グローバルスタンダードと地球環境保全


 昨日の日経で、コクヨの社長が日本経済の当面の取組むべき課題としてこの2つをあげていた。小生も全く同感で、これについてコメントしたい。

1.グローバルスタンダード
花き業界のグローバルスタンダードとは、①価格が国際価格になる、すなわち安くなること。②卸売会社や問屋、あるいは生産が、世界レベルの事業規模になること。この2つである。

1995年以前は、極東に浮かぶ島国として安穏に生活していた。それはこういう構造である。国際競争力のある弱電や自動車などが、海外から富を持ってくる。その人達は内外価格差があると知っていても、日本の高い食料品や花を買ってくれていた。しかし、2000年のWTOを前にしてすっかりこの時代は過ぎ去り、花の価格は下がっていき、国際マーケットで決まる価格で利益を出せる体質を持つ小売や仲卸、卸や産地だけが生き残っていけるであろう。ご多分に漏れず、淘汰の波が押し寄せている。

2.地球環境保全
ギリシャ神話の地の神「ガイヤ」が示すとおり、この地球で生活や事業を営む者にとって、地球環境保全は当然の義務である。宇宙船地球号の概念から一歩進んで、ガイヤ思想とは今までのGDPの計算のし方を否定する。今までは、例えばタバコを吸えばタバコ生産者、タバコ会社、税金を付加する国、タバコ屋、自販機メーカー、そして広告代理店、生命保険会社、病院、坊主が儲かり、それぞれ売上を計上していた。マイナスのコストに力点を置くと、タバコを吸わせないことが必要になる。ガイヤ思想とはそういうことで、その考え方からCO2マーケットの設立が取り沙汰されるようになる。

自動車会社は自動車を売ることで、当然CO2を地球に吐き出すから、それを吸収し酸素やオゾンに換える緑や海を持たなければならない。持っていない場合は、自動車会社はCO2を再生させる森や海を持つ人から、相当分だけ買わなければならない。それがCO2マーケットだ。

こうすれば、熱帯雨林や海に浮かぶ島国などは、環境保全のための金を手に入れることができる。こうなると一般消費者は廃棄コスト、再生コストを支払わないから安く手に入れることができるようになる。これが今後意識の芽生えと共に値段が高くなって然るべきである。しかし、現在の日本は消費が振るわず、メーカーはリサイクルをグローバルスタンダードで強制されるが、価格を上げるわけにはいかない。

以上のように、グローバルスタンダードで価格を下げなければならないし、地球環境保全でよりコストがかかる。この2つを同時に日本経済は今解決しなければならないのである。我が花き業界は日本経済の一員として、当然この2つに取組むが、しかし他産業のようにコストアップ要因が少ない分だけ恵まれていると言えるであろう。




1999/08/09 磯村信夫