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2016年1月25日

世界標準レベルと自分のレベルを意識して仕事をする

 北極圏にある寒波は、ちょうど十字架のような形をしている。エルニーニョ現象の影響で、短い面の方が日本にあったので、今まで暖かかった。それが動いて今度は長い方が日本列島にやってきたので、沖縄や九州でも雪が降っている。中国の昆明も雪で、栽培ハウスには暖房設備が整っていない所もあり、旧正月前なのに、この一週間は中国では花不足となるだろう。日本は、この十字がまた動くので、これからまた暖かくなるという。この雪でハウスの被害が少なければ良いと願うが、入荷が少なくなって、相場を冬の平均値に直す良いきっかけであるともいえる。

 株価や原油安、BRICsの経済が振るわないこと等、経済面でのグローバル化だけではなく、政治や国防においても、絶えず世界の中での日本を意識しなければ生活出来なくなっている。花や青果の輸出に於いても同様だ。日本文化を切り口に、輸出国に花や青果の素晴らしさを受け入れてもらった後、もっと量を使ってもらうようにするには質と価格において競争力を持たなければならない。その為には、グローバルGAPや食物検疫、スピーディーな原産地証明書発行だけでなく、その国との信頼関係、そして何よりも生産・輸出するまでの国内流通の生産性が世界的にも優位なものであるかどうか、また、種苗などにおいては、輸出した先で商品が無断で繁殖・栽培されないかどうか等の協定や育種措置等を国際的に行っていかなければならない。

 世界には様々な価値観があり、日本人からすると一筋縄ではいかない国や会社、人々がいる。日本を『一国一文明の国』だとS・ハンチントンは言ったが、そこを意識し、日本として守るべきものは守る。一方で、絶えず世界を意識した生産、流通、花のデザイン等を行っていかなければならない。日本の新興企業の経営者は、そういった気持を植え付けるべく、社内でのコミュニケーションを英語で行う様にしているところもあるそうだ。意識の上では、我々農業・園芸流通業界でも同様に取り組んでいかないと、グローバリゼーションの中において、輸入で足下をすくわれることはあっても、輸出で利益を得ることは出来ない。未来を勝ち取ることは出来ないのだ。

 今年は国際標準を意識し、まだであればそのレベルになり、もう既にそのレベルにある個所は、その上を志向し、国際社会の中で活路が見いだせる業界になっていかなければならない。各自の検討をお願いする次第である。

投稿者 磯村信夫 : 14:32

2016年1月18日

花のある国・日本を目指して

 昨年、大病を患い療養したので、運動をして元の体力に近づこうと思い、この冬はスキーに行っている。正月までは雪が少なかったから人工雪のスキー場へ、最近はようやく降り始めてきたので、ロングコースが楽しめる本格的なスキー場へと、都合三回行った。スポーツクラブでもリハビリをしてはいるが、上半身の鍛え方が足りなかったかのだろうか、重いリュックを背負って行くと帰るころにはもうリュックを背負いたくない位、上半身が疲れている。その意味では、スキーは全身をバランス良く使うので、身体のバランスを整えるには大変良いスポーツだ。

 スキーをしていて気付くのは、東京から新幹線で一時間半くらいの手軽なスキー場には、アジアからのスキーヤーが今年もかなり多いということだ。リフトは一番少なくても二人乗りだから、リフトに乗り合わせた人と話をする。そうすると、3回に1回はマレーシアやタイ、台湾や香港、韓国からの人達に会う。また、そういった人たちは家族連れで来ている人が殆どで、人工雪のスキー場でも十二分に満足してスキーやスノーボードを楽しんでおり、日本にも日本人にも良い印象を持ってくれているのが分かって大変うれしい。

 先週行った新潟の赤倉スキー場には、長野の白馬村と同様、オーストラリアやニュージーランドからのスキーヤーが多いことで有名だ。彼らはスキーをしに来ているので、柵がしてある滑走禁止の場所にも滑りに行く。スキー場からすると困ったものだ。私も彼らに「まだ雪が少ないので、ブッシュに引っかかって危ないから入らない方がいい」と、思わず注意した位だ。泊まったホテルでは、三分の一以上がオーストラリアやニュージーランドの人達で、残りは韓国をはじめアジアの人達、そして日本人で、ここまで国際化しているのかと、思うほどであった。彼らや、その前に行ったスキー場のリフトで乗り合わせたアジアの人達にも、日本の花の事について聞いてみた。すると、宿泊するホテルのメインロビーの花の素晴らしさや、デパートの花屋さんのことは言っていたが、普通のレストランや食堂では、花が飾ってあるのをあまり見ないと言う。
彼らは、日本ではもっと身近に花があるものと思っていたらしい。そこで、私から「日本は世界でも有数な切花・鉢物の生産国で、消費も一国とすれば世界で10位以内に入る国です。ですから、皆さんの国から花を輸入しているでしょう。まだ日本にいらっしゃるのでしたら、街に必ず花屋さんがありますから覗いてみてください。色々な種類の花があるのでびっくりすると思います」と、話をした。

 我々が考えているより、アジア太平洋の人達は、日本が花の国だと思っているようだ。そう思ってもらえるように、色々な場所で花のある生活が楽しめるよう、法人需要のフラワービズ、家庭需要のウィークエンドフラワー、フラワーフライデー等、消費拡大に取り組んでいきたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 08:00

