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2008年7月28日

積載効率を上げよ

運賃の値上げが難しいからでしょうか、遠距離からETCを使って割引の効く時間に高速を出る運送店が多くなり入荷が遅れ、大田からの荷を載せたトラックの出発時間に問題が出てきている。
今年の荷受業務は早い時間が手持ち無沙汰で困っている。荷受業務は大田花きの場合、大田市場花き部に10ヶ所同時に降ろせる荷受場所、花き部北側には4ヶ所同時に降ろせる鉢と菊類専用の荷受場所、それ以外に2つの私設荷受所で大型トラックを合計8台同時に降ろせる。全体で都合4つの荷受所で荷を受け付けている。
通常5万ケース、ピーク時で8万ケース以上を一定時間にこなす。この4ヶ所の荷受所がいずれも夕方から早い夜に仕事が途切れるのだ。それがETC割引の時間に高速を出て一斉に大田花きのゲートの前に並ぶので、お待たせする時間が増えてしまう。結果として荷捌きが遅れ、搬出が遅くなり、本来であれば東京から700?から800?ある卸売市場のセリ前に入れるのに、その品物が間に合わないという状況が出てきている。「運賃を上げられれば良いのだが」と運送店は言うが、生産者や買受人は大変経済的に厳しい状況だから運送店は自分で無理をするしかない、ということになっている。
では今、卸売会社は実際問題どのように運送店と取り組まなければならないかというと、積載効率をさらに高めることと、帰り荷を確保できるよう助力することだろう。積載効率を高めていく目的は運賃の問題もあるし、又人手がなかなか集まりにくくなっている中で、荷扱いを合理的にしていくことによるコストダウンにつなげる為だ。何軒もの仲卸さんからこの仕事をやってくれないか?と仲卸の下請業務要請が度々出てきている。それほど仲卸は手不足になってきている。人手が集まらないのだ。
鮮度保持を無視する気持ちは無いが、コストを落とす為に効率的に花を動かす為にどうしたら良いのか、どの商品なら湿式輸送が必要なのかも含め再度真剣に考えなければならない。そうでないと運ぼうにも運送店が潰れてしまっては荷が運べない。こういう状況が鉢物で出始まっているし、鉢物だけの問題ではない。効率を高めコストを下げる。ぎりぎりまでしてそれでも商売にならないようなら値上げをお願いする。こういうことになろうが、30歳代から40歳代の消費手控えで洋花の中級品以下は極端な安値が続いている。入荷の絶対数が2桁に近く不足しない限り相場は去年と同じにならない。となると積載効率を上げハンドリングを更に良くし、結果として人手が省けたりペイライインが落とせたりするようにしなければならない。
花の運送店各社の抱える経営上の問題は大変厳しいものがある。卸売会社としても帰り荷で利益を出してもらいたいので、更に協力していく必要性を感じている。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年7月21日

経営判断が大切

17日(木)大山参りをしてきた。丹沢山系で相模湾に向かい一番先頭が大山だ。
阿夫利神社があり水産や青果の市場の人達が講を組んで江戸時代からお参りしている。
私も父の後を継ぎ講元に就いて早10年。大田花き睦講は50年以上も続いている。今年そこでお参りをしたことは、経済の先行きが不透明な中、胡蝶蘭の鉢物に代表される法人需要が活発になりますように。節約思考の一般消費の中で特に花を手控えるようになった30歳代、40歳代の人達が去年と同じように花を買ってくれますように。そして石油高や資材高の中、消費者もそうだが誰よりも生産者が大変なので、冬場頑張って生産された花がスムーズに消費され、応分の見返りが生産者にあるように、とお願いしてきた。
日本の消費者や企業は原材料の値上りで消費税が11%になってしまったような懐具合だ。消費税の5%は巡り巡って国民に還元されるだろうが、6%分は原産国を潤す。そうなっているから世界経済の中ではアメリカの調子が悪くなっても引き続き好調という国も多くあり、デカップリングで主役が多く出てきて世界経済の実体も複雑になってきている。限られた情報の中で近未来をどう捉え、どのような手を打つかによって企業の明暗が決まってくる。改善運動だけでは新しい局面に入った世界経済の中で事業を継続・発展させるのは難しい。その意味で経営者の資質が問われる時代となっている。
日本の花き業界は既に国際化しており、胡蝶蘭の鉢一つとっても、消費面では日本の外資系金融会社はサブプライムローン問題から贈らなくなっているし、生産面でも台湾の苗はオランダの会社が苗の品質を厳密に査定した為、台湾の業者は学習し日本のレベルよりも上になっている。国際分業の中で、日本の胡蝶蘭生産は開花株を台湾から輸入するという相互依存の関係となっている。その為施設の回転率で商売をする農業となっており、胡蝶蘭相場が3月から6月中旬まで安くなっても続けて苗を導入し生産しなければならない。この事象をどのように捉え、どういう手を打つかが経営者の重要な仕事で、それによって企業の明暗がはっきりする。こういう時代になっているのである。

