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2015年8月31日

人口減少の中での花の消費

 病気で三ヶ月ほど休ませて頂きました。その間、弊社 大田花き取締役の皆さん方にコラムを担当してもらいました。読者の方々も、様々な角度から卸売市場業界や花き業界への問題点あるいは提言をうかがい知ることが出来たと思います。
 
 私は、三ヶ月ほどの時間を、特に手術が終わって退院し、自宅で過ごした時間を、それなりに有効に使えました。今まで色々な角度から物事を見ようとしてきましたが、かなり視野が狭かったと今では思っています。

 例えば、自宅療養をしている間にこんなことに気が付きました。日本の失われた二十年の間に、新幹線でフランスやドイツに圧倒的な遅れを取っているという事です。両国とも、二十万人以上の人口の都市で、新幹線網が敷かれていない都市は一つか二つにすぎません。さらに、高速道路網に関して日本はもっと著しい遅れがあります。労働生産性の低さの要因の一つに、先進国の中で最も遅れてしまった日本の高速道路網があるということは考えてもみませんでした。また、移民の問題一つとってみても、国際競争力には様々な要因があるでしょうが、ドイツはアメリカに次いで世界第二位の移民受け入れ国になっている。今、ヨーロッパ大陸では難民問題がありますが、ドイツはいち早くその枠を八十万人と設定し、かつてトルコからの移民政策に失敗したことを反省して、新しい移民政策では新たに国籍を得た人たちに、新しいドイツ国民として教育をきちんと施している。これはほんの一例ですが、今まで私が持っていた古い知識などを刷新し、あらたな見方がこの療養中に出来るようになったと感じています。

 今、日本の人口は確実に減っていますので、市町村合併や農協合併、そして、卸売市場でも合併することで、数を減らしてその組織体の収支バランスを保つようにしようとしています。花き業界においても、葬儀は増えるがその分規模が小さくなるし、結婚式に関しては若い人が少なくなるから減っていく。この中で花き産業の生産性を上げていくには、他の物材よりも花のある生活が素晴らしいと思わせることを絶えずし続けなければなりません。すなわち、増えない可処分所得の中でもっと花を買ってもらうようにするには、新商品(品種・色・飾り方)を出して、花のある生活を一週間保証する。鉢物であれば一ヶ月保証する。あるいは、メンテナンスサービスも含めて販売していく必要があるでしょう。物の販売ではなくサービス、それも期間サービスを買ってもらうのです。

 今まで、日本の人口動態を団塊世代・団塊ジュニアで捉えていた花き業界の見方から、戦中・戦後・団塊ジュニアの三つの山で捉えながら、その中でマーケティングをしていく必要が消費者減少の花き業界マーケティングには必要です。一つの解は、花や緑を売るのではなくて、「花と緑のある生活」を売る。レストランの生け込みであれば、一週間に一度のメンテナンスサービスが必ず含まれるように、「サービスを売る」ということです。もう一つは、時代を先回りした"New"を創るということ。そして、それらが出来る人材を花き業界が教育・養成するということ。ここにかかっていると思います。

 日本の競争力と言っていいか分かりませんが、他の民族に比べて日本人が秀でている点は、嘘をつかない、真正面から物事を捉えて誠実に処していく、ということです。併せて、長くそのことをつきつめて努力を積み重ねる。こういった先人たちの伝統に則って仕事をしていけば、必ず未来は開けると思っています。
では、惰性で仕事をせず、誠実に仕事をしてまいりましょう。

投稿者 磯村信夫 : 15:34

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