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2010年9月27日

話題二つ

先週末ちょっと用事があってベトナムに行ったが、ホーチミン空港で入国のとき、「外国人」と「ベトナム人」の間に「ASEAN」があった。本格的にASEANが一つの集合体として動き出しているなという実感があった。

ドイモイ(開放)政策の前にベトナムを訪れたとき、中国と比べてみて絵がよいので、歴史的文化背景と大国中国の国家運営との違いを肌で感じ取ったが、今回も1日5~6ドルの賃金の人たちが向学心に燃えていてよく働く姿を見て、この国の未来を信じた。

福沢諭吉は「一身独立して一家独立する、一家独立して一国独立する」と独立自尊の大切さを説いたが、同様に儒教にも「修身 斉家 治国 平天下」とあり、ベトナム政府が個人や個々の暮らしを大切にしていることがよくわかり、良い印象を持って帰ってきた。今後ベトナムと日本は良い関係を発展させていくだろうと確信した。

今日は第14回のかぼちゃ大市である。団塊ジュニアはディズニーランド世代で、その人たちがお母さんになって、東京の新興住宅では幼稚園だけでなく地域間でハロウィンの「Trick or Treat」(子どもたちが「お菓子をくれないとイタズラするよ」と言ってお菓子をもらい歩くこと)や仮装パーティーをやるようになっている。六本木ではずいぶん前から仮装した人がやってくるが、団塊ジュニア以降の若い人たちがハロウィンを楽しんでいるのは日本の一つの特徴だ。日本の経済を発展させるのは、第一弾が団塊の世代、第二弾が団塊ジュニア、そして第三弾が女性たちの活躍だ。「三つ子の魂百まで」なので、子どもと十分に接する時間がまず必要だが、もっと多くの既婚女性が働くようになってほしい。子どもは両親だけでなくおじいさん、おばあさん、そして地域で育てるようにすれば、国の活力も働き手の人数も失わないですむ。こうすれば理想的には子どもの数は2.3人になっていくのではないか。まず花のマーケティングとしては団塊ジュニアの世代にかぼちゃをくりぬいて飾ったり、それをベースにしてアレンジメントを作ったりして、花を身近なものに感じてもらうことが欠かせないと思っている。おもしろそうなこと、楽しそうなこと、そこに花を使う。それがすっかり定着したのがハロウィンのイベントだ。実りの秋の10月である。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2010年9月20日

秋冬の見通し

10月25日の週にオランダから花の関係者が大挙して来るそうだ。ユーロがしばらく弱いのでもっと花を買ってほしいということだろう。

ヨーロッパはEUを中心にここ2年間、国債発行や特別減税措置などを行い景気をテコ入れしてきたが、出口論争である財政再建の議論が活発化している。イギリスの40歳代を中心とした保守党政府の財政再建策を見ていても、日本ではとうていできそうにないものでも国民はそれを支持し、自らのこととして協力している。だからしばらくユーロは弱いと見るべきだろうが、アメリカは二番底にならぬよう更に政府は財政支援を決めた。しかし大統領府と議会がしっくり行っておらず、今後の中間選挙で共和党の議席が伸びると公共の投資や政府の支援策が更に遅れ、タイミングを失する可能性がある。

日本は民主党の代表選で菅総理は為替介入と更なる景気対策を一定規模だが約束した。為替は予断を許さないが、市場はこれ以上円高になることはないと見ており、日本は二番底まで陥らないで済むのではないかと私は考えている。

そうなるとこれからの花の商況を考える時、130年来最大の天候異変をどのように織り込んで市況を見るべきか。1つは12月、1月出荷分の菊からはじまり、ストックやスナップなどあらゆる花の定植が遅れ、また活着が十分でないこと。この秋までの傾向通り、出荷時期が後ろにずれ込んでいること。天気予報どおり秋が少ししかなく、急に冬になるようであれば、円高で油が安くなっているが、3年前のように潤沢に焚くわけにはいかない。結局穴が開く期間があること。松や千両などは高温、干ばつで被害を受けており、消費者の懐を考えると、高値はかえって買う気をそぐことになるので、折り合いを例年の2割高までとどめておく必要がある。そうなると上位等級品も少ないが、品目によって高値で2割高、中値で3割高で、需要が高まる1日と15日の前、週末の結婚式などの前に高くなり、このタイミングを過ぎると下がるといった波調を繰り返すこととなる。また12月の仏花素材は寒くなることでもあるし、沖縄に台風被害があまりなければこの8月と9月の需要期に間際の手当てで懲りているから、早いところで12月15日近辺から買いが入ってくるものと思われる。

130年来最大の異常気象による小菊とリンドウの飢饉とも言える絶対量不足の彼岸期は、いやがおうにも卸売市場や小売、花束加工業者の再整備を促した。生鮮食料品花きの市場流通の再整備は人口動態と時代背景をもとに天候異変によって促進される。この流れは2015年まで加速すると予測される。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2010年9月13日

