2010年11月28日
スパイシーな香りのバラ 「ペシェミニョン」
今年は新品種のバラが、国内で交配・改良されたオリジナル品種を中心に多数登場しましたが香りの良い品種は、そのほとんどがスタンダードタイプ(ハイブリットティーローズまたはフロリバンダローズ)で業界でも登場が期待されている【香りの良いスプレーバラ】は極めて少なく、改良の難しさや奥深さを感じました。
【ペシェミニョン】
今年の初め登場したスプレーバラの新品種「ペシェミニョン」は香りの良いスプレーバラとしては約2年ぶりの新品種で国内オリジナル品種以外では4年半ぶりの登場となります。
基本となる香りタイプはフルーティーで、リンゴや洋ナシを思わせる甘くみずみずしい香り、そして開花が進むにつれチャイナローズの粉粧楼に近いスパイシーな香りも漂い始めます。また、ペシェミニョンの照り葉はとても美しくアプリコットピンクの花色を引き立てます。さらに、トゲが非常に少なく扱い易さも大きな特徴です。
*バラのスパイシー香とは胡椒やシナモン(ニッケイ)のような刺激のある匂いではなく、上品なダマスク系の香りに丁子(クローブ)を加えたコクと深みのある香りといわれています。代表種には北海道の海岸などでみられるハマナス、一重の巨大輪種として有名なデンティーベス、クライミング系のグロワール・ドゥ・ディジョンがあります。
ペシェミニョンはスプレータイプのため香りの拡がりが早く、1~2本でも十分香りますが、花自体が小さく持続性は良くありません。甘いもの好き・小さな罪という意味をもつ「ペシェミニョン」。今後の作付け拡大が期待されます。
(む)