« 2006年9月 | トップ | 2006年11月 »
2006年10月28日
vol.25 JAあがつま坂上&六合
(群馬県 吾妻郡東吾妻町&六合村)
今回は、群馬にあるスプレーギクと山野草の産地、JAあがつまを訪問しました!
お天気も良く、とても癒される景色でした!
?スプレーギク生産の開拓者!?
(坂下支店 中井 毅彦さん)左から 中井さん、そして今回案内をしてくださったJAあがつま坂上支店 小池さん、と JAあがつま加辺さんです。
なんと中井さんは、群馬で初めてスプレーギクを導入した生産者なのです!
「黄色のパッキン咲きのスプレー菊を試験圃場で見たんだけど、見たことないなぁ、 って思い切って作ってみたけど、でも全然売れなかったなぁ(笑)」 と当時を振り返り、語ってくださいました。
その当時導入したというドラマチックは他産地ですが未だに健在!
綺麗なオレンジ色でとても目を引きます。
こちらは出荷間間近の舞風車。
あがつまスプレー菊の特徴の一つが発色の良さ!
特に夏場はどこよりもキレイです。
その秘密は標高の高さにありました。
中井さんの圃場でも560m、坂上支店の生産者は400m?700mまで点在しているのだとか。
ココは夏でも3,4日しか熱帯夜がなく、クーラーも必要ないほど過ごし易い環境なのだそうです。
うらやまし?い!でもその分冬の寒さはマイナス15度と厳しいようで、寒さに弱い私には耐えられなそうです…(@_@;)
「他産地で作っている同じ菊でも、出荷時期や市場が抱える客層によって需要は異なる。
マンダリンも売れると思わなかったけど、買ってくれる人がいるという事に驚かされると同時に、
面白いと思ってるよ。」と中井さん。
こちらがオリジナル品種で大人気のマンダリン!→
思わず「かわいい?!」と声を上げたくなる花たちです。
マンダリン マンダリンレッド アカチャチャ
←こちらは1輪のマンドリン。
(ややこしいですが、お間違えなく!)
目が細かくて、詰まっているので花散りしにくいのが特徴です!
中井さんはこうしたオリジナル品種の開発にも取り組んでいらっしゃいます。
現在、坂上オリジナルは20品種。
これから、どんな新品種が生まれるか注目です!
特別にまだ名もない花をご紹介!群馬県の試作品種です。
これから出荷されるのでしょうか???
中井さんからお花屋さんへのメッセージ
高冷地の特徴である夏場のストレスがない発色のいい菊をよろしくお願いします!
これからも、他産地ではできないようなリスクの大きな品種を導入したり、お花屋さんのご要望にも応えられるように頑張っていきたいと思います!
?新品種の導入にも積極的に取り組んでいます!?
(坂上支店 霞 彰尚(あきひさ)さん)
霞さんはおととしコンニャク作りをやめて菊の生産を始められました。
花作りの経験は浅いけど、新しい品種を取り入れようとチャレンジ精神も旺盛です。
ハウスのすぐ裏の山では、少しずつ紅葉が始まっていました。
暖冬のせいか、今年は例年に比べて色づきが遅いそうです。
栽培品種をご紹介しますと…
オソルノグリーン イエローリネカー ダークリネカー
ホワイトリネカー レリアス パピオ
オソルノグリーンは、オランダから入ったばかりの新品種!
今年の東京盆から出荷されています。
レリアスの深い赤は大人っぽい色合いですが、蛍光灯の下で見るとビロードのような艶を見せるのがまた魅力的!
市場では見ることができない満開のパピオ。
いつもと違う表情に新たな魅力を発見してしまいました。コロンとした形状と薄ピンクの色合いは女性受けすること間違いなし!?
