"どちらをとる"穀物需要の見通し


日本農業の中で、花には6%の取扱金額シェアがある。東北・北陸の産地が夏場に向けて育ってきたように、米や麦の需要がどうなるかということが、花の生産量を占うことになる。

穀物価格の見通しについて、2つの意見がある。
一つは、2010年頃まで、食料品の供給は過剰だが、その後人口が増え需要が高まるというもので、2050年には世界人口が120億人にまで倍増すると見られているから、足りなくなるという予測だ。
もう一つの意見は、1960年のハイブリッド化プロジェクトをきっかけに、世界の飢餓を大幅に減少させた「緑の革命」と呼ばれるプロジェクトを提唱した米国の農学者ノーマン・ボーローグ(1970年ノーベル平和賞受賞)の実績と品種改良技術、とりわけバイオテクノロジーの進化などを折り込んだ予測である。基礎数字は1960年から2000年までの間に、世界の農地15億ヘクタールで、「緑の革命」によって生産性が3倍伸び、今後も生産性が上がっていくという見通しのもとに算出してあるものである。
また、国際食糧政策研究所、国連の食糧農業機関、アメリカ農務省もそろって「穀物の生産量は研究努力によって今後とも増産を続け、2025年には実質価格も1990年代のレベルを下回るであろう」と予測している。

さて、日本はグローバリゼイションの中で一人負けをしているから、何やら今後とも穀物価格は下がってくるような気がするが、世界レベルで見た場合も研究開発速度が需要に勝ると思われる。そうなると日本の農業では、軟弱野菜や果菜類、果物と併せて花も益々重要になっていくはずである。




2002/05/20 磯村信夫