アコーディオン方式


お陰様でIFEX2004には多数の皆様にご来場いただき、どの出展者も一定の満足が得られたようです。あとは出展経費を支払ったときに元が取れたかどうかの判断があると思いますが、来年は今年以上の来場者数・出展者数が見込まれそうですから、IFEXは定着していくものと思われます。

さて、昨日17日は大田市場祭りがあり、消費者に花の即売をしたのですが、そこでつくづく感じたのは、花は嗜好品だから、品目・品種数を揃えればよいというものではなさそうだということです。小売の段階でも衣料品店、とりわけこの頃思うように売れていかないGMSでは取扱商品群を絞り込み、フェイズを広げ、季節ごとに場合によっては週ごとに品物を入れ替えながら鮮度を高めた売場にしていますが、花もそのようにしていくことが欠かせないと感じたからです。生産地では99年の単価の下落から安値回避の作戦で色や品種数が増えていきました。小売店も色幅や品種の幅を広げていき、消費者に喜んでいただく体制を整えたのですが、地域特性や用途向けによって絞り込んだ方が効率が高まるとの意見がトップを走る小売店さんから出てきました。もう品種を絞り込んでいく時期に来ているのでしょう。その方が生産も効率的にできます。
もう一つ、花の卸・仲卸の効率性は通称「アコーディオン方式」を利用することです。物流業務ゆえに労働集約的な仕事ですから、荷扱量に合わせて人員を配置する必要があります。鉢物はもともと週2日乃至3日でしたが、切花も3日になってしまった感があり、これは中間流通(農協・輸送業者・卸・仲卸)にとって重要な改善事項ですが、社員が今までと同じ質の仕事をしていただけでは赤字になってしまう業種となりました。ですからまずは物流においてパート比率を高め、アコーディオン方式を利用することによって、損益分岐点を低くしていく必要があるわけです。外部発注も重要なことでしょう。また産地会議が頻繁に行われますが、人をさくことができない会社は出席するのは直接お取引を頂いている所に絞り、その他の産地の出荷会議へは赴かない。必要とあらば知り合いの卸から分けてもらえばよい。こういった積極的な経費削減策を打ち出す動きがわずかながらも出てきました。今まで卸売会社は荷が入らないので、大手市場の買参権を取って発注したり、買い付けたりしていましたが、更に踏み込んで積極的に自社の損益分岐点を下げ、且つ顧客満足度を同時に狙う段階に来たのです。ですから、一層市場間ネットワークは広がりを見せていくと思われます。




2004/10/18 磯村信夫