花き卸売業界10%割れか?


 ここのところ公共投資によって支えられている日本経済は、景気浮上が当面の課題であるから、現在不況に陥っている業種も梃入れするところからきている。したがって、産業構造や国民の意識レベルが着実に向上し、変革されつつあるとは言い難い。

民間企業の中でも、日本を代表する弱電は思いの他苦戦を強いられている。所得の目減りが理由の一つで、買い換えをせず我慢をしているのであろう。景気の指標を見る上で欠かせない紳士服の売上は、緩やかながらも向上しており、おしゃれの点では確かに老若男女ともセンスアップを図っているようだ。

花き卸売市場は、今年に入り8月末で前年対比10%の落ち込みをしているものと想定される。この中では花好きが買い換え頻度を伸ばしていることもあろうが、大きな理由は3つある。1つはご多分に漏れず、中高年世代(40〜50)のボリュームゾーンの消費が落ち込んでいること。2つめに卸売会社の構造変革が遅々として進んでいないこと。(規模の経済を追う集散型の卸と、地域の経済に貢献する仕入代行業としての卸売会社の二分化)それゆえ、オーバーストアで安売り競争を余儀なくされていること。3つめが花の低価格化である。

特に第3の低価格化に堪える経営体質を作っていくことが、花き関係のどの分野でも大切であると繰り返し述べてきたが、即人件費に手を着け、システム運用力(チームプレー)に注目してこなかった節がある。良く言われるように、マイナスのリストラと、それで得た原資をプラスのリストラに転用していく。ここにローコストオペレーション+戦略的な自社のポジショニングを作り出すためには欠かせないことを、マイケルポーターは繰り返し述べている。この二つを同時に行うことが必要なのである。

未だ花き業界は官僚主導のもと諸活動が行われているが、この国の将来を見ても、民活が欠かせないことは言うまでもない。1社で効率が進まないのであるならば、提携や合併をして、ローコストオペレーションと業界内における戦略的ポジショニングを早急に獲得すべき時期にきている。




1999/08/30 磯村信夫