作付準備に取りかかる前に


それにしても10、11月と、青果卸売会社の取扱額の増大はすさまじい。
3〜4割の金額増加で、下世話に言われる「食べ物商売は当たったら儲かる」の言葉通り、人間の根源的な欲求に根ざしているものだと改めて感じさせられた。花はそこへ行くと嗜好品とも言えるだろう。
今回の農産物の高値は、生産者の気持ちを以前のものにさせてしまったのではないかと心配している。以前のものとは、供給が需要よりも少ないことを前提とした考え方であり、インフレを基調にしている。現代の考え方とは、物余りを基調とし、デフレ対策をいかにするかということがポイントとなる。
来年の春前には、花も含め農産物業者は再度デフレ対策に追われることになるであろうから、産地はこの秋冬の相場を二度と起こさないような万全の工夫が必要である。
話題は変わるが、株式市況が思わしくない。日本の場合、株価は8ヶ月先の実態経済を予測しており、こうなると来年の上半期も花き消費は軟調気味であるだろう。
所得、支出、生産の好循環で経済が回り出すのは、早くて晩秋になるであろうから、それまでの対策を検討しておく必要がある。天気はわからないので、人ができることだけを伝えると、①物日をはずさないよう、出荷できる仕組み作りが欠かせない。②取引先の主だった卸売会社と、作付計画を入念に練る。自分だけで品種を選んだり、作型を決めてはならない。以上の2つがポイントになろう。


1998/12/14 磯村信夫