大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« 2009年6月 | トップ | 2009年8月 »

2009年7月27日

日本で大規模生産の必要性

日本の産業界が農業を理解し、「成功する農業」を実現しようとするムードが盛り上がってきた。現在は農業の現実と農業に成功するとはどういうことなのかの勉強の段階のところだが、農業は単行本や雑誌でも取り上げられ、出版業界では農業の記事を特集すると商売になるという。

昨日のニュースでは総務省が農家にIT支援をする。また商社などのOBを派遣し、経営相談やサプライチェーン作りの相談にも乗るという。日本農業はこのように社会の関心事になってきた。

先週の「グローカル」ではネイションとして地域に密着し、中山間地でも継続できる日本農業のあり方を話したが、今日はグローカルのグローバルのほうから見た日本が必要とするもう一つの大規模農業について話したい。イギリスの1/10の農地で多種で多様な農業形態を日本農業は取っているが、もう一方には品質の安定した品目・品種を大量に流通させないと、1億あまりの日本の食生活や花のある生活を提供することはできない。一人十色、十人百色の世の中になったとはいえ、人はそうは変わったことはしていない。集中と選択、そしてニッチの多様性、大きく分ければこの2つのカテゴリーに分けられるのだ。集中して大量に流す。農産物は素材であるからこのベースの素材を徹底的に効率的に生産流通させることが、安定して健やかに生活してもらうことにつながる。事業家農家、農業会社は花であればエブリデイフラワーを目指す。匠農家は質の高い新しい花を目指す。そのとき農協と県経済連の役割はどのようになっていれば良いだろうか。農業会社と農協の部会は競合することもあるだろう。しかしそのことは、ともに成長することを意味する。また県経済連に販売やら資金回収など各種サービスをお願いする農業会社も出てくるだろう。ここでは既存の流通業者に対しても言いたいのだが、21世紀の新しい日本農業を作ろうとしている現在、既得権のような自分の都合不都合で考えてはならないということだ。農業という産業をどのように盛り上げるのか、消費者に健康と安全安心をもたらす農産物をどのように供給するのか、さらに日本国土の多面的な保全に役立つ農業、CO2削減の農業をどのように成功させるのか、日本の文化伝承の意味まで含め、単純にアグリビジネスとだけ割り切って新しい日本の農業を模索するのではなく、そのバックグラウンドともども、農業会社に埋め込んでいくような日本の大規模農業を作っていくことが今必要である。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2009年7月20日

グローカル

物日が終わった20日頃というのは、価格が下がる可能性が大きい。毎月繰り返される「20日悩み」の原因は月給取りの給与はだいたい25日だから、その前で消費者は金欠病になっていること、週末の20日なら金・土・日と店が売れるが、今日のように月曜日だと活け込み需要や稽古需要に限られるため、需給バランスが崩れる。特に月曜日は、日頃農業に従事していない家族も農作業を手伝うので出荷量が増える。そうなるとよく言われる「相場が軟調のときは月曜日で相場が崩れてしまう」というセリ人のぼやきに拍車がかかる。それに10日、20日、月末は締め日で、買参人は締め後10日以内に支払いをしなければならないから、20日はどうしても必要なものだけ買って、21日から仕入をしようとする。このような事情があって毎月20日というのは鬼門なわけだ。東京では7月のお盆だったから、それに輪を掛けて買い気が弱いのだ。

皆さんはグローカルという言葉をご存知だろうか。前大分県知事で「一村一品運動」で名高い平松知事が作られた造語だそうだが、私もいつも頭の片隅に置いて、グローカルを心掛けている。グローバルに、日本人として、ローカルに、考え行動するということだ。今日の日経新聞に、国立西洋美術館の青柳館長が、日本の農業は大規模化して単品を作るのではなくて、小面積でも多種多様なものを作って、地産地消を行うほうが今の時代に合っていてエコではないか、という趣旨の発言をなさっていらっしゃった。まさにその通りで、地元に供給するを核とし、さらに余力があれば道州制の中心地や日本国内の他地域に特産品を出荷していく。さらに海外にも日本のファンがいれば輸出もする。これで成り立つ農業を日本はする。このような農業ができるように人材まで含めて業界や行政府が支援していくことが必要なのではないかと思う。グローカルに考えた時、日本人のほとんどがこの理想に向けて日本農業はチャレンジせよというのではないかと考える。梅雨のまだ明けていない地域も多くあり、現在荷が少し偏在をしているが、8月盆に向けもう取引は動き出している。花作りの皆さんもJAもグローカルに行動し、8月のお盆商戦には良い仕事をしてほしいと願っている。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2009年7月13日

