市場経済下への序曲


土曜日の日経朝刊のベタ記事だが、アメリカの著名なエコノミストがアメリカが唯一日本だけにとっていた経済政策について、もうとる必要がない旨を日本のエコノミストとの懇談の場で明らかにしたことが載っていた。

9月に入り、ウィンドサーフィンから切り替え久し振りに恒例の木曜日ジム通いを始めた。そこでいつも一緒になる紳士が持論のようにアメリカの対日経済政策について批判をし、小渕政権下の蔵相についてもバブル経済を起こした張本人として糾弾していた。サウナでいつもその話になるのだが、身元の分からないその紳士はワシントンとリオデジャネイロを足繁く往復しているらしく、多分その筋の人なのであろうと思う。サウナの中で私自身が経済学者の飯田経夫氏のファンであることを言うと、彼も飯田氏の本をよく読んでおり、意気投合したものであった。多くの日本人にはアメリカの対日経済対策については公然の秘密だったであろうが、マスメディアも知らせず、この常識を知らないでそれぞれ生活をしていた。4日に亡くなったマンスフィールド駐日大使の時代は、貿易摩擦があったといえども蜜月の関係であったことは歴史が物語っている。

今、日本は日米同盟を基軸にしながらも自立した国家として歩まなければならないのだが、その期待度は小泉政権の支持率が高いことからもよく分かる。しかし、一般大衆の我々は「バンドワゴン効果」といって、右から左へブランコのように大きく振れる可能性があるので、解は殆ど中庸にあるということが分かっていも、感情ではやや振れすぎの強い意見が通りやすい。英雄とはその時代の風を受けた人のことであるが、今の日本はそういう時期なのである。しかし、日本は早く成熟国家として大人の判断を持つ国民によって構成された国になって欲しい。これが先日のサウナでの結論であった。

もう一つ自戒を込めて書くと、コンビニに酒類が出回るようになって、既に酒類免許の規制緩和が行われたのかと思っていたら、実際は2003年に行われるということだ。2003年は我々卸売市場の諸規制の緩和が見込まれており、各種規制や奨励金や卸売市場の手数料などが規制緩和される。2003年は金融機関の不良債権処理まで含めあらゆる産業に渡って構造改革の一つの目標年度である。

具体的な規制緩和日が発表されたところから種々の行動が起きる。それは我々にとって時間が過去・未来・現在へと流れるからである。卸売市場の規制緩和施策についてはまだ具体的な日が発表されていないから、過去の延長線上でそれぞれ商売を営んでいるが、具体的な日取りが決まったところから新たな土俵でお互い競争することになる。コンビニの酒売り場と新聞記事を見ていてこのように感じた。




2001/10/08 磯村信夫