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2009年11月16日

中小規模の生産者と小売店は継続して発展できる

幕張メッセで11月11日から3日間行われたIFEXではたくさんの方にお越しいただいた。花と緑、そして関連業界のショーとして今年もまた見応えのある内容であったと思う。ただ海外の出展業者からはあまりお声が掛からなかったとの声が聞こえた。残念だった。それはもうすでに大手の輸入商などは現地の生産者をよく調べていて、最も重要な財務基盤なども掌握している。買い手からお金が取れないのも困るが、出荷者が破産しては取引先にも迷惑がかかるので、国内外ともに産地の財務基盤による格付けが花き業界でもされてきたということであろう。闇雲に取引しようとする状況ではないのだ。

弊社の関係会社では開発力の高い花の生活研究所やディーオーシーが脚光を浴びたが、それ以外の流通会社はこのような展示会では名前を知ってもらうということにとどまった。同じ流通業者でも、大田市場の仲卸19社は、切花鉢物流通の約90%のシェアをしめる卸売市場流通が変革期にあるため、大田市場の買参権を持たない花の関係者に強くアピールできたと今回の出展を高く評価している。

今、卸売市場流通は全国規模の中核市場と道州制の中心となる中核市場に分けられ、ここが中央卸売市場として今まで以上に評価機能と品揃機能を強めていくことが予測されている。地産池消で文化の香りがする生鮮食料品花き流通と世界の花や国産の特産物、また価格競争力の強いロット商品を扱う大規模中核市場に分かれる。それは物価と賃金の調整が本格化した日本において、日本国民が求める方向に卸売市場が対応する。消費者が行く方向に小売店は対応し、卸売市場も農家も対応する。大きな事業家農家や1億円以上の農協の花き部会しか残れないようでは困るので、ファーマーズマーケットや道の駅が盛んになった今、産直農家と地元の市場に出荷する農家、地域の拠点的な市場に出荷し地域の拠点的な産直市場でも販売する農家、都市部の大規模拠点市場に出荷する農家。少なくても農家の諸事情によって4種類の生き方ができるようにしていくのがよいと思う。現状、小規模農家と対になっていて、その人の荷を地元の市場で買っている街の小売店がいる。農家の場合には地域が小規模農家を支える。しかし小売店の場合には組織化や地域で助け合う習慣がない。よって地元の市場はリテールサポートや的確な消費宣伝活動を行う。特に地元の小売店で花を買ってもらえるよう業界をあげて支援する意味で物日などに消費宣伝活動をする必要があると思う。大規模ではないが良い仕事をしている小売店は多い。家賃がいらないから、良いものを安く提供できる。また花の小売店は八百屋さんや果物屋さんと違って素材屋さんではない。料理のように花束やアレンジを作ってお客様からお金をいただく。例え仏様の花にしても、自ら味付けした店独特の味である。だから私は、花屋さんは小料理屋さんだから絶対に街で、しかも個店で生き残っていけると思うのだ。

街の花屋さんと小面積の生産者が対になっている。どちらかがなくなると、どちらもなくなる。死ぬまで現役でいられるこの商売を時代にしっかり対応させて、存続させることが花き業界の重要な課題だと考えている。ASEAN統合とAPEC、FTAとEPA、WTOなど、世界が一つになって的確にその世界の中で自分の役割を見つけていく日本。共存共栄を図る中で、まず我々は小売店と生産者の発展を期さなければならないと考えている。

投稿者 磯村信夫 : 2009年11月16日 00:00

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