*レリアス、パピオの今年度の出荷は終了しました。来年のお楽しみです。
7月末の集中豪雨でハウスの中は水浸しに。
そんな天災にも負けず、生き残った菊たちです。下葉はちょっと黄色くなってしまいましたが、花には全く影響なくひと安心です。
霞さんからお花屋さんへのメッセージ
年をとっているけど一番遅く花を導入したから、今までやっていた人に負けないように、新しいものを取り入れてます。
いいものを出そうと心がけているので、今後の商品にも期待してください!
?ラナンキュラスもまもなく出荷開始!?
JAあがつま坂上では7年前からラナンキュラスの出荷もしています。まだこんな状態でしたが、出荷は11月終わりから始まります。
寒いから出荷期間が長いのが坂上の魅力!
5月母の日でも使ってもらえるように頑張りたい!とおっしゃっていました。
乞うご期待♪
…………………………………………………………………………
それでは、坂上支店の東吾妻町から六合村へ移動です! 加辺さんが運転する車を追いかけて、くねくねとした山道を進みました。畑の標高は600mから1200m!この標高差が六合村の中でのリレー出荷も可能にしています。
それでは、80歳以上の生産者が70%を占めているそうですが、“ますます元気な産地 六合村”の栽培現場に迫ります。
?花作りは元気の秘訣!?
(六合支店211番 黒岩 勇さん)ウンチクが溢れ出る“元 校長先生”、そして“現 部会長”の黒岩さんに圃場を案内していただきました。
まずは、セロシア ルージュです。
真ん中の写真はタネを取っているところ。 小さな小さな一粒の種から6本の商品を切ることができるのだそうです。
← “カシワバアジサイ”
日光に当てると、きらきらと輝いてキレイです!
← アストランティア
「長野オリンピックの時うんと儲けさせてもらったの!」と黒岩さん。 残念ながら花もオリンピックも画像はありませんが、メダリストに渡されるブーケに使われていたようです。
←植えて18年のルドベキア。
「虫も食わなくて、病気にもならなくて、草刈りも鎌で簡単にできちゃう!こんないいものないよ!」と会長お墨付きの花です。 なんと、1株から20本ぐらい切れるのだとか。
大品目を栽培する生産者の皆さんからしたら羨ましい話ですよね!
←12月初旬からクリスマスローズの出荷も始まります。
厳寒期に花が咲くクリスマスローズはほとんど季咲きで出荷されるのだとか。
こうすれば暖房費はいらないし、宿根草だから3?5年は毎年花が咲き、手間がかからないんですね。
六合村の花はほとんどがこうした季咲き出荷なのです。
自然のままで、1日の気温差が大きいからこと、目の覚めるような発色よい花ができるのですね
六合村がこうした高原に自生する山野草を栽培するようになった切っ掛けは、かつて偶然 村を訪れたフラワーデザイナーの中山晃氏が山野草の美しさに目を留めたことからだそうです。
以来、六合村の気候にあった、他にない山野草の栽培に取り組んでいるのです。
?黒岩会長のウンチク集! ?
ここで、黒岩会長のお言葉の一部をご紹介します。まずは、六合村の鉄則とも言えるコレ!
★『キレイな(派手な)花には手を出すな!?』
「六合村花はみんな地味な花なの。既に多くのシェアを占めるような大品目は、値段はいいけど
儲からない、だから球根1個から1本しか切れないなんて花は六合村では以ての外」なんです。
それから…
★『六合だけにしかないものを!』
他の人が作っていないものを、または他産地では出していない時期に出荷できるようにと
研究は怠りません!
★『花を作ると心も温まるけど、懐も暖まる!』
★『花作りは元気の秘訣!来年こそはと希望がもてるからやめられない!」
たとえ失敗しても、来年こそは成功するぞ!という気持ちで栽培しているからみんな明るく、
楽しんでいるんですね。
黒岩さんからお花屋さんへのメッセージ
六合の花を使って!そして、お花屋さんから教えてもらいたい。
意外と生産者はどういう花をお花屋さんが欲しがっているか知らないから。
?人気品種の宝庫!?
(六合村219番 篠原啓吾さん)続いて、タクシードライバーを定年退職後に奥さんがされていた花作りを二人で本格的に始めたという、ステキな篠原さんご夫婦です!
