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2009年9月28日

シルバーウィーク

シルバーウィークは初めてだったので、需要見通しをやや見誤った感がある。

当初、5連休だから最初に遊んで、敬老の日に花を持っていく。そしてお天気を見ながらお中日を中心にお墓参りに行く。お中日が悪ければその前倒しをする。あるいは敬老の日と一緒にお墓参りをする。よって花の需要はちょっと食われてしまうと思っていた。

というのも例年は、彼岸の入りにはお墓参りに必ず行く人の数は読める。お中日は浮動票的にお天気が良ければ行く、雨が降ったらいかない。このような例年の流れだから、不景気で今年はお天気も悪くないし、いけるとは思っていたが、むしろ後半との思いであった。

ふたを開けてみると、土日はてんてこ舞い。売るものがなくなる小売店も多くあって、21日(月)も市場の市況は堅調。22日(火)仲卸の店頭でも彼岸用の花、洋花ともに、ほとんど売るものがない。そして23日(水)、都内を中心に相場はまあまあ。しかし8月にお盆だった地域を中心に水曜から相場を下げた市場が多かった。

シルバーウィークが終わって、小売店に話を聞くと、「前半大忙し、中盤普通、後半お金を使ったのか倹約型で尻すぼみ」。しかし25日のお給料が出て、少し懐が暖かくなって花の需要も決して冷え切った週末ではない。総意をまとめるとこんなところだったようだ。
お参りしてから遊びに行ったようで、親孝行や孫のおじいちゃん、おばあちゃん孝行が実家に行くこととお墓参りとくっついて、シルバーウィークで最初にやっていきたいことになっていたようだ。思ったより夫婦、親子、あるいは孫とおじいちゃん、おばあちゃんとの関係が強くなっている。あるいは強くなりつつあると、花の売れ具合を見てそう感じた。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2009年9月21日

仏花もターゲット年齢を下げる

今年に入り、ゴルフで一緒に回った2人の婦人からそれぞれ印象に残る日常花の買い方の話を聞いた。60歳代でご主人と一緒にゴルフをしている女性はやはり裕福なお宅だから、花のある生活をしている。お一人は「花の値段って本当に安くなったわね。ありがたいけど作る人も大変ね」「持ちの良い切花が増えたわね」と。その理由を法人需要が少なくなって、高品質の花が近所の一番店の花屋さんに並んでいることを話すと、「そうなの、ありがたいわ」と率直に喜んでいた。

そしてもうお一人は、夫婦一緒に回っていた奥さんで「うちは紀伊国屋(青山)でいつも花を買うのだけど、世の中節約志向だし、夏は持たないから、仏様の花は節約して1本や2本で済ませてしまっているの。節約志向だから花の仕事も大変ね」となんとなく全体のパイが小さくなっているのを見通したような発言をしていた。

ヘビーユーザーの60歳代の人の発言がこうだとすると、パイが縮小しないようにこれを打開しなければならない。ではどうしたらよいだろうか。その方策はこうだ。

まず産地の話から。日本では3つの輸送園芸地域と3つの広範囲な地元産地が花の産地だ。北海道・東北・九州と、首都圏・中京圏・関西圏の近県産地である。今年は夏の天気が悪かったので、8月盆の小菊は不足したが、菊は7、80円?5、60円と安定した荷動きだった。9月の彼岸期には天候も回復し、東北・北海道で小菊が潤沢であった。輸送園芸の夏の2大産地、東北と北海道で小菊が多く作られるようになっている。それは60歳代以上の女性がコンスタントに菊、小菊などの仏花を買っているので需要がはっきりしているためだが、もう現時点で日本中の秋の小菊の作付けは仏花需要を量的に満たしたということだろう。

次に消費サイドの話から。近頃、駅中の花店を中心に、仏花でも洋花を多く使うようになってきた。一輪菊や小菊を入れないで、菊と言ってもSP菊を中心に使う仏花も増えている。SP菊も使わず、ピンポン菊やアナスタシアなど東西ヨーロッパで家庭用として人気の一輪菊でこしらえた花束もある。それ以外に季節の花や色別にこしらえたブーケなどいろいろなものがあり、それを仏花として使ってもよし、テーブルに置いてもよし、という商品を使っている。これらはいずれも*アラ還狙いとアラフォー狙いのブーケやミニブーケだ。秋になり、菊類はあるが洋花が足りないのは消費構造上困る。60歳代、70歳代のヘビーユーザーに刺激を与え、実際にもっと購入してもらうにはもっとターゲットの年代を下げ、アラ還とその子どもたちのアラフォーにしていかなければならないのだ。だから洋花が足りない。これは今年の9月のシルバーウィークに言えることなので、普段はますますこの傾向が続いていくだろう。誤解してもらっては困るが、菊・小菊の安定供給の上にアラ還好み、アラフォー好みの商品創造がパイを大きくするということだ。

