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2005年12月 5日

今年の松・千両の産地概要

 日本中の花の卸売会社でも供給過剰になるに連れ、青果と同様にセリ前相対取引が増えてきて、直前の情報で取引することが多くなっている。その意味で、情報は産地から卸、卸から小売店へ、また売買情報は逆に産地へ瞬時に伝達される。相場情報、或いは損得に関わる情報だ。本来卸売会社は社会のインフラとしての仕事をしているわけだから、卸が得た産地情報は小売店を通じ、消費者に伝わっていなければならない。そうでないと次回も同じようにその消費者が花を買ってくれるとは限らないからだ。出来るだけ今年の作柄情報やどのように長持ちさせるかなど、小売店は商品情報を積極的に消費者に伝えて欲しい。

以上をお願いし、今年の筋物の松と千両の産地状況をお伝えしたい。
茨城産の松は、生産者Aさんの場合昨年に比べて4割少ない、Bさんは2割少ない。思ったより葉が黄色かったり、昨年の台風の影響で根が弱くなっていたり、小さいものが多く、本数ベースでは多く見積もっても前年比20%落ちる。そして肝心の箱数(束数)は入荷が3割程度少ない卸売会社も多いのではないかと思う。葉先がやや黄色いのは、千葉県沖を通過した2回の台風の塩害などによる。また、千両は日本全体を見ると昨年の台風の被害に遭った地域は今年の出荷物にも影響が出て、数量減で実付きも思ったほど良くない。一方、茨城県、千葉県産は実付きが良く、等階級が上がり本数ベースで上限は昨年並み、箱数では1ランクずつ上位等級にいくので、1割増の箱数となるのではないか。

 産地状況はこのようになっているが、相場は売り価格から類推すると花だけで物価が決まっているわけではない。他の物財は新しい工夫をして前年並みの価格を維持しているわけだから、花の小売価格は上げられる状況にはない。そうなると小売店は少ない物は仕入量を減らす、質が良くて出回りの良い物を昨年より多く扱うといった流れに身を任せた商売をするだろう。松も千両も規格や荷姿、せりと予約相対などの取引手法は確実に変わってきている。このような消費地や流通の変化は、鹿島・銚子地域の生産者に数の調整を促すことになる。思ったよりも早く大手の松・千両生産者が新しい時代の産地商人化する可能性が高いと思われる。

投稿者 磯村信夫 : 2005年12月 5日 18:01

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