ネットでの情報収集や、新しい花を取り入れるチャレンジ精神は、歳を感じさせないほどアクティブです!
まずは、ラナンキュラスのハウス。
燃料使わずにできるものを!と取り入れたのだそうです。
でも、さすがにハウスは二重構造になっていました。
そして、人気品種をたくさん作っています。
黒ほうずき ホトトギス アルケミラ
ホトトギスは、 新品種の“江戸の花”が来年8月から、そして“しののめ”が9月から出荷
されますのでお楽しみに♪
アルケミラは、母の日用にたくさん出荷されますので、期待していてください!
ブラックパール ウメモドキ セダム
ウメモドキは、同じ赤でも光沢が違います!
←寒さが足ず、真っ黒ではないですがシルバーの輝きもステキだと思いませんか?
でもこれも、霜が降りたらおしまいなのだとか。
そして、定番の…
ダスティーミラー “シラス” と “シルバーダスト”
「共撰だけど、導入する花を自分で選んだり、市場と直接 注文のやり取りをしたり…花がある事がとても張り合いになっています」と笑顔で語る篠原さんでした。
篠原さんからお花屋さんへのメッセージ
新しい花を取り入れたり、仲間と時期をずらして六合村の中でも他の人と違うことをやろうと頑張っていますので、これからもお願いします!
六合村の主な栽培品種と出荷時期は…
ルリタマアザミ(7月)・セダム(7月?9月)・アイリッシュアイズ(7月?8月)
ヘレニウム(7月?8月)・水引草(8月?9月)・カクトラ(8月?9月)
フジバカマ(9月?10月)・カボチャ クニマル(9月?10月)・キバコデマリ(10月)
赤づる(8月?10月)…etc
この他にも、たくさん!
周年で他にない、様々な草花や枝ものが出荷されています。
“あがつま坂上”の格言
・標高400m?700mで栽培されるあがつま坂上の菊は発色が違います!
特に夏場はそのちがいが歴然!
・菊の持ち味“花保ちの良さ”と、菊のイメージを変える“お洒落さ”を兼ね備える坂上のオリジナル品種に注目!
“あがつま六合”の格言
・人にも花にもストレスフリーの六合村!花本来の美しさが生きてます!
・六合村は高原植物の宝庫!これからも目が離せません!
2006年10月20日
vol.24 JA山形おきたま
(山形県 川西町、長井市、米沢市)
ウンチク探検隊フルメンバーでJA山形おきたまを訪れたのは6月の末のこと。
あれから3ヶ月以上が経ちました。
あの時見ることができなかったアルストロメリア、そして定植したばかりのダリアが、どんな花を咲かせているのか、期待に胸膨らませながら再び山形へ向かいました!
今回訪れたのは川西、長井、米沢の3地域です。
栽培現場へ向かう途中、こんな風景が見えました。
そう、稲刈りシーズンです。
それから、なんと庭先に大輪ダリアが!
「こっちの人の感覚だと庭に植えて仏壇に供える花という感じなんです。」
そう教えてくれたのは、今回圃場を案内してくださったJA山形おきたまの須藤さん。
贅沢だなぁ…と思ってしまったのは私だけでしょうか?
?お花屋さんが使いやすい花を目指して?
(川西町 小形房子さん)
おきたま管内でいち早く花生産を始め、15年のベテラン生産農家です。
稲刈りでお忙しい旦那様に代わり、奥様の房子さんが説明してくださいました。
まずは、ダリアの圃場へ。
おきたまのダリアは露地栽培ならではの力強さが魅力ですよね!
でも、「ここら辺は10月末に霜が降りることもあるの、そうなると全部ダメになっちゃうのよ!」
霜との戦いですね。
その他にご苦労されていることは何でしょう?
「芽かきに手間がかかってね。」と小形さん。
そのご苦労があるからこそ、大輪花が生まれるんですね。
さらに、おきたまダリアの魅力は、川西ダリヤ園が導入した品種で、切花に適したものを農協に
紹介している事!