別件ですが、生産者は夫婦二人で花を生産・出荷することが多くなってきています。かつてはパートさんも雇っていましたが、今はそうではありません。土日には勤めに出ている家族の協力を得て手入れや出荷をします。手が増えますから月曜日の出荷量が多くなります。特に昨年からの傾向ですが、需要よりも多い入荷が月曜にあり金曜は月曜よりも少ない状況です。月曜に相場を崩しそのまま一週間を終えてしまう、という事が物日の時でも多くあります。現在の出荷量からして「週の始めには少なく、週末には多く」をお願いする次第です。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年7月14日

人作りから始める

7月のお盆の入りが日曜日だったため、土曜日から花屋さんはよく売れ、お盆を見直した。例年だと梅雨だし平日のため日常生活に埋没してしまうが、休日にあたればちゃんと式を行なう。店によっては土曜日にもうお店がガラガラになってしまって困ったと言うところもあったと言う。小生は一日早いが土曜日に母のところへ行き、昨日は江ノ島の家内の母のところへ行ってお参りをしてきた。江ノ島は江ノ島神社が日本三大弁天の一つとして有名だが、江ノ島神社の階段を上がる手前を左に折れると児玉源太郎神社がある。日露戦争で活躍し、台湾の発展に貢献なさった方で、軍人として実務家として尊敬している師の一人である。勝運の神として奉られている。

長い間、花き業界はフォローの風が吹いていた。そのフォローの風を実力のうちの一つと傲慢にも捉えてしまったため、21世紀から困る人たちが出てきた。人によっては今を逆風のように言うがそれは誤りで、無風のように言う人もいるがそれも違う。わずかだが風はまだ後ろから吹いていて、努力をすれば一定の成果が得られるようになっている。何故そのようなことを言えるかというと、街中で夫婦でできる小売業はそうは多くない。花屋さんは小料理屋さんと同じで、接客サービスとそして買っていただく花束やアレンジメントにはその店独特の味わいが出ている。そこが花屋さんたるべきところで、「花」というとスーパーマーケットの花売場を思い浮かべるのではなく、花店を思い浮かべ、消費者は買いに来てくれるわけだ。今、街で小資本の夫婦でできる仕事はどんな商売があるだろうか。花店はまだ恵まれているのである。小売店ががんばってくれているから花き業界があるのであるが、しかし高齢化とともに廃業する小売店があるのも事実だ。ではこの先花き業界はどうすれば良いのか。まず人作りからに尽きる。生産者は県立農業大学校で学ぶことが出来る。もちろん四年制の大学もある。小売店にはJFTD学園や東京商科学院専門学校やテクノホリティー園芸専門学校があるが、知識が身についているかというと、率直に言って今ひとつ私には不満だ。実際に花店に勤めた後、さらに自分を高めようとして、オランダ大使館側のフローレンスカレッジで勉強する人がいる。こうあってほしいのだ。提案したいのは、私の生まれ育った大田区では、町工場の後継者や社員を育成するのに、ドイツの徒弟制度が採用しているデュアル方式で、実際に働き、学校に戻って勉強し、また働きを繰り返し、何故勉強が必要なのかを身をもって体感させ、職人を作っている。せり人もそうだが、我々は職人の手によってここまできた。花き産業になって、品物の質やサービスの質を均衡化させるため、システム力が必要になった。今花き産業は、花を知った日本の消費者にさらに買ってもらうため、本物の花のある生活を提案していく必要がある。そのためにはさらに高度な腕前や感性、知識を我々が備えておかなければならない。消費者が欲しがる商品と納得いくサービスを提供していくのが今やるべきことである。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年7月 7日

花ファッション委員会

日本フラワーデザイナー協会の中に花ファッション委員会が去年設立され、新しいムーブメントが起きている。「色と形、本物だから匂いがある」が大切なポイントで、フラワーアレンジメントの世界にも、その時代にもっともふさわしい生活のデザインを日本から世界に発信しようというものだ。現に新しい花の品種は「日本で評価されたものは売れる」となっている。だから世界の様々な分野の種苗会社は新品種を日本に売り込む。それほど日本の消費者の目は高く、フラワーデザイナーや花店の感性と技巧は光るものがある。

来年の2009年春・夏のトレンドはテーマが「粋(いき)・佇(たたずまい)」、コンセプトは「エコロジー、循環」、キーワードは「光、風、水、空、人」。以上が形、あるいは作品が訴えかけるもの。そしてトレンドカラーは「グリーン、イエロー」である。「和」が世界の大きなテーマとなって続いているので、さらにこの「和」を私たち日本人はこのように今年は捉えて表現していますと世界に発表する。今年2月のドイツ・エッセンのIPMでも、日本フラワーデザイナー協会の花ファッショントレンドに乗った作品は注目の的となった。花のプロとしてこれからも目が離せないのは花ファッション委員会の動きである。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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