特定関係のつながりでサプライチェーンを強化する


ロジスティックの考え方を身に付けることは難しい。この業界で言うならば、種苗会社から始まって、アンカーの小売店に至るまで、「消費者に届ける」「消費者がお客様である」との視点でサプライチェーンをつながる自覚を常に認識していなければならない。

プリミティブな社会では、消費する人が自分で作ればそれでよかった。次いで、作る人と消費する人に分かれ、社会が発展するにつれて各分野で専門のプロ集団が必要になった。インターネットは時間と空間を越え、One to Oneマーケティングを可能にした。実際に、そのうちの一つである生産者直売もコストがあまりかからなくなった。しかし、信用や格付け、決済、そして保存のきかない花や生鮮食料品などは質・価格・納期の三大要素を満たして消費者に届けるには、バッファーが必要となる。結論として、産地の系統機関、或いは法人化した場合は、バックオフィス、輸送業者、そして卸売市場か同等の機能を持つ商社などと小売店が合理的なサプライチェーンと言える。工業製品はこの生(生産)・配(配送)・販(販売)と異なり、生販同盟でも可能だが、お互い卸売機能を備えていなければならない。

日本ではまだロジスティックの概念が浸透していないのは、サプライチェーンの視点でものを考えていないからではないか。未だに農林水産省の統計は生産者のコスト、或いは小売店のコストなどと示している。サプライチェーンでは、小売価格を、小売店、卸売市場、更には系統農協や資材店、それぞれの機能に見合った取り分で示している。消費者が購買する価格をどのように分け合うかを、サプライチェーンを敷いた立場で話し合って費用対効果の原則の下に取り分を決める。農林水産省、或いは各県の行政府は、この小売価格から算出した統計を出すべきなのである。

さて、サプライチェーンの敷き方だが、成熟社会における競争の仕方で、特定の者同士が組むやり方がある。マーケットプレイスで取引を行うことが基本にあるが、これだとコストダウンに対する取組みがおろそかになりがちになる。例えば、農家にコストダウンせよと言っても、殆どの農家は委託出荷だから、相場が変動したりと、不特定要素が多くコストダウンしづらいのである。また今のようにデフレ経済では、小売価格が下がるケースが多い。このような状態でも利益を捻出するためには、それぞれの流通業者が応分に価格の下げを受け入れ、自らコストダウンせざるを得ないようにする。こうすれば目標ができる。そして実行できなければ利益を失ってしまう。こうして改善進歩していくことで、サプライチェーンを強化し、花き業界を強くしていくしかない。




2003/05/05 磯村信夫