孤立主義


若者の失業率が高くなってきている。これではヨーロッパ型になってしまうのではないか?
アメリカは若い人達が新規事業を起こし労働力を吸収してきたが、ヨーロッパは若い人達が失業したので、アメリカほど新規事業が起ったとは言い難い。リストラ最中の日本で、学卒の人や、短大、高卒の人達が就職できないとなると、この国はヨーロッパ型になっていくのか?
彼らを見ていて気づくのは、集団主義から個人主義へ移行する中、人とも交われず、さりとて個として確立も出来ずにいる孤独主義の生き方をする人達が増えてきているということだ。自分自身の中に閉じこもり、ちょうどダダっ子のように人に期待し、そして消費行動は自己満足型である。ここにこの国の弱点がある。
自己満足的な温もりをキーワードに、いくつかの商品が開発されているが、その最たるものは雑誌「男の隠れ家」であろう。今は出来るヤツしかお呼びでない時代になろうとしている。平等主義で能力の差異を認めなくなった日本人は、これに耐えられない。そこで自己満足型の消費になっていく。「オタク」はまだよかった。これが本来の成熟社会の消費行動だろう。「俺に合うものなら高くてもよい。」これが健全な消費行動なのである。消費者もそうだが、経営者も勇気を奮ってリストラをしていない。この国の不況の要因の一つに、経営者の責任がある。ユニークなものやサービスを提供していく既成概念を打ち破っていく。ここに成熟社会の会社経営がある。これは花き業界にも共通することである。


1998/11/16 磯村信夫