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2016年9月 5日

もう一度、高齢者の生活者に合わせた需要の掘り起こしを

 秋の需要期に向けて、切花・鉢物ともに出荷が本格化してきた。しかし、トルコギキョウやリンドウ、そして、小菊は需要期の前に咲いてしまい、調整が必要なようだ。特にリンドウは、花腐れ菌核病が出やすいので、箱に入れたまま定温庫で保管することは出来ないと考えてよい。箱から出し、水揚げをして管理すれば、低温で10日間保管した後に消費者の手に渡っても、10日間はもつ。定温庫やスペースのない買い手もいようが、調整作業は小売店までの流通供給サイドの仕事である。また、9月になり、結婚式や披露宴に使用される花が売れ始めている。結婚する人は年間約60万組、そのうち挙式する人は半分の30万組、さらに、その中の1割はハワイ他、海外で式を挙げる。このように、結婚式や披露宴をする人たちが限られてきた。従って、セレクトされた納品業者に活躍して貰わないと、素晴らしい花のある結婚式が出来ない。

 少しおおざっぱに言って、日本は現在、年間125万人が亡くなり、100万人が生まれている。このような人口減の中で、「あらゆるものが需要減で、縮小均衡の日本産業界だ」と思うのなら、それは悲観的過ぎる。我々が取り扱う生鮮食料品花きは、消費されてなくなる商品で、需要のチャンスが何度もあるからだ。また、鉢物でも、母の日にプレゼントされたアジサイの鉢を庭に地植えして毎年楽しんでいるが、もっとあっても邪魔にならない。だから、来年もお母さんにアジサイの鉢をプレゼント出来る。花はそういう意味で、普通の物財の商売よりも楽観的にみて良い。

 ドイツと同様、花き産業は1970年代・1980年代生まれに上手にアプローチしてこなかった。ここの消費を増やすよう、現在もプロモーションを行っている。さらに重要なことは、日本は男女平均でみると、世界最高位の長寿国だということだ。従って、健康寿命とクオリティオブライフに目を向けた消費拡大を図ることが必要だ。イノベーションで、より健康で質の高い生活をしてもらう。そういうものを生み出していく。

 関西は薬・繊維産業や弱電業界が多かったので、団塊ジュニア世代の人口比率が少ない。従って、関西の花市場は、地方に向けての転送需要を獲得する必要がある。しかし、国は、アンチエイジング等の健康寿命とクオリティオブライフの産業を、関西地方に集中させようとしている。従って、人口が増え地域は活性化する。関西だけでなく、日本人誰もが生活者の目的に合わせたイノベーションをする。花もそこに向けて行く。例えば、身体は病気でも精神は病気にならないよう、病院でもっと花を飾ってもらう、病院生活でのクオリティオブライフ。また、認知症予防の為の高齢者のフラワーアレンジメント等が挙げられよう。

 その国の素晴らしさの証である長寿。日本は世界のどの国よりも先に長寿社会になった訳だから、今は、介護やケア付き施設、葬儀にイノベーションが起きている訳だ。花も"ピンピンコロリ"の需要に合わせた花やみどり、クオリティオブライフに合わせた「オフィスに花を」等、日本の生活者、特に、65歳以上の生活者に合わせた需要に合わせ、花のサービスを供給する。花で、そのニーズを満たすイノベーションを今後行っていく。「日本で成功したら、他の先進国にも輸出出来る」という意気込みで、我々花き業界も、日本の高齢化社会に合わせた花でのイノベーションを、仏花の組み合わせや大きさ、色、香り等で行い、我々の所得の向上につなげていく。これが欠かせないことと思う次第である。

投稿者 磯村信夫 : 2016年9月 5日 16:30

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