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2006年12月11日

ただ今採花日に関心

このところセリをよく見ている。新しくセリデビューした3人の上達具合に関心を持ちながら見ているのだが、もう一つは営業本部内で取引所ビジネスをきちんと行なおうとする原点回帰の運動で新たな執行体制がしかれたからだ。取引所の運営はもちろんセリがメインだが、荷物を買い手に引き渡すところまでが責任の範囲だ。その意味で従来の商流だけの責任ではないところが改善のポイントだ。

さてセリを見ているとバラなどは本当に湿式輸送のものが多くなった。だからもう湿式だから値段が張るということはなくなって、買い手の関心はもう一度どんな作り方をしているか、その産地のブランドに変わってきている。赤バラでいつも高値を取る産地は湿式ではない。残念ながらインド産のバラは湿式にしているところが多いが、安値に泣いている。カスミソウもそうだが全体の品質が上がり、湿式か乾式かということはもう買い手にとって際立った関心事ではなくなったということだろう。現在の買い手の関心事はいつ切ったかという採花日に移ってきた。例えば、上海や中国の海南島から来ている「神馬」は船便である。今朝もそうだが、先月の26日に切ったものと29日に切ったものの2つがあった。ちゃんと箱に書いてある。26日のものはちょっと咲いていた。外国のもので採花日が書いてある海南島の出荷者のものは大変信用できると買い手は言っていた。セリ機に表示して売るわけにはいかないし、送り状にも採花日について書かれていないから、知ることができるのは現場で夜らしい。だとすれば送り状にきちんと書いてそのように取引をするべきではないか。この11月、アルスメール市場の花保ち試験室で見たケニアのバラは船便で温度コントロールをしっかりして送られてきたものだという。「21日かかったけれど、飛行機便のものよりも良いかもしれません」と花保ち試験室の職員は言っていた。インフラが整っていれば、また適切な指示があれば20日以上経っていても大丈夫なのであろう。科学の進歩、あるいはイノベーションというものはそういうものだ。しかしインフラの整備がオランダのようにはまだできていないASEAN+3との間の花の物流、あるいは中南米からの花の輸送、これを考えるとき、どこまで花の生命力を一見の外観で判断することができようか。それができなかったので再度水揚げしたにもかかわらず、インドのバラは現在流通しているバラの中では最も安い価格になっている。ケニアやエチオピア、コロンビアやエクアドルものも、咲くか咲かないかが品種やシーズンによって異なるのである。これを明確に買い手に情報伝達していかないと、せっかくリパックあるいは水揚げして評価が出ないことになってしまう。今、湿式や水揚げしたものに無関心なのは、今までの情報伝達の仕方が問題だと思うのである。

投稿者 磯村信夫 : 2006年12月11日 00:00

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