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2007年4月30日

小料理屋の要素と八百屋の要素

新丸ビルの1階、北側の出入り口のところにリベルテさんが出店をした。新丸ビル自体がオシャレなファッションスポットだから、今後の事業展開が期待される。
丸の内を土・日も人が出る場所にしたいと三菱地所は考えているようで、中央通りは花のイベントを年に何回か行い、歩道もゆったりしているから本当に楽しい場所になっている。

ここで気付く点は、この街はコンビニを除き、すべて専門店だという点だ。花の専門店には、小料理屋の要素と八百屋の要素の二つが必要だ。料理を作って出来合いの食事を買ってもらうように、花束やアレンジメントを作って販売するこの傾向が東京では多い。そして、丸の内の場所では付加価値を高めた小料理屋の要素が多いのはやむを得ないことであろう。しかし、もっとターミナル駅とか民家のそばの商業地で、気さくなところであればある程、八百屋的要素、すなわち素材売りの要素が強い、それを前面に押し出した花店が必要だ。そして店の一部に「うちの料理の味はこれですよ」と出来合いの料理を販売する、そういった花店が必要だ。小料理屋的要素と八百屋的要素、これを路面店では持つ必要がある。

路面店以外にも当然、ガーデンセンターやスーパーマーケット、ホームセンター、この頃は生鮮コンビニ、カタログ販売や、インターネット販売など消費者にとって花や緑を販売するそれぞれのチャンネルが必要である。どれがよくてどれが悪いというわけではなく、その都度その都度、目的に応じて消費者は使い分けている。本年の母の日は、昨年に続きゴールデンウィークから離れた母の日だから、インターネットと路面店が最も大きな花の需要を取り込むのではないかと予測される。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年4月23日

利益と資金繰りが勝ち負けを決める

21世紀の日本では会計や経理、お金の問題についてなどの本がよく売れている。「さおだけ屋・・・」や「なぜ、社長のベンツは・・・」、はたまた「女性の・・・」など、本屋に行くとかなり読みやすい入門書がある。

営業力があっても、何か新しいものや新しいサービスが思いついたとしても、結局経理の知識がなければ会社は存続しえない。起業しても10年間で7割が消え去っていくわけだから、お金のことがわからなければ、またお金の動きから企業活動が見られなければ会社は存続し得ないのである。

何もそんなに難しいことではなく、独り者にしても家族のいる者にしても、家計を営んでいるはずで、そこでは収支をつけて黒字にして生活をしているはずだ。事業もそれと同じようにすれば良い。事業を営む上ではビジネスをやっていくわけだから、当然ビジネスの勉強をしなければならない。花屋さんで弱いのは、このビジネスをお金で置き換えて見るという見方である。日次決算でも、週次決算でも、月次決算でも、ちゃんと決算金額から、自分の姿を映し出してPlan do check actionすべきだ。花屋さんだけでなく、花き業界全般といっても良い。そうでないと銀行への金利を支払うのが仕事になってしまう。僕自身は、お金は貯めてから投資をする、回収してからまた投資、こう考えて経営をするのが性分なので、結果として黒字が続き、手数料自由化前に大田市場が地震に遭い、しばらく閉鎖しても、その地震が原因で、会社を倒産させないで済みそうだし、卸売市場の自由化でビジネスチャンスを物にするため手も打てそうだ。“備えあれば憂いなし”で、キャッシュを大切にする経営は、僕は小売ではないが、一番重要だと考えている。会社は作るときは企業家のものでも、出来てしまったら社員と取引先と株主、それはいわゆる世間様のものだから、そんなに簡単につぶすわけにはいかない。

消費者は本能的に家計を黒字にすべく、行動をしている。もちろん一時の情動に駆られる、気分で消費するといったことがあるだろう。でもこの気分まで含めて、かなり経済合理性はありそうで、かしこい消費者である。そうなると、小売店は時代に合わせて内装や外装を変えたり、場合によっては出店したりしなければ売上を維持・発展できないから、当然、積立金を別途用意しておかなければならない。このような経営に則った施策が欠かせないわけで、もう一度花き業界の人たちは経理を勉強して、予算管理を徹底する必要がある。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年4月16日

