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2007年10月 1日

増える花束売り

彼岸の需要期の最中、北東北や北海道は大雨で販売も出荷も大変ご苦労された。米価がピーク時の三分の一になったとはいえ、米が倒伏したりして、この時期に優先しなければならない仕事が多くでき、この地域の花き消費は下がった。上半期を振り返ると、天候異変に翻弄された月日であったが、生産者や小売店の不断の努力で花き需要は大きく落ち込むことなく六ヶ月を終えた。

10月から下半期に入ったが、重油が1リッター70円台に跳ね上がったり、ダンボールやプラ鉢など生産資材がいずれも大きく値上がりしたりと、生産者はさらなる困難に立ち向かって頑張ってくれている。販売側のこちらもそれらを念頭においた応力の努力を惜しまないつもりだ。

さて9月の彼岸期はもちろん、この上半期を通じ花束加工の依頼が増えているとパッカーの人たちは異口同音に言う。仲卸さんも水揚げや花束製造依頼を取引先から要望されるそうで、切花でも一本売りから束売りへ少しずつ移行してきていることがわかる。これは近い将来を思うとますます束売りの形態が切花では増えるのではないかと思う。お惣菜のおいしいスーパーマーケットは流行っているが、まずいところは素材売りでは評価されると言っても、全体の評価からすると「あそこは・・・」となってしまう。

花の売り方も今後、例え専門店であってもそういった売り方が増えてくると思うのだ。その理由は少子高齢化の中での女性の社会進出だ。EUでも北の方は、事実婚や同棲が一般的だ。さすがに40歳代になると、入籍する人たちが3分の2くらいとなるが、とにかく結婚のあり様が日本とは違っている。スウェーデンのように内閣の中で女性の大臣が半分を占める国では、子どもの半分以上が婚外嫡子で事実婚の夫婦が育てている。だから家族のあり様というのが基本的に問い直されているのが今の先進国だ。日本や日本より出生率の低い韓国はいずれも「そんなに長いこと同棲しているのなら早く結婚しなさい」と言われる。しかし僕の友人のフランス人も、子どもが二人もいるオランダ人も日本流の結婚はしていない。しかしそれぞれの国では認め合う一つの家族のあり方だ。私は娘が結婚するとき、「同棲して、この人とならと確信したら結婚しなさい」とまず結婚を先にすることを禁じた。このような家族の形態が増え、女性が専業主婦ではなく、子どもを両親と社会で伴に育てようとすることが日本の社会の一つのあり様として模索されはじめている。今の大田花きの女子社員たちもきっとそのような中で、夫婦で子育てしよう、花も時間があればゆっくり選ぶがなければ花束になっているものを買う。こうなってくるのではないだろうか。

投稿者 磯村信夫 : 2007年10月 1日 00:00

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