今年の母の日の前哨戦


 昨日の日経に、花の小売価格が下がっている理由が書いてあった。98年で10年前より25%花店が増えたこと。3万6千軒あまりの花店が通産省の商業統計には出ているらしいが、ホームセンターやスーパーマーケット、あるいはちょっとした雑貨を売っている店や八百屋さんなどを入れると、5万軒以上で花は売られているのではないかと推察する。小売間の競争から価格は下がってきている。そして供給も国内産地と海外産地から出荷が増え、品物が潤沢に供給されている。これが第二の理由である。特にお米の産地が花も米同様に生産してきている。その代表例として山形県おきたまのアルストロメリアが取り上げられていた。記事では、日本の農業改革にも触れていた。

さて今後だが、大田花きが取組んでいる最も重要な課題の一つとして、ご出荷戴いた生産者に、再生産に繋がる価格を返すこと。すなわち、米の農家所得減を花き生産によって食い止め、子供達に農業生産への意欲を持たせること。2003年ぐらいから切花なら輸入が難しい品目や、最先端の品種、あるいは品目に替えるよう依頼すること。また、鉢物などに転換するようお願いすること。同時に大衆品は輸入品を多く扱うようにすること、などがこの5年の前半と後半の当社の大切な仕事である。

カーネーションの予約相対価格は、100〜120円位を前後した大変リーズナブルな設定となっている。よって、従来コロンビア産、オランダ産を主として母の日に扱っていた業者も、品質的に安心できる国内産地のものへ乗換えている。少なくとも大田花きでは国産が圧倒的な支持を受けているという姿が、今年の特徴である。

一方、為替の問題から、輸入品は去年より安く入るだろう。しかし、ヨーロッパもアメリカも、日本より景気が良いから、大元の価格は高くなっている。今年は輸入業者が花店に直接セールスをかけている。在庫が捌け切れないのであろう。国内価格がリーズナブルないし本当に割安になっている昨今、国内生産者もたいへんだろうが、輸入商もなかなか経営が難しい。国内生産者に対して言えることは、卸値が国際価格に近づきつつあり、この価格でも利益が出るような仕組みを、共に作り上げなければならないということである。あまり結果オーライの単価高を期待して、甘い経営をしてはならないのである。


2000/05/08 磯村信夫