ウィンブルドン現象


大相撲初場所で朝青龍が優勝した。それぞれの階級で優勝した5人が、外国出身の力士だったとニュースは報じた。これを嘆かわしいこととするか、良しとするか。実力主義のスポーツとするならば、僕は良しとしたい。

優秀な人たちが集まるところが栄えるのはグローバリゼーションの現代では当然のことだ。アメリカは2000年に優秀な留学生や功績のある有能な外国人の永住権を取得しやすくなる法改正を行った。これはアメリカの国力を維持し、増幅させるために欠かせない施策と判断したのだろう。中国ではかつては農村部の人たちは賃金の高い都市部に生活の拠点を移すことは認められていなかった。しかし、昨年中国国内における人の移動についての規制を緩和することができた。これは、地方の優秀な学生だけに都市戸籍を与えて卒業した大学のある都市で就職させたり、また政治家においても定年制を敷くことで都市基盤を整え、自国の優秀な人的資源を都市部に集中させてグローバルスタンダードを作ることができたからと見られている。実力主義のスポーツの世界では国籍などほとんど関係なくなっていると言ってよいだろう。イチローや松井がメジャーリーグへ行く。メジャーリーグから助っ人外国人がやってくる。日本の球界がそれを拒むことはなく、双方が活性化していく。

ところが、日本の行政の世界では少し違うようである。最近ようやく国土交通省がもっと多くの外国人観光客に日本に来てもらおうとキャンペーンを行うそうだ。ところが、観光客なら良いが会社やビジネスマンは来てほしくないというのが現実らしい。これはとんだお門違いではないだろうか?

企業は日本の企業だろうが、外国の企業だろうが、一企業としてグローバリゼーションの中で闘っている。国籍などは関係なくまさに実力だけが物を言う。しかし、行政や政治家は相変わらず日本国内のことに捕われすぎてはいないか。国内の企業を守っているつもりで甘やかしているのではないだろうか。

企業の参入にしても、製品にしても、実力や必要性が認められた結果としてのウィンブルドン現象は大変結構ではないか。花き業界においても海外から有力な企業に来てもらいたいと考えている。それによって起きる波を受けて業界が強くなっていく。優秀な人にも花き業界に集まってもらいたい。この道筋を作ることができれば、業界の発展は間違いないと確信している。




2003/02/03 磯村信夫