景気上向く


大手企業を中心に収益が回復してきている。アメリカ市場に次いで中国市場も日本のお得意さんに成長したからだ。日本は消費財の輸出より、既にハイテク部品や工作機とりわけ、最上級のNC工作機など、世界の生産財の基地になっている。よくこの5年間で強みを生かし、新しい姿に生まれ変わったものだと敬服する。
私は同じ大田区で、大田花きから4キロほどのところにあるリコー殿をベンチマーキングしてきた。リコー殿も今期最高収益を達成しそうとのことで、さすがである。大手企業は85年のプラザ合意の時に円が一気に2倍の価値になり、その後困難を切り開いてきた実績がある。だから今度の景気低迷とグローバリゼーションも必ずやってくれるはずと思ったが、すっかり日本の大手企業は生まれ変わった。今政府当局は為替介入を積極的に行っている。バブル崩壊後、3回目の景気復調期なので今度こそはという気持ちが強いのであろう。

花き業界も当初の予定通り、2005年から上昇気運に乗るものと思われるが、しかしもう全社が良いということはあり得ない。成熟ゆえの衰退と規制緩和による競争激化そしてグローバリゼーションで、花き業界でも優勝劣敗が展開される。
買参人を見てみると、買い上げのトップ1%の7社乃至8社が既に2桁の伸びを見せている。トップ2%から5%の顧客が105%以上の伸びだ。この中には前年より売上を落としている人もいる。そして6%から20%までの顧客では伸びているところ、横這いのところ、下降気味のところなどさまざまだ。この顔ぶれを見ると、伸びているところはいずれも第1世代で、中には例外的に第2世代の買参人がいる。このように現在はトップ5%顧客が波に乗り始めたところだ。しかし、残りの80%の買参人はマイナス成長であり、買参人800人のうち100人は絶えず資金繰りに苦しんでいる。現に毎年3乃至5件の破産が出ている。
商売は自助努力以外の何ものでもない。会社という組織はあたかもプロジェクトティームのようなもので、利益が出なくなったら解散するべきものである。2004年度は改正市場法施行の1年前倒しで、生産から市場、小売のどの段階においても淘汰の波が予想される。




2004/02/23 磯村信夫