ライフスタイルで売る


 ヨーロッパでは11月1日に先祖の墓参りをする。日本のお盆と言われているが、実際にはお彼岸のニュアンスの方が近い。この墓参りにはキク類がよく使われているが、カソリックは一輪菊を、プロテスタントはスプレー菊を好んで墓に手向ける。花屋さんはどこでも大量に菊を扱う。

ドイツの友人から、12月に日本に来るので久し振りに会いたいということと、今年の11月1日の花の売れ行き具合を知らせるメールがきた。大変よく売れたそうで、特にスイスやオーストリアでは久し振りの好況だったそうだ。ドイツは経済が良くないからどうかと思っていたが、まあまあだったそうである。ヨーロッパの花の需要はここでひと段落し、20日頃まで消費は一服する。

今年のハロウィンは日曜日だったが、アメリカのドミノピザは前年より10%強の売上増を見込んでいた。今年はホームパーティが盛んだったろう。 

昨日、今月第1回目のタウンウォッチに行ったが、どこの百貨店でもライフスタイルショップとして雑貨などの売場を広く取るようになっていた。マーケティングのセオリーでは、ライフスタイルやライフオケージョンの切り口で販促活動をするとよく言われるが、具現化することはなかなか難しい。デパートなら階ごとにブランド別や年齢別、所得別などの切り口で売場を分けているし、ユニクロならカジュアルという切り口でユニクロウェイを提案する。では花屋さんはどういう切り口でもっていったらいいのか。といっても、地域一番店はそれなりの面積を持っているので提案できるが、それ以外はライフスタイルやライフオケージョンを提案するといっても難しい。結局、カフェテリアとかサラダバーなど、自分の店のターゲットと同じ顧客層を相手にしている異業種と共同出店せざるを得ない。また、そうすれば効果が上がる。例えば、スニーカーを主体とする靴屋さんと衣料品店、そしてCDショップが一緒に出店し、相乗効果を上げている例がある。アメリカの嗅覚・味覚治療研修所のアラン・ハーシュ博士が、花の香りを漂わせている運動靴屋と、自然換気の運動靴屋を作り実験した。同じナイキのブランドを扱ったところ、花の香りがあるところでは、消費者は10.33ドル多くお金を払った。花の香りや良い香りというのは潜在意識の中で客単価を上げる効果があると言われている。また、ゆっくりとしたテンポの音楽を流すと客の滞在時間が長くなるのも同様だ。伊勢丹のB2フロアのライフスタイル売場では、その辺りがうまく工夫されており、花屋さんの位置も良い。しかし、コスメティクスや眼鏡などの売場ではもう少し工夫をする必要があると思う。異業種とのコラボだ。

専門店が存在意義を発揮するには、個店としては既に消費者にアピールする力が他業種よりも劣っていると自覚すべきである。とすれば上記のような所と組むか、自分の最寄駅中心に両脇の駅の同業花店と一緒になり、同一のおしゃれな店構えと内装を作り、同じ看板の下、商品を少なくとも半分同一のものと同じ価格帯、あとの半分を地域に合ったものとして独立採算で展開すると、確実に固定客が取れる。

 




2004/11/08 磯村信夫