ゴムヒモ娘


 昨日お台場を中心に店舗巡りをした。目的は現在の消費を牽引する50歳代以上の世代とともに消費牽引の鍵となる40(ヨンマル)世代(昭和40年代に生まれた世代中心)の消費動向を見ることである。もう一つの目的は、お台場は修学旅行にも来るくらいだから、10代、20代の消費動向と店の仕掛け方を見るためである。 

今年の夏は、ヒマワリの相場がバラよりも高かった。理由の一つに時代は「癒し」から「励まし」に移っていることがある。いつまでもめそめそしていられないから、消費者は前向きに生きていくための商品をあらゆる分野で求めている。それがヒマワリだったり、トロピカルな花や黄色・オレンジを中心とした色合いであったりしている。昨日、特に40(ヨンマル)世代より若い売場を見てつくづく感じたのは、「子供」から「大人」への移行である。時節柄もあるが、店頭はデフレの脱却を狙う意味もあって、確実にあらゆる商品群が「大人」化している。バラ切花のシェアが上がっていること、シャープでスタイリッシュなものが花の分野だけでなくあらゆる分野で売れていること、とくにアクアシティお台場の中にある花の小売店「フラワーショップレインボウ」殿の色使いはバラのレオニダスの良さを十二分に引き出し、絶品の味わいがある。本物は何か。隙のないフォルムや大人っぽい色が好まれている。

 さて、ここお台場でもゴムヒモ娘が多数いた。結婚して実家のすぐそばに住み、娘時代と同様、実家にしょっちゅう帰り、場合によっては夕食の買い物代も支払ってもらう。子供の洋服もおじいちゃんやおばあちゃんに買ってもらう。自分の衣料品やバッグも買ってもらうこともある。こういったゴムヒモ娘がかなりいることがわかった。

都市部でいまニョキニョキ建っているマンションも親がかりでの購入が多いという。高額商品や少々高価な物の消費拡大はゴムヒモ娘たちの活躍によるところが大きい。

美容院のトータルの売上は、ここ2年ほど前年を下まわっているが、花屋さんも中高年者ばかり狙っていたのではこの先がおぼつかない。はっきりとした潮流となっているトレンド「励まし系」「大人系」「40(ヨンマル)世代のゴムヒモ系」を狙った商品が必要である。

さすればそれは何か。それは本物を感じさせる市場に出回る花を、丁寧にその良さを引き出すよう飾り、販売することである。その一例がテッポウユリである。

咲かせたテッポウユリは、若い人たちになんと新鮮な驚きと美しさを与えていることか。先端の顧客を持つホテルやレストラン、ブティックなどでは、いずれも好んでテッポウユリを使い出していることが新しい時代の流れを感じさせる。




2004/11/22 磯村信夫