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2010年1月25日

内なる国際化を日本の華道とフラワーデザインでさらに振興する

1990年代は生け花教室に加え、フラワーデザイン教室が盛況であった。2000年代になると、力のあるフラワーデザインスクールは生徒さんを良く集めたが、普通の教室は飽和感もあって2005年くらいから教室をたたむところも出てきた。農林水産省の花き産業振興室が「花育」を言い始めた時期には、生け花教室やフラワースクールで生徒数が減り始めていた。

アラ還の団塊の世代は生け花、茶道の心得があることが女性としての欠かせない教養となっていた。それより若い世代は生け花を勉強する人、自分流の花飾りができれば良いとフラワーデザインを少し勉強する人、本格的にフラワーデザインの道に入る人など多様化していった。しかし、昨今の少子高齢化や世間に漂う無関心さや閉塞感で華道やフラワーデザインを学びたいと思う人が少なくなってきている。

私たち花き業界からすれば、日本人のアイデンティティーである華道、そして華道の基礎の上に花咲く日本のフラワーアレンジメントを活発化して、いけばな文化を発展させなければならない。そうなると種苗から生産、卸・仲卸、小売(我々が言う花き業界)、プラス華道界、フラワーデザイン界が日本の新しい花いけのあり方、室内で花の美しさを最大限に引き出す表現の仕方などを継承し発展させていく努力をしなければならない。そう感じて私は微力ながら花き業界の最終アンカーである生け花の先生方、フラワーアレンジメントの先生方とコミュニケーションを図っている。生け花の先生方やフラワーデザインの先生方にレッスンプロやトーナメントプロとしての自覚を持っていただき、先生方に素材を提供することによってより素晴らしい空間芸術を作るお手伝いをしたいのだ。日本の生産者は自分の作った花がプロの先生方によって人々に感動を与える一端を担っていることに生きがいがあり、また生産者としての商売も花き業界の最先端を知っているからこそいち早く量産化をしてゆけるのだと思うのである。花き業界が行っている花育と異なるが、真の花育とはやはり華道教室、フラワーデザインスクールにあることは言うまでもなかろう。既存の花き業界は先生方と一緒に共通の目標に向かい「花き産業」を活性化させていく。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2010年1月18日

地元卸売市場の役目

リーマンショック後3年目、花の市場にとって、やることはより明確になってきた。

デフレで生産者は手取りが少なくなっている上に、生産資材高でさらに手取りは少なくなっている。卸売市場も下がりつつある価格の1割を販売手数料としていただいており、出荷数量も少なくなっているので、損益分岐点を下げ、仕事を再定義しなければならない。

日本全国ではこのような統計数字がある。花・植木小売業21,000社、花取扱量販店19,000社、花束加工業者900社という数値である。専門店が減り、量販店の数が増えたので、花束加工業者が増えているのである。切花を中心に扱う花店は八百屋さんや果物屋さんとは違う。むしろ似ているのは魚屋さんで、販売するのにうろこを取ったり、3枚におろしたりするように、花屋さんも販売するにはまず水あげの技術が必要で、それプラス技を持って商品を作り上げなければならない。言うなれば寿司職人や料理人が店を出している。それが花屋さんだ。だから業態としては、永遠になくならない。しかし店の数から言うと少なくなってきているのも時代の要請かもしれない。少子高齢化で女性も働き、出来合いの手軽な花束やアレンジがお惣菜と同様に必要になってきている。

さてそこで地域の花市場の役割の問題だが、街には花屋さんとまだ花を扱っていないスーパーマーケットがある。花市場の今のお客さんは花屋さんだ。だからスーパーマーケットや八百屋さんに花を販売すると、花屋さんを困らせることになる。それはできないという花市場が多かった。しかし消費者が求める小売の業態は、新しい花との生活を花の専門店や百貨店の花売場に求める。家庭需要の手軽な花を求めたいとワンストップショッピングができる割安な花を買いに量販店に行く。食卓の花、窓辺の花、庭の花、子どもが産まれたので植木を、など居住空間のスペースごとの花を買いにホームセンターへ行く。特に玄関先や庭の花はホームセンターで売っていて欲しいと消費者は思っている。時間の節約はネットショップとコンビニの花だ。消費者の気持ちになって考えると、卸売市場や仲卸がルビコン川を越えて、花屋さんやガーデンセンターに加えて地元密着型のスーパーマーケットの花売場に家庭需要の花を届けていくのは時代の要請とも言える。花屋さんがそのスーパーにテナントで入ってくれていると、地元の市場としてはありがたい。入っていないとすると需要喚起のため、消費者の買い物の道ができている地元のスーパーに花を売ってもらうことになる。日本花き卸売市場協会の会員で拠点市場と言われるところ以外の花市場は、さらに地元に密着し、地域の消費者が求める業態の流通チャネルに花が流れる仕組みを作ることが、花き産業の主役である生産者と消費者が喜ぶ道であることを花の卸売市場は認識すべきである。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2010年1月11日

