部署横断組織


現在、社内で冬期研修を行っている。研修の最初と最後に参加者から研修の感想や意見を聞くのだが、会社の組織が機能別の縦割りになっていて、自分の部署で起きたことが隣の部署と情報が共有されていなかったことに気付き、反省やら怖さを感じているようだ。
それはこんな例から社員に理解してもらっている。事故が起こると、「事故伝票」は部署毎の責任者が判をつき、担当役員の判をもらった後処理される。その事故伝票には、買参人と産地、そして当社の三者の当事者名が載っている。すなわち、当社は会社を挙げて、買参人と出荷者にサービスをし、対価を得ているという事実がここにある。
例えば、荷受け時に品物を落としてしまったとすると、その出荷産地や、注文品だった場合にはその買参人にも多大な迷惑をかけてしまうし、荷捌きで買参人へ引渡す場所の置き間違いでも、同じようにその買参人は被害を被ることになる。
当社が部署横断型で買参人や産地へのサービスをしているという事実を、よく認識していなかった従来の場合、荷受け時に品物を傷めてしまったとすると、業務改善は「品物を傷めないようにしよう」「人間のやることだからミスはあるが、極力気をつけて作業しよう」という掛け声で終わってしまう。しかし、顧客である買参人・産地に対し、全員で分担してサービスをしている事実を認識すると、○○さんや××産地に迷惑をかけたという意識が高くなる。花に対しても、せっかくここまで育てられて無事大田市場に着いたのに、自分のミスで傷めてしまったという心の傷を負うことになる。これがミスを少なくすることにつながる。自分が傷ついて初めて行動が直されるのはどんな動物も一緒だ。この具体的にどの産地の誰の品物を傷めてしまったのか、或いはどのようなミスにより迷惑をかけてしまったのかという認識を高めることが、会社全体のカイゼンにつながるのだ。事実として、荷受け作業にしても、その作業に携わる社員は当社を代表して荷物を受けているのだから。

社内の部署横断組織が必要なだけではない。花と緑のサプライチェーンを担う種苗・生産・系統農協・産地機関・運輸会社・卸・仲卸・小売店のそれぞれが、機能別に分断されていたのでは、消費者に我々の思いを届けることができない。協業こそ、今花き業界が認識しなければならない最も重要な事実である。卸売市場の規制緩和が生鮮食料品・花きで行われようとしている。具体的な指針がどのようなものであろうとも、それぞれの業界を乗り越えた具体的なサプライチェーンの協業こそが、花きの消費拡大に欠かせないのである。




2003/01/20 磯村信夫