ウォッチ・卸売市場法改正の文言


3月29日付けの日刊食料新聞の一面トップは、卸売市場競争力強化総合検討委員会の第6回会合(28日開催)で、これまでの検討の取り纏めを中間報告する形の記事であった。その内容は、中間報告に対し、業界側委員から議論していないことが書き込まれているなどと、一斉に反発が出されたが、農林水産省側は、これまでの議論を基にまとめたと主張、激しいやりとりあがあったという。そこで発表された中間報告の素案は、3月23日に農林水産省が明らかにしたもの(3月25日日刊食料新聞参照)で最大の関心が集まっている。卸売業者の手数料率のについては、現行の固定手数料率の設定を改め、各開設者が定めた最高限度の範囲内において、卸売業者が開設者へ申請し、手数料率を定めるような見通しが必要としている。また、出荷奨励金や完納奨励金についても、卸売手数料率と同様、開設者が定める最高限度内で卸売業者が開設者の承認を受けて定めるような提言をするなど、自由化への方向がはっきりと示されている。今後の卸売市場制度については、将来的にも魅力のある卸売市場の運営が可能になるよう、国は卸売市場施策の策定を行いたいとし、卸売市場法の改正を求めた中身になっている。

さて、もう1回この委員会が開かれるので、いかなる中間答申となるかは予断を許さないが、気を付けなればならないのは、各省庁で法改正の時に審議会や公聴会を開き、広く国民、識者の意見を聞いたという体制を整え、審議会の報告の精神を尊重すると言いつつ、審議会の答申の主旨と文言が異なってしまうことだ。

例えば、現農基法が改正される前、農政はあくまで産業政策でなければならないとした意見もあったが、「農業・農村」が示す通り、社会政策を混乱させてしまった。確かに農業問題は農村問題であり、社会問題である。しかし、あくまで農政は産業政策でなければならない。同様に、卸売市場は地元の生花店や地元の産地に欠かせないから社会問題とも言えるが、産業政策の一環として捉えるのが本筋であろう。卸売市場の社会政策と混合しながら議論を曖昧にしてはならない。

卸売市場の競争力強化でわかるとおり、まず産業政策であり、それが社会政策に繋がっていくのである。それにしても法改正の時、今まで役人がとってきた行動を考えると、どのような法改正になるのか、最後まで見守り、意見を申し述べることが必要である。




2002/04/08 磯村信夫