復活してきたホームユース

世界が一つの市場になってリーマンショック(2008年9月)以来、花の法人需要はオーバーに言うと半分になった。100年に一度の恐慌も年が変わり3年目の今年、会社は2007年比売上高で80%でも赤字にならない仕組み、メーカーなら60%でも持ちこたえられる仕組みを作ってきた。これは大企業・中小企業の話で、個人企業はまだまだ厳しい局面が続いている。がしかし、ホームユースは復活してきて、年末正月と街のお花屋さんに足を運んでくださる消費者が明らかに増えた。確かに1、2年前と違う。お店によって異なるが、「男性のお客様が増えているんじゃないかな」という花店もある。関東地方は他の地域よりも男性比率が高く、25%が男性だと業界誌のフラワーショップが報じていた。男性客が4人に1人じゃなくて、3人に1人に近づいているお店もあるのだろう。

会社は理性で存続を図るので、3Kと言われる交通費、交際費、広告宣伝費を削れるだけ削った。会社の交際費からいただいていた花き業界の収入は大きかったが、向こう5年あまり期待しないほうがよさそうだ。個人は理性だけで存続を図るのではない。個人はようやくリーマンショック後の「短期的にどう対処すべきか」というところから、「うちの会社もどうやらやっていけそうだ。俺の給料はこれから大体このくらいかな」と先の見通しが少し立ってきた。会社の対処療法で一時的に所得が減って、そのとき自分の行動やお金の使い方を変えた。それなりに時間が経って慣れてきて、足元はまだ水がひたひた迫り、ぬかるみよりもっと悪い状態だが、見通しややるべきこと、自分の所得など先が見えてきて、長期的対応にのっとった消費行動をし始めた。

経済学で言う短期所得弾力性によって車等の高額商品や嗜好品の販売は激減したが、長期所得弾力性により、車等は必ず復活する。花の所得弾力性は研究されていないので残念だが、古い指標で恐縮なのだが、1970年の発表で外食産業の短期所得弾力性が1.6。収入が1%減ると外食に使うお金は1.6%減となる。本当に指標が古くて恐縮だが、法人需要も考えると、だいたい外食と花は同じくらいかなと感じており、もし花も短期所得弾力性が1.6だとすると、10%収入が減れば16%減となる。しかし長期所得弾力性は外食と花とは違う。家ではお料理をすれば済むわけではないので花は1.6以下のはずで、これが3年目になって効いて来ているのだろうと思う。特に切花は枯れてなくなってしまうし、季節の訪れを感じさせてくれるものなので、個人消費が復活してきたのだろう。

私が尊敬する岡本武男先生の言葉に「希望の朝を迎え、勤勉なる昼を過ごし、感謝の夕べを送る」という言葉がある。少なからず日本人はこうした心持ちに近づいていることが花の売れ具合から分かる。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2010年1月 4日

明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。

関東地方はお天気に恵まれよく売れた店が多く、今日の切花初市は好調な滑り出しをしています。日頃の実績が物日に花開くのが花の仕事で、それは小売・仲卸・卸・生産者・種苗・育種のどの仕事をとっても毎日の努力が欠かせません。負けない理由は我にあり、勝てる理由は敵にあり。負けに不思議な負けなし、勝ちに不思議な勝ちあり。日本の世界に誇る優れた点は「丁寧なものづくり」と「誠実な商売」です。この世界に誇る二つの力とこれまた世界に誇る日本の心もちである「お互い様」・「お蔭様」をもって日本の花を前進させていきたいと思います。

今年もまたよろしくお願い申し上げます。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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