞれ小売店の役割とは、新しい「花との生活」を提案する専門店。買い物時間削減のための通信販売やコンビニの利用。生活経費削減のための量販店。生活空間を楽しくするためのホームセンター。これが消費者にとっての各店の役割である。
そうなると、専門店が花の消費を引っ張り、新しい需要を喚起していくトップランナーであることを自覚して欲しい。物日でも、クリスマスやお正月の新しい花を提案し、前向きな消費者を満足させて欲しいものである。


1998/10/26 磯村信夫