コミュニケーション能力を身につけよう

 8月20日からこの3年間で最低の単価水準に陥っていたが、来週の20日からの需要期を前に単価がジリジリ上がってきた。仲卸通りの人も多いのに、入荷は前年より1割以上も少ない見通しでお中日が終わったら彼岸用の荷が出てくる予定で、猛暑による開花遅れを恨むしかない。8月は猛暑による売上減を様々な小売業界で経験したが、IMFは10日の経済見通しの中で、先進国の金融不安と個人消費が低調でデフレになることを懸念しており、今年後半から来年の最初のころにかけての経済予想を当初より一段低く見ている。切花は2008年度以上にならないもののようやく昨年を上回った。しかし、鉢物類はここ3年で最も低調な市況で、花き業界は雨のち曇りとなりIMFの景気予想は今秋冬期に不安材料を投げかけている。
 しかし頑張るしかないわけで、仏花需要は健在なので他のカテゴリーの消費がさらに活性化するよう30歳代、40歳代、50歳代この層にポイントを絞り販促活動を強め、取引先の生産者に再生産価格を必ず返していきたいと考えている。今までより思いを強くしているのは、ここのところの円高で法人税が少しくらい下がっても工場の現地化は避けられないということだ。だから日本の職を維持していくためには1次産業と第3次産業を活発化させることが必要で花き産業をもりたてることは第一だが、職場を作るという意味から1次産業の農業と第3次産業の花き流通業を活性化させる役目があると考えている。
 90年代から工場が消費国に移転し、いわゆる現地化がなされているがブルーカラーの雇用が減ったことはとても大きい。公共投資が少なくなって建設労働者の職が減ったことも、大手サービス業がチェーン展開し個人商店が減ったことも、さらには2010年の農業センサスにもある通り5年間で70万人以上の農家が減り漁業者が減ったことも職場の喪失としてとても大きい。今挙げてきた職場はいずれも対人関係を中心としない職業で、それらが少なくなった分、日本の職場はホワイトカラーとか販売やサービス業という対人業が圧倒的に多くなった。だから日本ではうつ病の人が多くなり、その数は100万人~300万人いると言われ、それは職種がいずれも人間関係の上に成り立っている仕事になったからだ。大田花きでも月に1回産業医の先生が来てくれて社員の健康問題を指導してくれている。健康診断でも心の病を診断項目に入れるという動きもある。
 先進国として日本はホワイトカラーや販売サービス業の対人折衝をする仕事が多くならざるを得ず、国際化すればするほど外国人を使う立場の人たちも増えている。文化の違いを含めどのように日本人は対人折衝能力を高めていけばよいか。それは多様性を是とし、違いを違いとして互いに認め合い、共感して思いやりを持って接する他ない。思いやり、謙虚、素直、言葉で言うのは簡単だが少なくとも適材適所。職を2つに分けるとすれば、対人折衝が得意な人、得意でない人に働く場所を分けて当面やっていくことであろう。そして日本は多くの商社マンの能力開発にならい、自らのコミュニケーション能力を鍛えて国際化にふさわしい日本人として仕事をしていける道を選んでゆくことが必要だ。コミュニケーション能力が共感と思いやりに基づく能力であることをもう一度認識し、本来持っている日本人の良さ、"お互い様""武士に二言はない""有言実行"をしていこうではないか。日本社会の中で産業構造が早いスピードで変わっていっている。それは売るのが難しくなっている花き業界も同様である。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2010年9月 6日

「新しい」をつくる

土・日と小学校のクラス会で、泊まりがけで那須温泉に行った。那須というとリンドウで有名だが、リンドウ以外にもアスチルベやベロニカなどの草花、スプレー菊、バラがあり、高品質な花を作っている。自由時間が多かったので、那須町農協の方にお願いし、部会長と一緒に圃場を見て回ったが、那須といえどもこの猛暑でハウス物はまぁまぁだが、露地物の出来があまり良くない。夜温が下がらず生育がストップしていて、敬老の日やお彼岸の需要期に間に合わないものも出てくるだろう。だから少し硬めでも良いので、切り込んで出荷していただくようお願いをしてきた。

来週いっぱい猛暑が続くようだが、8月の終戦の日以降、商店街の花屋さんの売上が例年の7掛けと、店売りは3割落ち込んでいる。花屋さんは活けこみやギフト、冠婚葬祭など店売り以外の需要を集めがんばっているが、それでもどうしても売上は2割近く例年を下回っているようだ。駅ビルやスーパーなど空調の効いている花売場は暑いながらもがんばっており、小売は1桁マイナスで留まっている。今日の市から少しずつ需要期に向けて入荷は増えてきているが、花保ちの良いものをどのように提供できるか、産地での採花日表示や小売店での金額、品種名、産地名の表示、できれば何日までなら花保ちを保証するなど花保ち保証をすすめていただきたい。暑い中で家ではクーラーをつけっぱなしのはずなので、一定に花保ちを保証できると思うのだがいかがだろうか。
このように新しいサービスや新しい花を創ってしっかり家庭に花を届けたいと思う。新しいサービスや新しい花を創って需要をリフレッシュさせる。それが不景気といわれる中での大切な仕事だ。

今年は各種苗商から出される品種が近年では最も少ない。何か野菜に力が入っているようだ。これではだめで、消費者に目新しさを届けていき、需要を創っていくことが必要だ。
花き切花業界ではバラは消費者に驚きと感動を与えられる新しい品種が多数揃った。トルコギキョウとユリ、カーネーションも感動を与えることが出来ると思う。ヒマワリと枝物も自信がある。今心して新しい商品を作っていかなければならないのが草物だ。今年のように暑いと花保ちが悪く、需要が減る。草花作りはヨトウムシ他、虫害の被害が多いので製品化率が低い。日本の暑い夏を越えて製品化率を高めるのは本当に難しい。だからここのところの草物に新鮮さがない。エコから枝物や葉物だけではなく、草花は欠かせないものだ。草花が得意な産地は、3年なおざりにされてきた草花の商品開発をぜひともすすめてほしい。花保ちが良く、季節を感じさせる草花こそが成熟した国民生活を営む日本の家庭に最も必要な品目であると思われる。すべての花の生産者は需要を作り上げるために新しい花と新しいサービスを作り出していこうではないか。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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