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2010年9月20日

秋冬の見通し

10月25日の週にオランダから花の関係者が大挙して来るそうだ。ユーロがしばらく弱いのでもっと花を買ってほしいということだろう。

ヨーロッパはEUを中心にここ2年間、国債発行や特別減税措置などを行い景気をテコ入れしてきたが、出口論争である財政再建の議論が活発化している。イギリスの40歳代を中心とした保守党政府の財政再建策を見ていても、日本ではとうていできそうにないものでも国民はそれを支持し、自らのこととして協力している。だからしばらくユーロは弱いと見るべきだろうが、アメリカは二番底にならぬよう更に政府は財政支援を決めた。しかし大統領府と議会がしっくり行っておらず、今後の中間選挙で共和党の議席が伸びると公共の投資や政府の支援策が更に遅れ、タイミングを失する可能性がある。

日本は民主党の代表選で菅総理は為替介入と更なる景気対策を一定規模だが約束した。為替は予断を許さないが、市場はこれ以上円高になることはないと見ており、日本は二番底まで陥らないで済むのではないかと私は考えている。

そうなるとこれからの花の商況を考える時、130年来最大の天候異変をどのように織り込んで市況を見るべきか。1つは12月、1月出荷分の菊からはじまり、ストックやスナップなどあらゆる花の定植が遅れ、また活着が十分でないこと。この秋までの傾向通り、出荷時期が後ろにずれ込んでいること。天気予報どおり秋が少ししかなく、急に冬になるようであれば、円高で油が安くなっているが、3年前のように潤沢に焚くわけにはいかない。結局穴が開く期間があること。松や千両などは高温、干ばつで被害を受けており、消費者の懐を考えると、高値はかえって買う気をそぐことになるので、折り合いを例年の2割高までとどめておく必要がある。そうなると上位等級品も少ないが、品目によって高値で2割高、中値で3割高で、需要が高まる1日と15日の前、週末の結婚式などの前に高くなり、このタイミングを過ぎると下がるといった波調を繰り返すこととなる。また12月の仏花素材は寒くなることでもあるし、沖縄に台風被害があまりなければこの8月と9月の需要期に間際の手当てで懲りているから、早いところで12月15日近辺から買いが入ってくるものと思われる。

130年来最大の異常気象による小菊とリンドウの飢饉とも言える絶対量不足の彼岸期は、いやがおうにも卸売市場や小売、花束加工業者の再整備を促した。生鮮食料品花きの市場流通の再整備は人口動態と時代背景をもとに天候異変によって促進される。この流れは2015年まで加速すると予測される。

投稿者 磯村信夫 : 2010年9月20日 00:00

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