平成15年度曇りや雨の日が続く


年度末なので平成14年度を振り返り、明日からの15年度花き流通業界を予測してみよう。

1. 平成14年度
法人需要は依然として厳しい展開だったが、反面個人需要に明るさが見えた。過去からの動向を見ると、指標となる(社)日本花き卸売市場協会会員の総取扱金額は、1998年1月から12月で6,500億円であった。これが2001年は5,000億円となった。先に述べたとおり法人需要が少なくなり、家計の中で経費支出である結婚式や葬式が地味になったためだ。また花の消費カテゴリーが変化したこともあり、市場価格が下がったからだ。平成14年度もこの傾向は続いた。しかし前年までリストラ対象であった50歳台が落ち着くところに落ち着き、再び花を買い出すという事象も起きた。また、60歳以上の個人消費も堅調であった。これが切花の需要だ。一方、園芸はホームセンターが売り場面積を狭めたり、直接取引も行われたりと、市場の取扱金額は横這いであるものの、単価は下落した。

2. 平成15年度
個人消費に明るさが見え、特に50歳以上の消費は期待が持てる。この層は良いものは手を加えず、1本売り、1鉢売りで販売して欲しいとの購買意欲が強い。しかし、これでどの産地もが高品質の物だけを生産するだけではリスクが大きすぎる。理由は依然として業務需要・法人需要が低調だから、需要の中心となる花のグレードは、良質な商品群の中から下位等級品、中以下の品質の上位等級品を選択されアレンジしたり花束にしたりして販売する傾向が今後とも強まると予測されるからだ。他の品目では葉物や枝物に対する需要量がますます増大すると見る人が多いようだ。

次に花を販売する小売段階での見通し。
構造調整の渦中にあり判断も難しいが、不特定多数の消費者に衝動買いをさせる力を持つ駅前や繁華街などの路面店と、集客力のある量販店の花売場は伸びる要素を持っているが、一方で商店街やオフィス街などの独立店舗は厳しい状況が依然続くかもしれない。インターネットで販売している花店は、ブロードバンドが普及しているので、ターゲットを絞れば躍進する可能性が大。取扱金額が前年比を大幅に上回るところも出てくるのでは。

このような状況下で小売業態別に優劣の差があるが、過半数以上を占める専門店がいずれも厳しい現況下にあり、景気動向が変わらずに構造調整が遅れれば、市場価格は横這いから下がる。価格のアップがあるとすれば天災などの要因による供給量不足となったときか。




2003/03/31 磯村信夫