だから、いち早く新品種を栽培、出荷できるのです。
流行やニーズに敏感に反応できるのには、そんな秘密があったのです。
やまがた川西ダリヤ園のHPはこちら→http://www8.plala.or.jp/kawa-kanko/
主な栽培品種は、
クライスラー、黒蝶、オレンジクッション、秋日和、エイミーK
・・・etc
次に、アルストロメリアのハウスを見せていただきました。
プッチーニ ダイナスティ セットポイント
アスペン モンディオ
足元に配管を発見!
これは何ですか?
養分が一定に保たれるよう、常に栄養分を含んだ溶液が流れているんだそうです。
さらに、アルストロメリアを栽培する際のご苦労は、意外にも花が咲いていない時期にありました。
アルストロメリアは、地温を20℃以下に下げないと丈が伸びないのです。
そこで、7月末から9月にかけて、5℃?8℃の冷水を流すのだとか。
さらに、遮光したり、細霧冷房を使って気温を下げる工夫がされています。
「夏場はこういうハウスにしか入らないの、人間よりいい扱いを受けているのよ!」なんて
おっしゃっていました。
小形さんからお花屋さんへのメッセージ
いいものだけを出せるように頑張ります!
使いにくい等のクレームはどんどん言ってください。
「おきたまの花ダメね」と勝手にやめられる方が怖いから…。
新米だけじゃない、おきたまの花のファンでいてください。
?成長したダリアを見に再び!?
(川西町 鈴木清左衛門さん)
前回も訪れた清左衛門さんのハウスへ。
でも残念ながら清左衛門さんはお留守の為、圃場だけ見学させていただきました。
あと時定植したてのダリアはたくさんの蕾をつけていました!
おすすめ品種は…
? ? ?
?ムーンワルツ
?ランクリッツ(清左衛門さん曰く、「白はランクリッツで決まり!!」)
?福わ内
アルストロメリアは出荷準備の真っ最中。
おすすめ品種は…
? ? ?
?
?エストラーダ
?ティエスト(清左衛門さん談によると…大田花きアルストロメリア担当の寶代くんが好きな赤だとか。)
?アスペン
?フィレンツェ
これらは全て平成18年度の新品種。
ちなみにJAおきたまが導入した9つの新品種の内、4品種もチャレンジされているわけです!!!
?集荷場をチェック!?
縦箱で出荷されています。
ウインクした太陽マークが目印!
大田花き行きの荷物を発見しました!
箱を開けると花の大きさにビックリです!
?栽培品目は多岐にわたっています!?
(長井市 安部 洋(ひろし)さん)
主力はアルストロメリアですが、露地でさまざまなものを栽培されていました。
もちろん、ダリアも驚くほどの丈に成長していました。
「寒さと日照量によって同じ花でも、毎日違う色に見えるんだよ。」と安部さん。
そして、マジックモーメントを指しながら、
「これもいくなるんだよぉ、開くと白くなるの知らないでしょ!?」
ホントだ、色が違います!
⇒
よく手入れが行き届いていてキレイなんですが、
「これでご飯を食うようにしておりますので」と謙虚な安部さんでした。
以前は、農協の職員だったとか。
その他の栽培品種をご紹介しますと、
ウメモドキ“ベルティシラータ”
「今年は実付きがよく、大きくて、最高にいい状態なんです!」
ひょうたん “スワン”
白鳥姿のユニークなひょうたん。2羽1対で出荷しています。
黄キク ”コトブキ”
コレは食用菊で出荷はしておりません。あしからず(^^;)
おひたし美味しかったです!
