研修の必要性


小生が担当する泊まり込みの社員研修とは別に、昨日ドイツのメッセに向けて、恒例の海外研修組が出発しました。

人に行動を起こさせる力は、腕力と経済力、文化力があります。文化はその人の精神をも健康にさせるもので、理想的な強制力です。グローバル競争の時代になって、周りの状況が我々の取るべき行動を示唆しますから、右肩上がりの時代と違って、自主性の満足度は自ずと低くなり、ストレスがたまっていきます。これでは心身とも健康的に生命を全うすることができません。そこで、自ら新しい状況を作り出す気概を社員に植え付け、新しい時代作りに参画することにより、ストレスを軽減させるだけでなく、生きがいを見出してもらうことが小生の研修の目的です。

それともうひとつ、マネジメントの大切さを教えることです。時間のマネジメントや仕事のマネジメントから始まり、職位に応じて成果を上げられるマネジメントの重要性とhow-toにつき講義をしています。ここで驚かされるのは、多くの人がマネジメントをとりわけ意識することない技術だと思っている点です。この技術としてのマネジメントの価値を教えるのには本当に苦労します。

競争が激しくなり、どこの会社でも忙しくなり、研修の機会が減ってきていると聞きます。その中で会社のマネジメントスタイルはヨーロッパ型が増え、トップ自ら具体的に方針を示し、率先垂範で実行する会社が多くなってきました。知的レベルの高い会社ならe-ラーニングとたまの「飲みニュケーション」で部署横断的に社員全員が同じ方向にむかって仕事をすることができると思います。しかし、当社を取り巻く流通業界、生鮮食料品花きの中間流通業界が20世紀とあまりにも変わってしまいましたし、長い間の分業の中で職人を育ててきた慣習がありますから、無理をしてでも泊まり込みの社員研修に出向くことにしたのです。日本は明治以来の脱亜論から、2003年にはASEAN首脳会議が東京で開催された通り、入亜論に舵をきりました。輸出先も昨年の後半には1位の米国を抜いて中国の方が多かったようです。

このような状況の中で、日本の花きはどのように国内消費者に役立てばいいのか。どうすれば小売流通再編の中で専門店は活躍し続けることができるか。微力ながら大田花きは仮説を立て、その中でお取引先のお役に立てればと考えております。

よく言われることですが、幸福というのは我執に根差しています。ですから、研修で言っているのは“楽”ではなく“心の安らぎ”を求めることでよしとする。これが「足るを知る」ということであるということです。もし我執に根差す幸福が許されるとしたら、それは真の自分自身になろうと努力する中で、生まれる幸せ感、これが幸福というものではないでしょうか。




2004/01/26 磯村信夫