胡散臭い


資本主義の新しい潮流が、明確な流れになって見えてきた。
一つは「知識資本主義」と言われる、堺屋長官が「知価革命」で唱えたもの。知恵や知識が最高の経営資源となり、物やサービスを作出していくうえで必要不可欠であるということ。もう一つは「顧客中心市場」で、顧客にとってガラス張りで開かれた市場のプレイヤーでないと生き残っていくことができなくなっているということである。
これら2つの資本主義の特徴を、より加速させているのがエレクトリック・コマースである。エレクトリック・コマースでは、顧客は時間や空間を乗り越え、十二分に商品を比較できる。エレクトリック・コマースがますます進むと、結局「一物一価」になり、提供される物財が似通ってくる。そうしなければ売れないからである。
この2つの潮流に適合していない組織や個人は、評価が得られないで苦しい状況に追いやられているのである。結局、既存の業者の財産は人間関係、繋がりである。同じ商品、同じ価格であれば、安心して使ってもらえる可能性が高い。
「開かれた」の反対語は「胡散臭い」である。胡散臭い代表の政治家が嫌われる時代に、日本もなっている。


1999/04/12 磯村信夫