ケイトウ ハボタン ジニア
ユウカリ 花ナス 夕霧草
見慣れた夕霧草とは何か違うような…。
「乾燥状態で栽培しているから日持ちがいいんだよ!」と自信作の様子。
でも、出荷できる程の量はなさそうで残念(T_T)
ほんの一部の栽培品種をご紹介しましたが、「こんなに沢山、どうやって作るものを選んでいるんですか?」と尋ねると、
「IFEXや研修会で紹介されたり、講演した人が言ってたから!」
なるほど、それがいち早くニーズに合った商品を提供できる秘密なんですね。
ひとつひとつの品目について 安部さんの丁寧な説明を伺いながらながら楽しく見て回っていたら
予定時間を大幅にオーバー!次へ急がなくちゃ(*.*)
安部さんからお花屋さんへのメッセージ
もっと産地と対話をしてほしい!ぜひ見に来てください。
作ってる人と売る人が顔が見えるようにしないと。
花屋さんも産地に足を運んで、話をして、生産者の思い、生産者が惚れて作っている花の良さを消費者に伝えてください!
?周辺は宝の山!??
(長井市 鈴木利文さん 築地(ツイジ)花木園)
鈴木さんはまだ希少ですが、高品質で人気の実物“ビバーナム コンパクター”を栽培されています。
「毎日、試行錯誤重ねて作ったんだ!」
と言いながら、ズンズンとジャングルの中を進んでいきます。
「今年は長雨と日照不足で出来はあまりよくないんだ」
とおっしゃっていましたが、すごいボリュームです。
これは切るのも大変ですね。
「長さがあっていい枝ぶりのとこを切りたい、けど来年もまた取りたいし
悩みながら切ってるよ」と鈴木さん。
他にご苦労は?と尋ねてみると、
「草刈りと天候への対応だね。」
「鳥は食べないのが救いなんだけど、雪にやられるんだよ!」との事。
この辺りは1m50cmも雪が積もるのだそうです。
それでも雪の上をかんじき(雪国で雪上を歩くために使われる履物)のようなものを履いて切りにいくとおっしゃっていました。
大変な作業です!
この他にも、沢山の枝物を作っていました。
「どこ見ても売れるものだらけ!」とおっしゃるように、裏山にもこの土地に合った様々な枝物が生育しています。
でも、天候への対応や仕立てなど、どうしたら上手く作れるのか
日々追求している熱い思いが伝わってきました。
鈴木さんからお花屋さんへのメッセージ
ビバーナム コンパクターはまだ希少だけど、3人の生産者で頑張って作って、これから数量を増やしていくので、ぜひ買ってください!
?薔薇の人気品種を作ってます!?
(米沢 石原政志さん)
最後の圃場は石原さんの薔薇ハウス。2回目の訪問です。
しかし、すっかり日も落ち、ハウスの中は真っ暗。
ウンチクではなく、暗闇探検隊!?になってしまいました。
それでも、おすすめ品種を折って見せてくださいました。
アバランチェ ベルエポック シセロ
クレッセント オールドロマンス グランス
石原さんからお花屋さんへのメッセージ
今が旬!発色もよい薔薇を使ってみてください!
ちなみに、石原さんはJA山形おきたま花き振興会 会長、そして、JFMA(日本フローラルマーケティング協会)の理事も務めていらっしゃいます。 東京にもよく出向いていらっしゃるほど、フットワークが軽いのです! そして、“今や産地が買い手を探す時代!”とのお考えをお持ちで、おきたまの花の良さを伝えるための『おきたまフェア』の開催にも熱心に取り組んでいらっしゃいます。 生産者自ら、お客さんの呼び込みや、おきたまの花のPRのために努力されているのです!。
?おまけ?
石原さんちの猫ちゃんです。
タロさん(♀)、ハナさん(♂)
なんだか逆のような…。
?おきたまオリジナル?
ここで、アルストロメリアのおきたまオリジナル品種を2つご紹介!
カノン ブルーストライク
“山形おきたま”の格言
・新規性のある花には即座に取り組む山形おきたまの商品をチェックすべし!
・広域で作り出される、幅広い品目構成が魅力!
・おきたまダリアの最大の特徴は、新品種をいち早く栽培することができる仕組み!
そして、流行を先取りできる事!