*アラ還・・・アラウンド還暦
*アラフォー・・・アラウンドフォーティー

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2009年9月14日

花の「お買い場」が変わりつつある

GMSのイトーヨーカ堂も上期営業赤字に陥った、と週刊ダイヤモンドは報じている。
粗利40%代の衣料品販売が不振で、粗利20%代の食料品は微減としている。食品スーパーやファストファッションが健闘しているところが多いということは、消費者の回遊場所が変わってきていることを示している。
弊社の販売先カテゴリーの取扱実績を見ても、リーマンショックより1年が経ち明らかに変わってきた。花き業界は法人需要の大幅減や地味葬式で需要が足りない。露地物など古くからの花の産地は高齢化し、かつて野菜から花に変わった人もまた野菜に戻り、花の供給も目に見えて少なくなっている。特に種苗費が高い球根類やめずらしい草花の供給が足りない。こういう中で小売カテゴリーからすると、食品スーパーの花売場(納入している花束加工業者)は確実に実績を伸ばしている。これは市内市外を問わず、競争激化している関西地方を除き日本全体に言えることだ。
もう一つ取扱実績を伸ばしているのが地方市場である。地方の市場は花束加工業者や量販店の要望を受け計画仕入を行わなければならない。また地元の専門店大手のプロとしての品揃えを確保するために、規模の大きい卸と付き合って、協業してサプライチェーンを作る動きが活発化してきた。買参人カテゴリーでは、この2つが実績を伸ばしているのだ。
デパートは粗利が30?35%ないと、あれだけの質の高いサービスを提供することができない。駅ビルは15?20%だから、同じようなものをお値ごろな値段で供給できる。時の流れに沿った品揃えや値づけで、スーパーや駅ビルはリーマンショック以来、すっかり消費者を味方に付けた。商店街は1店舗・1店舗の需要が不足し、売れなくなったので意気消沈してしまって商店街全体のことを考えて手を打つことができなかったのだ。
この1年で花の売り場もかなり多くが量販店中心となっていった。会議などでよく同業の市場の人と話をすると「どうもパッとしないんです。」と言う。パッとしないのは圧倒的多数の街の花屋さんが不活発だからである。だからセリを中心に物日間際の2回ぐらいのセリだけでしか昔の物日らしい立会いが再現されないのだ。問題は小売店間の業態競争に留まらないことだ。街の小売店さんと花の生産者が対になっていて、街の小売店さんが買ってくれるから規模が大きくない生産者は花で収入を得られるのだ。品種にしても、売れ筋、死に筋とたくさんあっても適切に評価されるのは、少なくても専門店の人たちが消費者に花を届けてくれるメーンプレーヤーだったからである。主役が変わろうとしている。これに合わせて産地はもう一度、出荷体系の見直しを行う必要がある。グループ、共選共販、法人化など少なくても5000坪で1出荷者ユニットの取り組みをしなければならない。又、花屋さんは販売力と仕入力を上げなければならない。構造改革が消費者から起こっているから、近隣の駅の同業者が一つの仕入機構・販売機構を作る時となっている。八百屋がやってきたやり方だ。そして卸・仲卸はリテールサポートを行う新しい時代となったのだ。

投稿者 磯村信夫 : 16:17

2009年9月 7日

おかげさまで20年

明日9月8日は大田市場花き部開場20周年のせりが行われる。この20年間、日本の花き業界は成長期から成熟期へと進展し、今業界上げて個人消費の定着に目標を定め、ルネッサンスを起こそうとしている。

20年前の1990年9月8日(土)、弊社大田花きで日本で初めての機械せりが行われた。最初のせりを土曜日にしたのは、不慣れで万一混乱が起きたとき、修復作業を日曜日の午前中まで終えれば月曜日のせり準備に間に合うためである。一週間経ってようやく人心地が付いたものの、それまで寝る間もないほどの慌しさであった。よく荷主さんも買参人さんも嫌にならず、継続してご支援してくださったと感謝の気持ちでいっぱいになる。

私はそれまで長い間せりをしてきた。せり人は仕入れで値段の差をつけないよう、例え同じものが10口以上あったとしても同じ値段で通すのが良いせり人だ。できるだけ一物一価にしようとするのである。そのためのテクニックはいろいろあるが、決してすべて早いもの順というわけにはいかない。せり台の前に群がる買い手に順番が早いからと落としてしまうと、当然手が引っ込む。手が引っ込むと自分のせり台の前から人がいなくなる。賑やかにやっているから、ひな壇の上に座っている大手も品物を欲しくなる。閑散としてしまっては、欲しい気持ちも冷めてしまうのだ。このことに疑問を感じていた。取引所の価格決定はニュートラルな行司役がすることが重要だ。結局、消費者がほしがっているものが高くなって、それを知った生産者は量を多く出荷するようになる。やがて値段が少し下がり、今まで買えなかった人も買えるようになって消費者は喜ぶ。生産者も喜ぶ。こういったニュートラルな行司役をコンピュータシステムを介在させることによって、また買参人がボタンを押すことで相場形成される花き産業にできればと思って、当時のNKK様とともに日本のせりシステムを作り上げた。これにより大田花きは実際の取引を取引関係者が瞬時に見ることができるシステムを提供し、取引結果を蓄積して未来予測のための統計まで使えるようにして行った。ITの発展が商流、物流、お金の流れ、そして情報の流れを促進させ、今大田花きは日々15,000アイテムの花を扱う日本の切花相場の指標を生み出す卸として仕事をさせていただいている。サービスの進化は決してとどまることを知らない。変わらないのは取引を通じて、花き業界の主役は生産者と消費者、そして準主役が小売店。この三者が持てる力を発揮してすばらしいパフォーマンスをしてもらいたい。そのためのお手伝いをさせてもらいたいという情熱だけである。この情熱は今後も変わらない。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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