PLAN-DO-SEE


先週の14日、上期の決算発表を行った。15日付けで日経新聞をはじめ農業新聞にも単価安で減収減益の記事が載っていたから読まれた方も多いと思う。(当社のホームページでもご覧いただけます。http://www.otakaki.co.jp/company/f_comp_zaimu.htm)

今年の8月の大田バラ会で最悪期を脱したと講演したが、スイスのある調査会社発表によると、日本の国際競争力は20位代から10位前半になった。これは日本の企業の1割を占める輸出関連大企業の国際競争力が生産性を上げ、損益分岐点を下げることに成功し、利益を多く出せるようになったからだ。残るは9割の企業の生産性だ。大田花きはこの9割の企業に属す。従って個々の生産性を上げないと売上や収益を落としかねない。

ところで、日本の花き業界が生産性を上げる方針を打ち出せていないかというと、決してそうでもない。断片的ではあるが11月前半の切花暴落市況は、販売計画を立てた後、仕入れ計画を立てるという生鮮食料品花きの小売店がより生産性を上げるべく、業革し始めたことも一因にある。予定したものを仕入れる。このPLAN-DO-SEEの仕事のやり方はセリ前取引増加に繋がっている。そしてセリを利用する殆どの専門店も、セリだけではなく仲卸から数束ずつ品物を買って荷揃えしている。作るに天候、売るに天候で、昨年相場が高かった11月前半にも、今年は暖秋のため出荷が集中したが、あいにく消費地の天候が悪く、販売量も限定された。よって価格は青果物同様、いままでの11月相場にはない超安値となった。
サプライチェーン全体で見ると、消費者の買い物動向は天候によって土壇場になってみないと分からないが、供給の方はもし天候の加減があったとしても増減を予め予測できる。「予め」というのは1週間前や2週間前のことだ。これを例えば大田花きにホウレンソウ(報告・連絡・相談)し、大田花きは仕入れ計画の中に予め組み込んでもらうよう仕入れの担当者に個別折衝やアナウンスメントをする。こうして当てにされるよう、事前に仕入れ人の心の中に仕組み作りをしていくことが超安値を回避する新たなビジネスプロセスとなっている。業務需要のパイが小さくなり、小売需要に頼るとなると、嗜好品である花は生鮮食料品に比べて買い物動機がはるかに弱い。従って、野菜や果物より事前情報を適確に取引先の卸に伝え、小売店の販売計画に入れてもらうことが欠かせない。




2003/11/17 磯村信夫