定点観測追加探し

天気が良いと、散歩をしていて時が経つのを忘れる。土曜日の夕方、湯島天神で待ち合わせをしていたが、藤が見頃で思わず見とれてしまった。ちょっと風が強かったけれど、何かほのかな香りがするなと思っていたら、今にして思えば藤の香りであった。それに気付いたのは、昨日国立科学博物館の特別展示“FLOWER 人はどうして花をきれいだと思うんだろう”の展示物の中に藤の香りがあり、嗅いでみたら確かに昨日湯島天神で漂っていた香りだということがわかった。恥ずかしながら藤が良い香りを出す植物だとは思ってもいなかったので新しい発見に感動した。

花の今を見ようといくつか定点観測をしているが、その場所を変えようと思い、昨日この東京湾湾岸地域の高層マンション群を目星をつけてまわった。しかし地価が高いせいか思ったように観測対象となる花店が見つからなかった。新しくできたスーパーマーケットなどにないかと見てみても、きっと入居が決まるその時期、スーパーの売り上げは右肩下がりだったので、スーパーそのものがない。豊洲のように、ショッピングセンターやスーパー、ホームセンターまである場所が例外である。残念ながら計画通り探せなかったので、最寄りの駅の近辺で見つけざるを得ない。新浦安やディズニーランドの舞浜、そこからもっと千葉よりのところには花店があるが、僕が加えたいのは都心に近い湾岸の超高層マンション群を相手にしようとしている花店だ。六本木ミッドタウンには、クリスチャントルチュ、ニコライバーグマンが入り、技にしのぎを削っている。でも羽田から東京駅にかけて、超高層マンションが建っているが、この花店が見当たらない。人は自然から離れ、幸せだと実感することが少なくなってきている。自然から離れているので、あらゆる消費が不満をなくしていくために使われることが多い。お金は不満を少なくするのには役立つが、どのくらい幸せを実感させてくれるであろうか。美しく身を飾るということもそうである。だから鉢物類はどういう鉢が必要かよくわかる。“アウトサイドイン”がキーワードだ。外の自然を中に入れる。もみじの木などはいい例だ。オリーブもそのような使い方をしている。あとの観葉植物などはこの流れとは逆に、一般の人には造花に見間違うようなものが売れ筋だ。では、切り花はというと、一般の人たちから「これ本物ですか」と言われるような花や取り合わせ、それは超高層マンションには合うだろう。でもそれ以外はというと、そこがわからない。家具はもうすでにシャープな中にも日本人らしさのあるものになってきている。その家具に合った花はどういうものか。高層マンションに住む人たちはどのようなライフスタイルで、どのようなスタイルの花を好むのか。それらを提案している花店を私は探してゆく。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年4月 9日

合わせるのではなく条件に合ったものを選ぶ

昨日はいくつもの行事が重なり忙しい日であった。統一地方選挙の前半戦、お釈迦様の誕生日の「花まつり」、そして春分の日後、最初の満月後の最初の日曜日の「復活祭」である。

もう10年も前のことになるが、大田市場を見学に来られた藤本農林水産大臣(当時)は小生と話していて、「磯村さんはクリスチャンですね」と言われた。実際は親父の跡を継いで、大井の養玉院の檀家総代の端くれであるが、自分を構成しているかなりのものは中学から高校時代に家庭教師をしてくださった高橋先生の影響を強く受けた。高橋先生がクリスチャンで、ギリシャ哲学を学んでいらっしゃったので、私自身はヨーロッパに強くあこがれていた。私自身の考え方はルーズ・ベネディクトの「罪と恥」にある「人目を気にする」あるいは承認で言えば「内部の人たちに承認を受けることが第一優先される」といったものは身に付けることをせず、そのまま成人した。自分が全体を考え、よしとする方向、こうすることがフェアーだとする手法を選び、ことを起こす習慣が身に付いた。もしかしたらこのキリスト教的考え方に加え、成城学園の自由闊達な教育方針が、今言った思考方法や手段の選択をさせたのかもしれない。このような考えや行動は日本でもかなり認められるようになり、今はかなり自由に発想したり、仕事をしたりすることができるようになった。競争が激しくなった現在、最初に条件やルールを決めておき、その条件に合ったもののみ取り上げて仕事をしていくといった仕事のやり方は、大変有効に作用している。