・積極的な花き生産、消費拡大のためのプロモーション活動で顧客獲得を狙う!
最後におきたまダリアの主要品種カタログを掲載しています。
来年は更に品種ラインナップが増えますので乞うご期待♪
2006年10月 3日
Vol.23 岐阜県 セントラルローズ
岐阜県といえば、長良川の鵜飼・・・
岐阜県といえば、超高級品の富有柿・・・
(既に特大の柿がたわわに実っていました!)
岐阜県といえば・・・
次が出てこなかったそこのあなた!
岐阜県といえば、花き業界で言わずと知れた大産地!
特に鉢物に関しては、全国の有名産地が多数存在する
日本の代表的な県なのです!!
周りは小鳥のさえずりと虫の声が響く田園地帯
今回お邪魔したのは、岐阜市の西隣の本巣市にある
セントラルローズさんです。
農場の総面積はなんと7,000坪
従業員数35名、何を作っているかと言うと・・・
その名の通りバラです。
しかもポットのミニバラ。
セントラルローズさんの何が素晴らしいかって、
私のようなぺーぺーレポーターに、
社長自らお時間を割いて御案内くださったこと・・・<感謝、感激!>
セントラルローズ社長の大西隆氏です。
寛大な大西社長のこだわりは、農場全体のオートメーション化による
省力化&コスト削減!
そう、セントラルローズさんは生産の機械化をいち早く日本に導入した
リーディングカンパニー的存在なのです!
オランダから自ら導入した数々の機械により、
農場のオートメーション化が実現、ミニバラの大量生産に成功したのです
まずポットに土を入れていくところから早速機械なんです!
・・・と言っても、本日は機械の休息日。
取材日には年末用のバラを作るために、いつもより少し大きめなポットに
手作業で土を入れていました。
はい、そこで問題です。
この土はどこの土だと思いますか?
? 太平洋の深海の土
? リトアニアの土
? 大西社長のお宅の庭の土
答えは?。リトアニアから輸入しているのです。
この土はピートモスといってミズゴケが腐植したものです。
毛足がしっかりしているため、水持ちがよく、鉢のミニバラには
最適なのです。
リトアニアってどこか分かりますか?
ヒント:バルト三国のうちのひとつですよ。
↓分からない方はこちらですかさずチェック!
ちなみにバルト三国はラトビア・リトアニア・エストニア。
相撲で有名な把留都(バルト、本名オットー・ガイド)力士はエストニア出身です。
そんな話は置いといて・・・
機械で土を入れるのは、直径10センチほどのポットです。
それから1つのポットにバラの苗木を4本挿します。
その苗木はこんなに小さいのです↓!
ミニバラの苗木は、やっぱりミニだった
4本の挿し木をしたそのポットにビニールシートをかけ、湿度を保ち発根を促します。
2週間して出てきた可愛いらしい新芽たち・・・
新芽が出てきたら、ビニールを取り2週間、こんなに青々と大きくなりました!
潅水は真夏など暑い日は30分に1回、タイマーでセットされていて、自動的に
霧状の水が噴射されるようになっています。
冬場などは、天候に応じて潅水しないときもあります。
この潅水マシン(←勝手に命名)は広いハウス内を巨大な電話線のようなロープで
ぐぃ?んと伸びていき、一面に噴水できるようになっています。
ちょうどいいタイミングで潅水マシンが始動!!
セントラルローズさんのうら若き姫たちは、すくすくと育ち、
あっという間に青々とした葉を付けていきます。
ちなみにこちらは電照器具。
冬場など、日照時間の短いときや、
曇天が続き日照不足を解消するときなどに使用します。
この生長のステージと共に苗をハウスからハウスへ移動します。
どのように移動するかというと、そこがまたセントラルローズさんの素晴らしい
ところで・・・「大西社長、秘密を公開してもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」と言っていただいた気がしたので、公開致しましょう。
移動の秘密は“ムービング・ベンチ”です!
