B品多く相場崩す


 昨日は大田花きの千両市であった。関東地方では、実際に迎春用の花が小売で売れるのは27日頃からだから、松市も千両市もできるだけ遅くして鮮度の良いものを売ってもらおうとしている。今年の千両は悪天候で品質が良くないものが多かった。また、畑掃除のような「この品質ではしょうがない」というようなものまで出回った。

セリが終わった後、周辺市場の相場を聞くと「今年は松は良かったが、千両は安かった」というのが一般的な市況だったようだ。千両は安かったといっても結局品質に見合った相場だったのであろう。消費者の要求は一段階品質が上がっているのに、荷主さんは「絶対量が不足しているからこれも売れるのでは」と下位等級品も出してきた。ここに世の中とのずれがある。

花屋さんは専門店として生きていこうとしている。専門店だから当然自分の店をブランド化しなければならない。そのためにはお値打ち品や値ごろ感のある花を売っても、決して安いだけで品質が劣るものを売ってはならない。消費者がまたいで通る品質のものが千両市でも多数散見された。

12月20日本日の入荷量も前進開花のためか、大変多い。多いと感ずるのは買い気はこの水曜日からだから、まずタイミングのミスがある。もう一つは、「度重なる台風により絶対量が不足しているのでは」との前評判から荷主さんたちは消費者が望まない下位等級品まで出し始めているという品質のミスマッチがある。今日あたり見ていても、一割以上はそのような品質のものだ。そして品質は品物そのものだけではない。商品品質半分、残りの半分は作業サービス、すなわち適確な選別や正確な事前情報、要望通りの卸売会社への着荷タイミングなどの品質の半分を占める。

今年は台風による10月後半の高値で花き流通業界は昔の仕事のやり方に戻ってしまった。消費者にとってどうなのか。小売店は花き生産流通業界を代表して、消費者に花を届けるのが役割だから、その小売店にとってどうなのか、昨日の千両市や本日の荷姿を見てこの視点を欠いた業務を行っていると感じた。




2004/12/20 磯村信夫