入口商品とフェアで繁盛

小売店間の競争が激しくなったり、低価格化で利益が出しにくくなったりして、店舗をたたんだり、またそこに新しい花屋さんが入ったりということがある。新しく入った花屋さんは低価格志向にも応える商品作りが出来る花屋さんが繁盛している。何も全部を低価格にしてしまったら、結局利益が出なくなるし、価値ある商品を作れない。だから全部が安いわけでなく、目玉商品を作ったり、産地フェアをしたりして、取り組むことが必要だ。言うなれば、「入口商品を作る」ことと「イベントをする」こと、この2つがお客さんに来てもらい、楽しい花売場となって売上を作れるのだ。入口商品には、ワンコインで手軽に楽しめる花があるし、時として105円でも売り出すこともある。どのような入口商品を考えるのか、産地イベントを打つか、これからの小売店の腕の見せ所だ。

今年の7月お盆は今日が「迎え火」、土・日が絡んだので、どの小売店もお盆の花はよく売れていた。そこで気になったのが、弱気になったのか必要以上に低価格で販売している店が、私の見る限り少なからずあったことだ。そこの店の周りを見ると、確かにスーパーマーケットや100円生鮮コンビニで低価格の花があるが、明らかに品物は違う。だから価値を知っている専門店はきちんとした値付けをしてもらいたかった。私が心配するのは、生産者は油代を除いて経費は高止まりしたままだ。だから価値を知ってくれている専門店が価格に走ると、当然安く仕入れるだろうから、それでは生産者は赤字になってしまうのだ。日本の生産者が手を掛けて世界に誇れる良品を作ることが出来るのは、その価値を認めてくれる消費者がいるおかげだ。その消費者はほとんど専門店で買っているし、また専門店がその価値を教えてくれているから日本の生産者は成り立つ。だからこのお盆のときでも、時代が時代だから入口商品をアイディアで作ることは必要だが、全部の価格を下げてしまうのでは、結局生産者が「合わないからやめた」というようになってしまいかねない。小売店間の競争もあろうが、もう一度業態別役割を認識してもらいたい。専門店や百貨店は花との価値ある生活を届ける小売店。スーパーマーケットはセーブマネーを届ける。ホームセンターは楽しいインテリアフラワーからランドスケープまで花のある生活空間を届ける。コンビニエンスストアは利便性を届ける。ドラッグストアは健康を届ける。確かに業態間の乗り入れがあり、境目が見えなくなっている。しかし強みは何か、あるいは社会の役目は何かということを花屋さんに自覚してほしいと強く感じたお盆の小売戦線であった。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2009年7月 6日

これからの産業は第一次産業と第三次産業か

七夕というと仙台が有名だが、7月は湘南の平塚が見応えのある七夕飾りをして、街を賑わせている。今年は景気がよくないから気持ちだけでも不景気風を吹っ飛ばせと力が入っている。横浜から小田原までの間に大企業の緑豊かなクリーン工場が東海道線の車窓から見える。しかし今回の不況で工場を海外に移し、広い空き地になっているところがいくつもある。工場に勤めていた人たちは大変だろうが、そういう地域の事情まで含んで七夕を楽しんでもらおうと平塚の人たちはより力を入れているかのようだ。
生産人口は毎年少なくなって、工業は生産拠点を海外に移す。また65歳以上が今5人に1人なのに、2030年には3人に1人になる。リタイヤした世帯の支出は働いているときの30%減で7割程度。収入は60%減って4割程度になるから、どうしても貯金を取り崩す。高齢化すると貯金を取り崩す。預金が減るから金融機関の整理・統合が必要だ。

食べるものや花の支出については、高齢者は子どもがいる世帯と比較すると金額で1人あたり120%支出してきたし、今もしている。高齢化とは良いものをそれ相応な価格で買うことのようだ。だから、年輩者は国産の品物が大好きだから、国産の消費金額の総額はそんなに減らない。特に花き産業においては、少子高齢化でシングルが多くなると予測されるが、ワンルームというのではなく一定の広さを持った1LDK、2LDKになる。室内空間を豊かにしようとするし、街の家並みや景観を整えていくことが日本の豊かさにつながるので、花と緑が使われる場所が増えていくと予測する。農業の中での花のウエイトが高まると私は見ている。
また林業はCO2削減の中で脚光を浴びている産業だから、CO2マーケットより資金を得られることになるので見通しは明るい。

日本は今後とも移民政策に慎重だろうから、工業が少なくなって一次産業と三次産業が産業の中心になっていくのではないのか。ものづくり、確かに付加価値の高いものは今後も作っていくだろうが、日本の工業のウエイトは確実に減っていくと平塚を見てそう思った。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.