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2013年10月 7日

存続に必要なのはマーケティングとイノベーション

 先日、愛知県豊橋市のJAひまわり農協で講演する機会があった。そこで大田花きに勤めた後、お父様の後を継ぎスプレー菊を作っているある生産者と講演後に話す機会を持った。私が彼に「今、何坪までいった?まずは5千坪が目標だよ。」と言うと、彼は「1千5百坪までいきました。効率的に栽培できる適地を求めて頑張ります。」と言った。また、私から「渥美の人たちは同じ部会員数で倍の売上げを上げている。愛知みなみに負けないように良く学び、ひまわり農協も皆で頑張らなくてはね」と言った。
 二人で意気投合したのは、グローバリゼーションで外国産を敵視したり、阻止しようとしないこと。あらゆる事業や組織体で"マーケティング"と"イノベーション"がその事業の存続を決めているという2点だった。

 1990年の大阪での花の万博の後、10年間で数量・金額ともに鰻登り。また、その後の10年間でまず単価が落ち、次に切花も鉢物も苗物も国内生産は少なくなって、切花は国産を補うように輸入品が増えていった。輸入品の中でもマレーシアやコロンビアから輸入されたスプレー菊とカーネーションは品質も優れていたので、それらの消費量は増えた。
 しかし、花き全体で見ると市場ベースで20年前の取扱数量・金額となってしまった。「元の木阿弥じゃないか」と思う人がいるかもしれないが、見せびらかすための消費ではなく、真に楽しむ身の丈ほどの気持ちの消費になっていることは大変喜ばしいことだ。
 そこで考えなければならないことは、消費減の理由だ。ダリアやラナンキュラスは、「花×装飾」にイノベーションをもたらしたものを出している。持ちや花形の改善や新品種投入では、トルコギキョウやバラが特に頑張っている。もちろんあらゆる花が新品種投入などで頑張っているが、その努力は数々の努力の中で埋没してしまっている。
 マーケティングとイノベーションをおこすために、もう一度自分の事業が未来を本当に作っていく仕事をしているのか。少なくとも今の消費者に受け入れられる仕事をしているのか。お金を出してもほしいと言ってもらえるかチェックをし、自分の仕事を再定義する必要がある。

 産地や市場の在り様も変革の要望が社会から来ており、具体的にどのように変えていくかがポイントであると思う。まずはマーケティングだ。時代の潜在ニーズをよく聞き、それを具体的なサービスや品物に置き換えて供給しよう。沢山の潜在需要がある。産地で言えば、年間で安定した供給体制もその中の一つだ。

 来年の1、2月は寒いという。この時期にも採算を合わせ、安定して出荷をする。そうすれば、ファンはまた増えるのだ。自己都合ではなく、顧客視点でもう一度それぞれの事業を見直していこう。

投稿者 磯村信夫 : 2013年10月 7日 16:45

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