手数料


 花の協会ではないが、全国の青果協会で“第7次卸売市場整備計画”の前段の理論として、市場手数料について審議するとの話があり、逸早く「据え置き」を可決したと聞いている。そもそも米から青果や花に作目を変え、所得維持、向上を計っていかなければならない生産地の立場からすると、既存の卸売市場が存在することは一つの条件とも言えるものである。

手数料の自由化については、出荷奨励金(産地に歩戻しすること)や、完納奨励金(買参人に歩戻しすること)と、当然対になって話合わなければならない。オランダでは、美容院のようにコスト積上げ方式で、手数料を受益者負担の形で徴収する。従って、確かにオランダ花市場で販売手数料は5%前後となっているが、その他の経費、例えば送り状一枚について入力、セリ、分荷の手間がかかるわけだから、別途コストを加算した請求の仕方をしている。よってだいたい卸売会社の手数料は10〜13%入るようになっており、海外の花は運賃コストの関係からバルクで場内に運び込まれるので、水あげの課金として4〜5%各社で余分に払っている。そうなると17〜18%の経費を市場に払わなければならない。ただ単に代買をする業者は、もちろん品物を依頼主に届けないが、市場へ支払期日までに入金しなければならないので、10%手数料をとる。

ここで手数料の自由化について考える時、間違えないようにしてもらいたい点は、我々生鮮食料品花きの流通ではスケールメリットを出すことが甚だ難しい業界であるということである。銀行、証券、保険など金を扱う業者は、1万円と1億円の実作業の手間はほとんど変わらない。しかし1万円の花を販売するのと、1億円の花を販売するのとでは、その倍数の2乗ほどの投資が必要となる。扱い規模が大きいところは、それなりの面積とそれなりの要員、設備を我々の業界は抱え込まざるを得ないのだ。確かに総資本利益率で効率経営をしている会社も多い。だが、税引前利益を見ていればわかる通り、他業界のように10%以上ということは存在し得ないのである。(法律で決められた現行手数料が10%以下だからもちろんだが。しかしミスミなどのような効率経営が計れないのは、業界の運命である。)

商流と物流を分ける「運賃あなた持ち」ということになれば手数料の自由化も夢ではないかもしれないが、業界構造そのものがマスのメリットが出しにくい産品を取扱っているのだということを忘れてはならないのである。


2000/01/31 磯村信夫