花き流通の進化


第1四半期(4—6月)の経済成長率について一般紙と日経新聞とでは見出しの書き方にニュアンスの差があった。日本は成熟社会であり、経済も量の拡大から質を高める方向に向かっていかなければならない。生産人口にしても、消費人口にしても、もう頭打ちなのは人口動態を見れば明らかなことである。4−6月の家計におけるサービス支出が43%と高くなってきていることで分かる通り、サービス支出、ソフト化経済の傾向は益々高まっていく。メーカーであっても使用したり、所有してからのサービスに力点をおかない限り物は売れない。
サービス経済の一つの特徴は「考動」——考えて動くことである。「考動」——考えて動くができる会社が富を集める。社内でも「考動」できる社員の評価が高くなる。
経済の質が問われている時代は、たとえ小さい組織でも「考動」できることが必要で、ソフト化経済にあって今後更に貧富の差は大きくなる。

さて、この8月のお盆も販売と仕入れを直接結びつけるような時間差のない商売をする小売店がほとんどであった。店によっては売れてから仕入れるといった仕入れ行動をするところもあった。今後の課題は機会ロスをいかになくすかだが、まずは需要期に合わせて納期を守った生産出荷体制が確立しつつあることをここで報告したい。小売の業態によってそれぞれ仕入れる日時は異なるが、盆用の花は14日(土)まではあまり相場のばらつきがないまま推移した。
当社で唯一この8月の盆に課題が残ったのは岩手県のリンドウの前進開花への対応であった。前進開花はいたしかたないが、その情報をどのように共用し、鮮度を保ったまま貯蔵するかなどの具体的な技術開発が必要であると痛感した。
繰り返すが、今年の8月盆で販売に合わせて品揃えをする小売店が、欲しいときに欲しいものを購入できる適時適量適質体制がほぼ整いつつあることは、花き流通の進化といってよいだろう。




2004/08/16 磯村信夫