小売を例にとってお話しよう。花店はレストラン等と同じで、技と立地条件がものを言う商売だ。理想的には売上高に対し、材料費と人件費で60%、家賃が10%、その他販管費で20%。税引き前の経常利益で10%を出すことが目標だ。目標をここに設定し、この理想に近付けるよう邁進していくことが必要である。しかし、家賃が仮に駅ナカ立地やショッピングセンターなどでは15%以上となる。有利な条件でも15%だから、そうなると現在しわ寄せが来ているのが人件費だ。材料費を下げると競争に負けてしまう。これを下げることはできない。人は中・長期的な競争優位を約束するが、今まで花屋さんになりたい女子は一定数いた。だから何も正社員にしなくとも、アルバイトで済んだ訳だ。しかしここが今問題になってきている。早く優秀な人材を獲得しないと、結局将来店が成り立ちえない。ここを一定水準上げていく。そうなると家賃で5%、人件費で5%高くなって、利益が出なくなってしまうのだ。利益が出ない商売はやってはならない。利益はお客様をどのくらい適確に喜ばせたかの証で、万が一のときの予備費であるだけでなく、時代とともに、その会社が変わっていくための大切な投資財源だ。利益を出し、そして仕事を評価してもらう。そして税金を払う。私企業はそうやって社会を豊かにしていく。農業もそうだが、小売店でも先ほど示した売上高における各費用と利益目標を掲げ、努力を積み重ねている花店が増えてきた。バブル崩壊後、新しく花き業界が生まれ変わっていく。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年4月 2日

花き流通業の今年の進化方向

新しい年度が今日より始まります。花き業界の各社は昨年以上に進化していくことでしょう。今日は年度はじめに当たり、その方向性をお知らせしたいと思います。

1、小ほど小回りが利き進化が早い
日本中の卸売会社でセリ前取引を行っていないところはほとんどありません。三年前と様変わりです。セリの前々日か前日にインターネット定価売りをしていない卸売会社も少数派になってきています。昨年急速に進化したのは、年商15億円未満の卸売会社で、特に10億円未満のところは、ITでいえば携帯電話がそうである通り進化が早く、買い手の仕入れの友として頼りになる存在に育ってきました。今まで卸売市場の卸会社は産地と買い手である仲卸や小売店の間にあったのですが、この進化している卸売会社は消費者と小売店の間にあって、特に小売店との密着度たるもの、それは素晴らしいものだと思います。確かに大口顧客である仕事屋さんやチェーン店、あるいは量販店など、量・質とも要求されるところは大手の卸の顧客でありますが、彼らは中堅以下の顧客をしっかり捕らえたのでありました。今後とも小売店とともにこれら卸は進化していくものと思われます。

2、戦略を持たない仲卸苦戦
これら中堅以下の卸売市場は、業態を仲卸業や問屋業にあわせて進化してきました。「必要なものがあれば注文してください。揃えて届けます。」年商20億円台の卸もこのように顧客維持のため、業態を変化させました。そこで激しくぶつかっているのが仲卸との競合です。当初の予測ではより小売に密着している仲卸が勝ち、卸は売ってやる姿勢では敗れるものと思われていました。しかし、卸はもう後がありません。手数料の自由化もあと2年に迫っています。そんなことから、日本中の卸売市場を見ていると、卸と仲卸がライバルとして競争しあい、仲卸に軍配が上がった卸売市場は少なからずありますが、しかし待ちの姿勢の卸から積極的に顧客のところに出向く卸も多くなり、そういうところが勝ち星を積み重ねています。昨年の夏にはその分水嶺だったようです。そうなると仲卸は二つの戦略を持って、自らの仕事を進化させようとしています。一つはサプライチェーンの中で、小分け作業(ピッキング)に重点をおき、ロスの軽減を顧客に提案する。もう一つは、川下に下りていき、花き業界以外で花を使う法人を顧客にすることや特定の花のチェーン店と組んで、そこの花の仕入れ・配送まで含めたサードパーティーロジスティックスを行なう。この二つが従来のものに加えて新しい戦略として浮かび上がっています。花の仲卸の社長は一代目がほとんどで、魅力ある人物が多い。必ず、一般社会に打って出てくれることでしょう。元気な魚の仲卸はインターネットの初期の成功事例にあるように、『プロ・築地の卸が選んだ魚』のお届けサイトなどが有名ですが、プロの目利きが花の仲卸の売り物ですから、私自身は今後の仲卸の活躍に期待しています。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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