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2016年11月 7日

バラに消費拡大を期待する

 11月4日(金)、横浜で『日本ばら切花協会創立60周年記念式典』が挙行された。世界のバラ生産は、生産立地に適合した、赤道直下の高地が供給基地となっている。しかし、美の象徴であるバラ切花を国産でも欲しいと、もちろん、生産が存続できる価格でないと困るのだが、その国民も好んで国産のバラを買うということが起きている。北欧のノルウェーでも、コロンビア、エクアドルの花が圧倒的に多いアメリカでもこのような現象が起きている。

 日本は、世界の先進国の中でもずば抜けてバラ切花の国産比率が高い。カーネーションの切花をみると、日本だけがコロンビアや中国等の輸入品と競争しても、半分弱を国産が保っている。バラはさらに国産比率が高く、現在のところ、国産4:輸入1、少なくとも、東京オリンピックまでは、このまま温暖化が進んだとしても、国産2:輸入1程度は保っているとみてよいだろう。

 では、何故そうなのか。それは、バラ切花生産者が、お客様一番主義で自己改革を行い頑張っているからだ。具体的な一面をお知らせすると、日本ばら切花協会の記念式典の後に開催された『第47回全国ばら切花研究大会 横浜大会』の参加者は、トップフローリスト達と協力してマーケッターの役割をしている卸売市場の社員や、ブリーダー、苗業者、試験所・普及所の先生方、品質向上と切花生産増の為の、炭酸ガスや細霧冷房等の関連会社、ポストハーベスト関連の資材業者、そして、ディストリビューターとしての運送会社、卸売市場の人たちだ。このような人々が、産地が継続して生産・出荷できるよう支えている。当日の基調講演では、育種ならば、良いとこ取りの、香りが良くて花持ちが良い品種作りに必要なものは何かが講演された。また、切花本数を倍増とまではいかないが、5割近く上げる新生産方式の情報が、愛知県の先生によって開示された。このように、消費者が喜んで買ってくれるバラの生産の為に、積極的に技術革新、投資を絶えず行ってきた60年であった。

 大田花きでは、いいマムの日(11月6日)として、(新しい大人たちと呼ばれる)団塊ジュニア、団塊世代に向けたディスバットマムをご家庭に飾ってもらい、新たな仏様の花ではない菊の需要開拓をしようとしている。日本の、ドイツと同様の悩みは、若い人達が花を買う習慣が無くなってきていることだ。今は菊のシーズンだから、新しい大人たちに菊の素晴らしさを知って頂こうとしているが、特に若い人達に絞れば、バラが一番の花き消費拡大の切り込み隊である。がくが落ちたところで彩花し、しっかり後処理をすれば、夏でも10日は保つ。咲いていく過程で、人々は幸せを感じる。また、すっかり咲いてしまっても、花びらが落ちてテーブルを汚すことが無い。しかも、香りのあるものが多い。このバラを、日本中どこの花売り場でも売れるようにしていく必要がある。具体的には、専門店、ネット販売、量販店、ホームセンター、この四つの小売店で売れるようにしなければならないのだ。現在は、一度買ってベントネックで懲りたのか、スーパーとホームセンターでバラが売れない。この二つのマスマーケットチャネルで売れるようにすれば、単価が下がれば量販店に行くので、相場の乱高下は少なくなると思う次第である。

 専門店と業務需要に特化してきた日本のバラ。これを、もっと広い範囲に顧客を求めて品種選定、また競合時期を考えた出荷のピーク期を策定し、所得の安定に繋げてもらいたい。輸入品との競争は激しくなるが、国産バラに対する期待は益々高まっているのである。

投稿者 磯村信夫 : 12:39

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