5月相場不振の理由


今年の秋のクリスチャン・ディオールやラクロアのファッションを見ていると花柄も使いながらボディコンシャスに仕上げている。大人のムードが漂い、タイトスカートも出てきて、先進国の人口動態を反映させたフレッシュなものとなっている。
花も一部の品目で、昔流行ったものが再び人気となってきている。但し、古風なイメージがあるキキョウなども時代に合わせるにはもう少し人目を引くあでやかさが必要なようにも思う。

さて、5月に入って天気も思わしくなく、低迷した相場が続いている。この分だと前年対比で80%台の可能性も出てきた。
2003年中小企業庁の商店街実態調査が行われたが、95%を上回る人たちが「停滞か衰退」を予測しており、後継者難が70%近くもある。95年からガット・ウルグアイラウンド対策費として6兆円あまりのお金が農業農村部に使われ、20世紀末大店法の規制緩和とともに、商店街の競争力強化のため4兆円あまりが使われた。
では、この5月の低迷市況は消費不振のためであろうか。昨年末まではそういっていられたが、今年はもう消費不振とはいえない。弊社の取引先の中でも既存店で確実に前年をクリアしているところもある。百貨店やスーパーマーケットなどでもオーバーストアであるものの、確実に前年をクリアしているところもある。結局、花き業界全体が消費者に目を向けたマーケティング活動をしていなかったツケが回ってきているのだ。今までと同じ花店は消費者にはもうこれ以上いらないのだろう。しかし、今までとは違った花店は必要とされている。いくつかの元気な小売店の社長は異口同音に言う。「うちで買ってくれるお客様は“花を持って帰って歩いているところを見てほしい”、“自分がおしゃれで素敵な生活をしていることをアピールしたい”。そういう欲求に応えて花を売っているんです。ですから当然包み紙や容器はおしゃれに、そして中身は花だということが分かるようにしてあるんです。」
花は珍しくなくなった現在、4月のように誰もが花に気が行くと、どこの花店でもまあまあ売れる。しかし、花にあまり気が行かなくなる母の日以降はがっくりと需要が落ち込む。魅力的な店作りをしている花店ではこんな時客単価は下がるが、来客数は落ちない。ここに売り方のポイントがあるが、商店街そのものの活気が失せていく中にあっては、日本中の花の床面積は減っていき、その分取扱量も減る。花の小売業界の新陳代謝が望まれるところである。




2004/05/24 磯村信夫