つまり動くベンチ。
ベンチとは、苗を入れている大きなトレーのことで、生長に合わせ
このトレーごとハウスからハウスへ移動させるのです。この作業の
省力化を実現したのがムービング・ベンチというオランダから導入した
システムです。農場内の導線に合わせてレールが敷かれていて、
トレーが簡単に移動できるようになっているのです。
「人が動くのではなく、物が動くシステムに改良しました」と大西社長。
5週間くらいしたころに、このもじゃもじゃと伸びてきた葉を一度剪定します。
女の子の髪の毛と同じで、可愛くカットすることによって、見栄えも可愛く、
仕立てよくなるわけですね
でも、その道具はなんとバリカン!
↓こんな感じです。これもオートメーション化の一つです。
バリカン後→
バリカン後、いえいえ、美しくカッティングされた後、
挿し木からトータルで12週間で美しく成長し
出荷準備体制が整います!
(い?な?。12週間で嫁入り準備完了か・・・うらやまち?!)
こちら↓が嫁入りの衣装を着せられている様子です。
これももちろん機械で!
ベルトに載せられ、エアブラシでホコリなどを掃い、
カッターでシャキンシャキン!と足元が美しく見えるように
剪定し・・・この辺も嫁入り直前の女性と一緒ですね。
まるでブライダルエステのようだわ。やったことないけど。
出荷を目前にするセントラルローズのお姫様たち・・・
「自分の娘達が誰に買われて、いま元気にしているのかなと
思うことがあるよ」と大西社長。
第1農場で作られるバラは全体の4割。
農場はここだけではなく、第2、第3、第4農場と続きます。
第4農場ではガーデンローズを栽培しています。
この見事な美しさ!
ここに近づくと、バラ独特の良い香りがします。
そして、ここでも徹底したオートメーション化!
↓ムービング・ベンチ登場!
この種々の咲き乱れるガーデンローズの中でも、
大西社長のお気に入りは、「ピンクノーム」!
選択のキーワードは“CARE FREE”(ケア・フリー=手間要らず)
消費者のために手間が余りかからない品種を追い求め、
少しでもバラを普及させたいという思いからアメリカで出会ったのが
このピンクノームだったとか。
手間がかからない上に、小花がたくさん付いて可愛らしいところが
大西社長の心を掴んだようです。
また、ローズヒップ(バラの実)まで楽しめ、「ローズヒップで実を結ぶ」という
縁起物でもあるそうです。
更には薬を殆ど使わなくても、花も葉もたくさん付けてくれるので、
MPS(※)を推進する大西社長にとっては、本当に真価を認めるべき
品種だったというわけですね。
「これも花き業界全体を底上げするため」と。
花を愛する優しい大西社長に気に入られたピンクノームちゃんは
幸せ者よね?
※MPS:「花き産業総合認証プログラム」のこと。
詳しくはこちら→http://www.mps-jfma.net/
PAPASの白いシャツが良くお似合いの大西社長。
ミニバラを手掛けたきっかけは、オランダやフランスを視察したときに、
現地でミニバラを見て感動し、「日本でやろう!」と思ったことだそうです。
それ以来、先述に紹介したようなシステムを確立するのに10年かかったとのこと。
ご自身の商品のことを考えるだけでなく、
「業界の底上げなしに、消費拡大はありえない!」
と視野を広くお持ちになり、業界全体のことを常に考えていらっしゃる方です。
ピンクノームちゃんがお気に入りでいらっしゃることが分かる通り、
大西社長は、
「消費者のニーズに合わせて生産したい!
自動車に1,000ccから4,000ccクラスがあるように、バラも多種多様のものを
試行錯誤しながら作っていきたい!」と熱い思いを語ってくださいました。
また、「バラは石油製品。この原油高の時代に石油製品を生産し続ける
ことは至難の業です。このまま自然の流れに逆らったことをやっていては、
いつか行き詰まってしまう」と、現在の問題点も認識されていました。
大西社長は業界全体のことを考えていらっしゃるだけに、
ミニバラだけでなく、切花も含めて様々なアイテムの仕掛け人に
なっていらっしゃるんですよ!