2016年1月11日

健康の青果だけでなく、花きで住環境を整える時代に舵を切った

 先週の9日(土)、(一社)帝国華道院主催『第89回全日本いけばなコンクール』の表彰式が、箱崎のロイヤルパークホテルで開催された。その懇談会で、各流派のお家元をはじめとする諸先生方に、今の切花チューリップは前処理をしているし、カスミソウも匂いを抑える処理をしているので、どちらも暖かい部屋に置いても間延びや匂いを気にせず使ってもらえるようになったことをお話しした。初めて聞いたという先生方が多く、市場や小売店が、産地それぞれが行っている改善努力を消費者へ情報提供出来ていないことを感じた。原産地表示まで含め、『この産地はこのような前処理をして花持ちを良くしています』といったような、業界人は知っていて当たり前のことを、消費者にも的確に伝えていかなければならない。

 さて、今年を占ういくつかの事象がマスコミで報じられている。まず、天候の話題、エルニーニョ現象である。エルニーニョ現象は現在、史上最大と言われており、今週は例年の寒さだそうだが、暖冬であることには変わりはない。天候異変が今年はこれからも続いてゆく。二つ目に景気だが、昨年の前半は、個人消費はしっかりしており、エコノミストが予測した通りの展開となった。しかし、年後半から食料品(生鮮食料品を含む)と中国産の衣料品等、買い物頻度の高い「食」と「衣」が値上がりし、いわゆる「体感物価」が上がって消費が控えられた。個人消費が振るわなくなったのである。花の場合、それに加えて暖冬の影響で、11、12月の安値市況展開となった。

 2015年の青果物は20世紀の単価水準となり、平成になって最も高い単価となった品目も多い。これは、天候異変による不作だけが原因ではなく、「健康」、「安心・安全」、「機能」を合言葉に、消費が確実なものになっていることを示している。花と同様、11月から現在まで、暖冬の影響で単価は失速気味だが、大きな傾向として、カット野菜まで含め、野菜の供給不足時に、原体価格が高値になっても、小売現場では家計に無理のない価格帯となる調達ルートが、2015年でおおよそ出来てきた。従って、青果の単価がこれ以上上がるのは難しいのではないかと思われる。一方、花の場合には、2015年の青果の高値につれて単価が上がった面もあるが、花の消費においては最悪期を脱しているので、小売価格を据え置いて、量を販売する時代になってきている。

 量を買ってもらうためには、一年間52週にフィットした花を提案しなければならず、その時々の天候に応じて若干修正を加える等、販売していこうとする花の品揃えと見せ方、価格を一にも二にも工夫しなければならない。ここ数年、青果物と同じ波長であった花の相場は、同じ地域で作られている農産物だから、天候の影響を受けて同じ流れの時もあろうが、20世紀の終わりから21世紀のはじめのように、青果物と別の動きをすることが予想される。それだけ、花きが農産物において主要地位を示しつつあることが、誰の目にもはっきりと映ってくる年になるといえるのではないか。

投稿者 磯村信夫 : 11:37

2016年1月 4日

今必要とされていることをやる

 明けましておめでとうございます。

 花き振興法が策定されてから実質2年目、いよいよ花きの生産拡大、消費拡大運動に弾みをつけてゆく年となりました。卸売ベースでの取扱金額で、現在の3,700億円※から、2020年、東京オリンピックの年には5,000億円、2025年には6,000億円の取扱高を、国を挙げて目指します。
※(一社)日本花き卸売市場協会 データより

 まず本年は、消費の主役に躍り出た団塊ジュニアに好まれる花の生産販売に努力を傾注します。また、花き消費の中心である仏花や、人生の通過儀礼としての花需要を大切にしながらも、主力をパーソナルギフト、家庭需要に置き、法人・家庭とも生活空間にフィットした花を生産販売する努力をします。具体的な運動としまして、仕事場に花を飾ってもらい、潤いや生産性アップを狙った花や緑のオフィスを演出する"フラワービズ"を、業界を挙げて取り組みます。また、"ウィークエンドフラワー"や"フラワーフライデー"の愛称で、毎週末の買い物として、花売り場で一家団欒、家族の為に花を買ってもらいます。間近の1月31日・愛妻の日には、奥さんに花をプレゼントしてもらいます。2月14日のバレンタインデーには、男性から女性へ格好よく花を贈ってもらいます。その格好よさを、FVイベントや、広告媒体を通じて生活者に訴えていきます。

 パワーは私たちの内側にあります。思ったことしか実現しないし、やったことしか実現しません。だったら、花き業界は"思って実行"する。誰かがやってくれそうだと、自分が楽をするのではなく、種苗・生産・集出荷・配送・卸・仲卸・小売の各分野で花き業界が頑張って、日本国民が自分自身の生活の質を上げてもらえるよう応援して、花を買ってもらえる年にします。オリンピックまであと4年、皆の努力が積み重なれば、必ず大きな力となって、花のある生活をしてもらえます。そうしたら、我々も心豊かになれるというものです。

 では、さっそく、本年の努力をまず一歩から積み重ねていきましょう。
 

投稿者 磯村信夫 : 11:41

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