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2016年5月16日

サプライチェーンで考えると、発展途上国の日本

 5月26、27日に伊勢志摩サミットが開催されるが、その議題の一つに「食品ロスの問題」が取り上げられる。今後、世界の人口が100億人を突破することが予想されており、無駄にしている食べ物をどうするかは大切な課題である。フランスでは、今年の2月はじめに「賞味期限切れ食品」の廃棄禁止を大手スーパー等で義務付ける法律が成立された。日本の場合、鮮度を重んじ、しかも一人、二人世帯が全世帯の半分以上となっている現在、どのようなルールを決めて、我々の習慣を変えていくかが問題となる。また、消費期限内であれば良いのか、製造年月日はどうなるのか、という問題もある。例えば、おにぎりやお弁当でも、製造年月日が大切になるとすれば、夜中の12時を過ぎてから作るようにしようとする業者がある。しかし、これは何か本末転倒のような気がする。生ものが大好きな日本人も、労働条件まで含め、ヨーロッパ諸国に学んで良いルールを取り入れ、農家や加工食品メーカー、花束加工業者まで含めて、世界的な承認基準を設け、自称ではなく、チェックを受けてもらい、嘘のない生産・流通をする必要がある。

 この11月から豊洲市場が開場するが、いよいよ、卸売市場も、鮮度管理が出来ない市場は消費者や小売店から選ばれなくなる。これは、青果の見た目だけでなく、中身についても鮮度への関心が高くなり、市場流通の質のレベルが上がるということだ。

 西武プリンスドームで開催されている「第18回国際バラとガーデニングショウ」のバラを見た時、趣味で作った方が出品しているバラには無かったが、恥ずかしいことに、プロの生産者の出品物や小売店が販売する商品の中に、ボトリチスで傷んだ花弁のものがあった。「国際バラとガーデニングショウ」は、「世界ラン展」と同様、日本の生産技術を世界に誇り、国際的評価を得ているものだが、生産する温室の中や、農協の集出荷場の中、輸送トラックの中、卸売市場、小売店の作業場の中のどこかにボトリチスの菌がいたから、花弁が傷んだのだ。花びらを剥けば販売している時は分からないが、翌日にまた出てくる。これでは、どこの国にも輸出出来ない。従って、生産者だけでなく、輸送会社、流通会社においても衛生管理を徹底していかないと、世界の花の生産国にはなれないのだ。それにも関わらず、日本はお客様が自国内にいることから、長い間輸出しなくても済み、従って、脇の甘い国内流通をしてきた。もう一度、生鮮食料品の有効利用、ロスを少なくすること、また、輸出に取り組むことによって、日本が世界レベルからするとやりそびれていることを早急に行い、科学に基づいた、身体や環境に害のない食べ物や花を流通させていく必要がある。また、病気がなく、虫が付いていないとチェックされた元気な花や青果を輸出するだけでなく、国内でも当然生産流通させるのだ。

 今、我々、少なくとも花き業界がやっていることは、消費者に手渡しするまでの、世界レベルの花の流通基準からして、甚だ劣るものであり、世界に通用しないことを知ること。この事実認識から始めなければならない。その意味で、輸出や農業改革等は、我々がレベルアップする大変良いチャンスなのだ。

投稿者 磯村信夫 : 2016年5月16日 13:36

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