ご趣味は旅行やトレッキングだそうですが
最近は国内外と問わず続く出張、や日々の業務で
なかなか趣味に費やす時間が取れないとか。
ご家族はなんと4世代に亘って同居されているそうです。
大西社長のお父様から、ご子息、またそのそのご子息までの4世代!
お孫さんのお話をされていたときの大西社長の優しいお顔が
なんとも印象的でした!
?そんな大西社長から、消費者の皆さんへメッセージ?
花をもっと楽しんで、素晴らしさを再認識してほしいですね。
食べ物はお腹がいっぱいになると食べられなくなってしまいますが、
花はいくら楽しんでも限りはないでしょ。
心の胃袋はいくら食べても壊れないんですよ。
心を花で満たして欲しい。
“花ってすごくいいよ”って分かって欲しいですね。
?花き業界の皆さんへメッセージ?
ガーデニングブームで客寄せに使った商材を、
楽しみ方のアドバイスもせぬまま量販してしまったために、
今そのツケが回ってきています。
花の使い方や楽しみ方を消費者に理解してもらっていないこと
も、消費が離れていってしまった理由の一つでしょう。
園芸では今後何年かかってこの消費を取り戻せるか、
努力のしどころです。
↑大西社長とご長男の裕(ゆたか)さん(取締役)。
裕さん曰く、「末端のお客様との接点がないことが問題。
一番大切なのは消費者だから、もっと消費者と接点を持って
やっていきたい」と。
なんとご次男はデンマークで修行中とのこと。
今年、4年間の留学を終えて帰国されるので、
ご家族も心待ちにしていらっしゃるご様子でした。
セントラルローズさんは頼もしいお2人の後継者を持つ
今後の発展が非常に楽しみなバラ農場なのでした
セントラルローズ・大西社長の格言!
・消費者を第一に考えたケア・フリー品種を世に送り込むべし
・消費者のニーズに合わせ、多種多様の品種を栽培すべし
・業界の底上げなしに、消費拡大はありえない!視野を広く持って業界のことを考えるべし
セントラルローズさんのホームページはこちら
http://www.centralrose.co.jp/index.html
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
●おまけ●
岐阜は鉢物の大産地なだけに、大きな生産者組合があります。
“岐阜花き流通センター”という組合で、岐阜で作られた鉢物の
流通拠点になっています。組合員数は約160名。
岐阜各地で作られた鉢物が一度ここに集められ、北は北海道から
南は鹿児島まで全国に発送されていく、いわば集出荷所なのです。
中は広々、各地へ発送される荷物が準備されています。
台車は市場ごとに分かれていて、台車に取り付けられた黒板にチョークで市場名が
記載されています。
ならば大田花き行きもあるはずでは?
あった・・・(*^-^*)
レポーターのささやかな喜びでした
大西社長もかつては6年間この組合の代表理事組合長をお務めだったご経験があります。
主に若い世代に支えられているので、50歳を迎えられたときに自ら退任されたそうです。
その当時は組合員も180名を越える最盛期!大西社長、お疲れ様でございました。
この岐阜花き流通センターを経由して、大田花きに届いたセントラルローズのお姫様たちは
こちら↓
きれいなエメラルドグリーンのラッピングペーパー(嫁入り衣装)が目立つので、
広い市場の中でもどこにあるかすぐ分かります。
「自分の娘達がどこに嫁いでいるのか分からない・・・」とおっしゃっていた大西社長ですが、
この日は新宿や品川、杉並を始めとする首都圏の有名な花屋さんに買われていかれましたよ♪
皆さんも、花屋さんでこのマーク↓を見かけたら、岐阜のセントラルローズさんで
大切に育てられたミニバラなのね( ^ー゜)bと思い出してくださいませ。
・・・おまけが長かったけど、おわり・・・
写真・文責:ikuko naito@R&D